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ハロー効果とは?人事用語の意味と事例、面接・人事評価に使える心理学

最終更新日:(記事の情報は現在から629日前のものです)
ハロー効果とは、目立った特徴に引きずられて他の評価にバイアスがかかる心理的現象であり、後光効果とも呼ばれます。人事用語としても使用されるハロー効果の意味・種類・具体例などにくわえ、人事評価にどのように役立つのか詳しく解説します。

ハロー効果とは

ハロー効果(the halo effect)とは、人物や物を評価するときに目立つ特徴によって、他の特徴の評価にバイアス(歪み)がかかる社会心理学の現象です。わかりやすくたとえると、見た目がいいとすべてがよく見えてしまう、といった現象のことです。

目立つ特徴の評価とその他の評価に乖離がないものを「真のハロー」、乖離があるものを「ハローエラー」といいます。心理学では認知バイアスの一つとして知られている言葉です。

近年はビジネス、とくに人事評価(人事考課)で用いられる人事用語で、主に「ハローエラー」をハロー効果として使っています。

ハロー効果の語源

ハローとは、キリスト教の聖人の絵に描かれる頭上の光輪のことを指します。このように後ろから光が差すと、本来の価値以上に輝いて見え、善良で尊敬に値する人物だと錯覚することが、ハロー効果の起源です。

そのためハロー効果は「後光効果」「光背効果」とも呼ばれます。この言葉は、アメリカの心理学者であるエドワード・ソーンダイクが、1920年に自著「A Constant Error in Psychological Ratings」で初めて使用しました。

彼は本のなかで「人は他者を評価するように依頼された場合、あるひとつの特性に対する否定的な認識によって、他のすべての特性に対しても評価を下げる」ことを発見したと述べています。

なぜハロー効果は起こるのか?

なぜ人間はハロー効果を起こすのか、原因は明らかになっていません。ただし有力な説の1つとして、原始的な時代はものごとを即断することが生存に有利であったため、これを遺伝的に引き継いでいる、といった説があります。

ハロー効果の種類と具体例

ハロー効果は肯定的に動く場合と、否定的に動く場合で2種類にわけられます。

ポジティブ・ハロー効果

ハローエラーが肯定的な場合は「ポジティブ・ハロー効果」と呼ばれ、なにかひとつの側面がよく見えると、それに関するすべてがよく見える現象のことを指します。

たとえば人が出会ったときの第一印象は、後々にも大きな影響を与える場合が多くあります。そのためこの時点でポジティブ・ハロー効果を起こせれば、多少の欠点には気付かずに、いい付き合いが継続しやすくなるでしょう。

このポジティブ・ハロー効果はマーケティングにも応用されているほか、恋愛に関するテクニックとしてマスコミに取り上げられる場合もあります。

ポジティブ・ハロー効果の具体例

それでは、ポジティブ・ハロー効果にはどのようなものがあるのか説明します。

恋は盲目

恋をすると、相手のすべてがよく見えてしまうのはハロー効果です。あばたもえくぼといったことわざにもあるように、恋愛をしている相手は、欠点すら長所に見えた経験がある方も多いでしょう。

一流大学卒業

一般的に学歴が高いとその他の能力も高いと思われやすく、これもハロー効果を引き起こします。たとえば採用する人材が学歴で判断されるケースがありますが、実際には学校の勉強やテストだけが得意で実務は苦手な場合も少なくないでしょう。

政治家が、知名度の低い大学出身であるよりも、一流大学出身である方が信頼できるように感じられるのもハロー効果です。

好感度の高い有名人のテレビCM

好感度の高い芸能人やスポーツ選手を、テレビCMのイメージキャラクターに起用することで、商品のイメージアップを図るのもポジティブ・ハロー効果です。好感度や人気の高い人におすすめしてもらい、「この人がすすめるからいい商品だろう」と思わせるのです。このように、ハロー効果はマーケティングでもよく使われます。

逆に起用された芸能人に不倫や薬物といった不祥事で、テレビCM放送の中止や変更するケースもあります。これは次に紹介するネガティブハロー効果によるものです。

ネガティブ・ハロー効果

ハローエラーが否定的な場合は、「ネガティブ・ハロー効果」と呼ばれます。なにかひとつの側面がマイナスに見えると、それに関するすべてが悪く見えるようになる現象のことです。

