Sansanとクラウドサイン連携でどう変わる?8割のビジネスパーソンが感じる「契約業務」の課題とは
Sansanと弁護士ドットコムは2020年1月、クラウド名刺管理サービス「Sansan」と電子契約サービス「クラウドサイン」の連携を発表した。同5月からの新機能提供へ向けて、開発を進める。
「契約業務におけるさまざまな課題解決を図る」ための機能を開発するという両社。具体的にどのようなメリットがあるのか、解説していこう。
ビジネスパーソンの8割が抱える契約業務の課題
まず「契約業務の課題」についておさえておきたい。
営業担当者やアライアンスを担う部門が他社と取引を行う場合、法務・総務部門に依頼し、相手企業の情報を確認してもらうのが一般的だ。しかし、Holmesが2020年1月に発表した「契約業務に関する実態調査」によれば、過去1年間に契約業務に携わった経験がある人の8割以上が、現状の契約業務に課題があると回答している。
課題でもっとも多いのは「社内外の承認に待ち時間がかかる」こと。次いで「過去の契約書が見つからない」「承認フローが不明確」という項目だった。また同調査では、法務部以外でも約4人に1人が契約業務に月10時間以上かけているという結果もある。
現場担当者と法務・総務部門など多くの人が関わり、それぞれが時間と手間をかけているのが現状だ。
Sansan×クラウドサインでどう変わる?
ではSansanとクラウドサインの連携で、何が変わるのか。
リリースによれば、Sansan上のオプション機能として「契約管理オプション powered by クラウドサイン」を新たに搭載。名刺をスキャンするだけで、相手企業との契約情報が確認できるようになる。
Sansanが持つ「会社名データ」とクラウドサインに登録されている契約データを突き合わせ、契約に必要な情報だけがSansanに通知されるほか、Sansanの会社詳細画面上でも確認が可能だ。
法務・総務担当を介さず、現場担当者自身による企業間の状況把握が可能になるため、契約までのスピードは各段にあがり、営業活動の強化が期待できる。また、紙で交わされた原本の確認作業に多くの時間を奪われていた法務部門は、大幅な業務負担の軽減につながる可能性がある。
Sansanは2019年10月に「名刺をスキャンするだけで反社チェックが可能になる新機能」を追加している。今回のオプションと一緒に活用すれば、さらなる管理部門の生産性向上が期待できそうだ。
なお「契約管理オプション powered by クラウドサイン機能」の利用には、Sansanとクラウドサイン、両サービスの契約が必要だという。
電子契約サービスの需要は高まり、企業間連携も増加
国内の電子契約市場は、クラウド化の広がりとともに拡大の一途である。ITRによれば、2022年の国内電子契約市場は117億円まで成長すると見込まれている。
政府も2024年度中に行政手続きの9割を電子化する意向を発表し、市場には追い風だ。電子化への需要は法人のみならず、一般消費者向けにも広がりを見せるだろう。
また、クラウドサインを提供する弁護士ドットコムは、2020年2月3日に契約マネジメントシステム「ホームズクラウド」を提供するHolmesとの業務提携も発表しており、市場の拡大とともに企業間の連携も加速しそうだ。
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