ポジティブ・ハロー効果と対照的に、第一印象でネガティブ・ハロー効果が起こると、負の面ばかりが目につきます。後々まで引きずる可能性も高く、総合的な印象に大きな影響を与えることもあります。

ネガティブ・ハロー効果の具体例

チェーン店で不愉快な経験

全国展開するチェーン店のわずか一店舗で不愉快な思いをしたことで、チェーン店自体が悪く思えるのもハロー効果です。再度飲食店を探す際にあえて来店を避け、二度と行かなくなることもあるでしょう。

日常生活と学校での成績

学校で成績の悪い生徒に対して、素行も悪いのだろうなと考えるのもハロー効果です。
実際には成績の善し悪しと日常生活に関連があるとは限りませんが、人の一面だけを見て全体を判断しているのです。

体型と自己管理

太っている人を見て、だらしない人だろうと考えるのもハロー効果です。「太っていることは自己管理ができない証拠であり、仕事も必然的にできないだろう」と考える方もいるかもしれません。しかし太っていることと自己管理、ましてや仕事の能力にはまったく関連性がありません。

ハロー効果と類似する用語

ハロー効果には、類似する用語として次のものが挙げられます。

  • ピグマリオン効果
  • ホーン効果
  • 初頭効果
  • ウィンザー効果

ではそれぞれの用語の意味と、ハロー効果とはどのように違うのかを詳しく解説します。

ピグマリオン効果

ピグマリオン効果とは、期待をかけられた人物が成果を上げやすい現象のことです。ギリシャ神話に登場するピグマリオン王に恋いこがれた女性の彫像が、願いに応じたアプロディテ神の力で人間になった伝説に由来します。

教育心理学用語として知られ、教師の期待によって学習者の成績が向上することから、企業においてもよく利用される手法です。一方でハロー効果は対象となる相手の特徴を知ることによって、自身の相手に対する評価が変化するものです。

わかりやすく言えばピグマリオン効果は育成手法であり、ハロー効果は評価の見え方に関連した現象といった違いがあります。ハロー効果とは違った効果を発するものですが、ピグマリオン効果もハロー効果と同様にビジネスの現場で使えるのではないでしょうか。

ホーン効果

ホーン効果とは、一部の目立った悪い特徴に影響され、全体の評価にも悪いバイアスがかかる現象のことです。ネガティブ・ハロー効果と意味は同じです。ホーンは「悪魔の角」のことで、「悪魔の角効果」とも呼ばれハロー(後光)とは真逆のバイアスがかかります。

初頭効果

初頭効果とは、第一印象が相手の人物像に大きな影響を与える現象のことです。出会ってはじめに感じた印象が後になってもなかなかぬぐえないのは、この初頭効果が原因です。

ハロー効果と同じく認知のゆがみで起きる現象ですが、注目している場所に違いがあります。初頭効果は第一印象だけに注目していますが、ハロー効果は見た目や印象のほか学歴といった特徴全体に注目しています。

ウィンザー効果

ウィンザー効果とは、当事者や利害関係にある人物よりも、第三者の発した情報を信頼しやすい心理効果のことです。たとえば、飲食店を探す際に口コミの評価が低い店よりも高い店の方が選ばれやすいのは、ウィンザー効果です。

ハロー効果との違いは、評価する人物との関係性にあります。先ほどの例でいえば、友だちや好きな芸能人・有名人が高く評価する飲食店に好印象を感じるのがハロー効果で、完全匿名の口コミが高評価な場合に好印象を感じるのがウィンザー効果です。

ただし、友だちや芸能人と飲食店の間に利害関係(スポンサー契約や報酬の支払いなど)が発生していなければ、ハロー効果とウィンザー効果はどちらも発生します。

ハロー効果のメリット

ハロー効果は、特性を理解しうまく利用すれば大きなメリットが得られます。次にハロー効果の主なメリット3つを紹介します。

高い評価を受けやすい

前述したように、目立った特徴がポジティブな印象を与えられれば、そのほかのマイナス面も自動的にカバーされます。これにより全体評価で実際の評価よりも、高い評価を受けられます。対象物や人の長所を際立たせてアピールできるよう、工夫を行いましょう。

信用を得やすい

ハロー効果は、相手に対して実際以上の好感や安心感を与えられるため信用を得やすくなります。たとえば営業担当者は、うつむき加減でぼそぼそとしゃべるよりも、明るくハキハキしゃべる方が信用されやすく、注文も得やすくなるでしょう。

悪い印象を変えられる

ハロー効果には、強いマイナスイメージを好印象に転換できる力があります。たとえば、普段は部下に対して厳しく接しており、周りから恐れられている上司がいたとします。

しかし休日に公園で子どもと全力で遊び、妻を労わっている姿を見かければ、「本当は優しい人なのかもしれない」と大きく印象を変えられるでしょう。

ハロー効果のデメリット

ハロー効果のデメリットは、不当な評価や人員采配を受けやすいことです。たとえば知名度のない大学出身である場合、実際の成績よりも低く評価されるケースが考えられます。

逆に一流大学出身であるため、あまり成果を上げていないにもかかわらず高く評価されるケースもあるでしょう。不当な人事評価は優秀な人材の流出を招くため、目立った特徴を切り離し、客観的に評価することが重要です。

面接時のハロー効果の影響

面接におけるハロー効果の影響は先ほども簡単に紹介しましたが、より具体的にどのようなケースが起こりうるのか、いくつか紹介します。

経歴をもとにした判断

履歴書に記載された学歴、職歴などをもとに判断すると、面接前からポジティブ・ハロー効果、もしくはネガティブ・ハロー効果が起こりやすくなります。ポジティブ・ハローの場合は採用後に期待していた成果が出ない、ネガティブ・ハローの場合優秀な人材を逃すなど、採用に悪影響を与えます。

スキルの拡大解釈

英語が話せることや、コミュニケーション能力が高いこともポジティブ・ハロー効果を引き起こしがちです。たとえばグローバル展開を考えている企業であれば、「とにかく英語のできる人材が採用できる」と考えるかもしれません。

しかし日常英会話とビジネス英会話では、スキルレベルが違います。また英語ができることは、ビジネススキルがあることとイコールでないのは明白です。

これはコミュニケーション能力も同様で、業務の遂行にはさまざまな能力が必要であるため、1つのスキルに引きずられてはいけません。

見た目で判断

ポジティブ・ハロー効果は身だしなみが整っている、清潔感がある、表情が豊かといった、見た目の第一印象で起こる場合がほとんどです。

たとえば同程度の面接評価を受けた2人を見た際に意識的、または無意識に「この人は清潔感があるから、イケメンだから」といった理由で一方を採用することがあります。しかしこれは正しい評価法とは言えず、多角的に人物を見極める必要があるでしょう。

ハロー効果以外にも起こる人事評価誤差

人事評価は主観的な見方や人間心理の影響により、ハロー効果以外にも評価誤差を起こす可能性があります。そこで次に、ハロー効果以外の誤差要因にどのようなものがあるのか、それぞれの対策はどのように行うべきか紹介します。

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寛大化傾向

実際よりも評価が甘くなることを寛大化傾向といいます。
部下をひいき目に見たり、頼りにしている部下を実際以上に評価したりといったケースが多くあります。主な要因はことなかれ主義や倫理意識の欠如です。

対策

  • 客観性を持った評価を心がける
  • 公私混同を避ける
  • 文章記述制度にして信頼度を高める

中心化傾向

5段階の3のように、評価が中央値に偏ることを中心化傾向といいます。「部下をよく理解していない」「評価に自信が持てない」ことで、「できるだけ当たり障りのないように」といった心理が働くことが要因です。

対策

  • 6段階のような偶数評価にする
  • 十分な情報収集を行ったうえで評価する

対比誤差

評価する側が自分を基準にして、部下といった他者を評価することで生じる誤差です。
評価者の専門にかかわる分野では評価基準が高くなり、そうでない分野では低くなる傾向が見られます。

対策

  • 評価基準を明確にする
  • 評価者に客観性を意識させる
  • 評価者に評価の根拠を確認

論理誤差

よく似た抽象的な評価用語を区別できないため、評価者が自身の論理的先入観に基づいて勝手な評価をすることで生じる誤差です。
視点や着眼点などの項目で起こりやすい傾向にあります。

対策

  • 似た評価言語は隣接させない
  • 混同しやすそうな評価言語には例をつけて説明

逆算化傾向(逆算割付)

あらかじめ決定された最終評価に合わせるよう、各評価項目を逆算し帳尻を合わせること生じる誤差です。たとえばチームのリーダーが、チーム全体の評価を底上げするため、メンバーの評価を上げたいと感じた場合といった、評価者の打算が要因で発生します。

対策

  • 評価基準を明確にする
  • 自動集計やフォーマットを使い最終評価から入力させない
  • 関連部署の上司にも評価させる

期末誤差

評価の査定を行う際に、期末近くに成果やインパクトを残した人物だけを評価することで生じる誤差です。逆に期末近くに大きな失敗をした場合は、評価が下げられます。もしこの傾向が従業員に知られれば期末期間だけ努力し、それ以外を怠ける従業員が現れる危険性もあります。

対策

  • 成果や行動は細かく記録する
  • 一時的な成果に着目せず総合的な評価を行う

その他の誤差要因

この他にも寛大化傾向に対する「厳格化傾向」や、直近の行動や業績などに左右されやすい「近接誤差」などがあります。公正な人事評価を行っていくうえで、周知と対策が必要です。

面接や人事評価での評価誤差を防ぐ方法

人事評価エラー全体を防止でき、企業全体で取り組める対処法について紹介します。ハロー効果や人事評価エラーは無意識のうちに起こしていることも多く、自分一人だけでは簡単に直せません。

しかし評価誤差が生じたまま面接や人事評価を行うと、企業にとっても人材にとっても不幸な結果に終わります。採用の場合、ミスマッチの要因になり早期退職を引き起こす可能性があり、人事評価の場合は従業員の不満を招きやはり退職につながる可能性があります。しっかりと対策を行い退職を防ぎましょう。

求める人物像と評価基準の明確化

何のために採用活動を行うのか、そのためにはどのような人材が必要なのかを明確にし、判断するための基準を設けましょう。

「人手不足だから」や「毎年のことだから」といって、求める人物像や評価基準が不明確な状態ではハロー効果に陥りやすくなります。

応募者の客観的な行動や事実に着目

面接を行う時点で書類審査は通過しているため、履歴書よりも応募者の客観的な行動や事実に目を向け、判断することが重要です。

また、客観的な行動や事実を応募者から引き出すため、具体的な質問の準備を行うことも大切でしょう。

評価者訓練の実施

実際に評価を下す人物に、制度の仕組みや基準を理解し評価誤差を防ぐ訓練をしてもらうことで、人事評価制度を正しく機能させます。講義やグループワーク、ロールプレイングなどを通じ、評価能力を客観的に高めます。

また制度自体が十分に浸透せず、評価基準が不明瞭な場合には、評価を受ける方に対しての訓練も必要です。

360°評価の導入

360°評価を導入することで、多角的な視点からの評価ができます。360°評価とは、直属の上司だけでなく先輩や同僚、部下などにも評価を行ってもらう評価手法です。

それぞれに別の視点から対象者を見ているため、ハロー効果を軽減し客観的な評価が得られます。評価を受ける対象者としても、複数人が関わることで納得感を得やすくなるのもメリットです。

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ハロー効果のマーケティング応用例

最後にハロー効果をマーケティングに応用し、成功している事例や使い方をいくつか紹介します。

  • 通常1年間の製品保証が5年間の家電製品
  • 地域限定、店舗限定製品
  • 制作費の莫大さをアピールする映画

このような表現で、「品質に自信があるんだな」「ここでしか買えないなら買おうかな」「それだけお金をかけた映画ならおもしろいに違いない」と消費者に思わせます。ハロー効果を使い「製品やサービス自体のクオリティもいいだろう」と感じさせているのです。

ハロー効果を理解して正しい評価基準を

ハロー効果はマーケティングや恋愛で活用されており、ビジネス面では人事評価や社内での人間関係に大きな影響を与えています。しかし円滑な企業活動を行っていくためには、これらの心理的現象は排除しなければなりません。ハロー効果がどのような形で私たちの心理面に影響するのか、理解することが重要です。

次の記事ではハロー効果の影響を極力減らせる、人事評価システムについて紹介しています。人事評価でお困りの方は、この機会にぜひ導入を検討してはいかがでしょうか。

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