CXM(カスタマー・エクスペリエンス・マネジメント)とは?顧客体験価値を提供する方法
近年、企業のマーケティング活動において注目されているCXMという考え方を知っているでしょうか?
もし長年ビジネスに関わっている人でも、CXMという言葉自体を知らない人もけっして少なくはないでしょう。ですが、これからWebコンテンツを利用したマーケティングを考えるうえでは欠かせない手法なので、この機会にぜひ知っていただきたいと思います。
目次を閉じる
CXMとは
まずはCXMの詳しい説明からです。似たような概念であるCRMや、実際の運用で重要となるCMSとの違いについても押さえておきましょう。
CXMとは何か
CXMとは、「Customer Experience Management(カスタマー・エクスペリエンス・マネジメント)」の略語であり、企業のマーケティング分野においてはまだ比較的新しい概念です。
「カスタマー・エクスペリエンス(CX)」とは、単純に「顧客経験」や「顧客体験」と訳せます。マーケティングでよく使われる言葉で、簡単にいえば、企業の提供する商品やサービスを購入する際に体験する感動や心地良さなどの感覚的な付加価値のことです。
顧客がそういった価値を感じるようにすることで、企業ブランドの構築を狙ったり、周りに口コミで拡散してもらったりすることがCXMの主な目的となります。良質な顧客体験を創造することによって顧客ロイヤルティを高めようとしているわけです。
世間に似たような商品やサービスが溢れている現代において、顧客はインターネットなどで「どの商品が優れているのか?」を比較するのが当たり前になりました。自社の商品やサービスを選んでもらうための根拠やきっかけを、企業自らが積極的に創造しなければならない時代と言えるでしょう。
CXMはそういった企業ニーズとともに生み出された概念であり、企業は顧客体験を能動的に創造し、適切にマネジメントすることによって長期的な利益を確保しようと日々努力する必要があります。
CRMとCXMの違い
CXMと似たような概念に、CRM(Customer Relationship Management)があります。CRMは、すでに何年もの間マーケティング分野で使われている用語なので、なじみのある人もいるでしょう。簡単にいえば顧客との関係構築に重点をおいたマーケティング手法や、顧客との関係構築をするための情報システムを指します。
CRMは、顧客一人ひとりとの関係をなるべく詳細にデータベース化することによって、それぞれの顧客ニーズに対応した最適なアプローチをすることを目的としています。そうすることで自社商品の差別化を図りつつ、顧客との長期的な関係を構築するのが狙いです。
それに対してCXMは、あくまでも顧客が自社の商品やサービスを購入するプロセスや購入後の利用シーンを想定しながら、そこに価値のある経験や体験を付加することによって顧客ロイヤルティを高めていくことが狙いです。大まかにはCRMの範疇とも捉えられますが、顧客にとって、より感覚的な側面にフォーカスしているといえます。
顧客マネジメントにおける考え方の変遷という観点からみると、2000年前後に登場してきたのがCRMであり、考え方に磨きをかけつつ、時代の流れにマッチするようにカスタマイズしたのがCXMと言えるでしょう。
CRMについて詳しく知りたい方はこちらの記事もご覧ください。
CMSとCXMはどちらも顧客管理ツール?
CXMを顧客情報システムという観点から捉えると、上記のCRMとWebコンテンツ管理システムであるCMS、そして近年注目されているMA(マーケティングオートメーション)の概念を取り入れた、顧客管理ツールとも定義できます。
企業のWeb戦略において、いまやCMSは欠かすことのできないものであり、数え切れないほどの種類が存在します。しかし、数が多いだけに凡用化が進んでおり、どのCMSも基本的な機能を備えているため、これといった差がみられないのが現状です。
機能の差でツールを選ぶのが難しい中、最近ではCXMの考え方を取り入れたツールが登場してきています。より効率的な顧客ロイヤルティの向上を目指して、顧客体験の創造を実現する機能を備えたツールを開発するベンダーが登場してきました。情報システムという側面において、CMSはCXMへと進化しているともいえるでしょう。
CXMに取り組むメリット
CXMに取り組むことで、さまざまなメリットを得られます。
まず、CXMへの取り組みで、自社の製品やサービスのファン(ロイヤルカスタマー)を増やせます。ロイヤルカスタマーが増えれば、長期的に安定した売上が見込めるでしょう。さらに、ロイヤルカスタマーからの口コミの投稿により、多くの人に認知を広められる可能性もあります。現代において、口コミは大きな宣伝効果を持っているため、強力な集客手段となり得ます。
また、CXMの体験により競合との差別化が生まれ、価格競争を避けられる点もメリットの一つです。物があふれ消費者のニーズが多様化してきた現代では、製品やサービス自体で差別化を図ることは難しくなりました。しかし、CXMで差別化を図ることで顧客から選ばれるようになり、価格競争を避けられます。
CXMを実現するためのポイント
CXMは顧客経験の管理システムと言えます。そのため、実際に効果のあるCXMを実現するための手法としては、まず自社の顧客を理解することがもっとも重要です。
特に、どういうチャネルで顧客との接点をもつのがベストなのかを導き出す必要があるでしょう。それによって実際に売上につながるアプローチを発見し、それを実現するための機能を管理システムに取り入れていくわけです。次に、そのためのポイントをいくつか挙げてみます。
ポイント(1)セグメンテーションによる顧客ターゲティング
顧客の年代や性別、居住地といった統計データから、彼らが実際にどういうWebページを閲覧しているのか、閲覧の基準は何なのかといった行動履歴に関するデータを収集します。
これらのデータを組み合わせながら、自社商品の強みを訴求できる顧客セグメントを発見します。これはCXMに限らず、いかなるマーケティング戦略を構築するうえでも基本となるプロセスでしょう。
ポイント(2)顧客の特性に合わせたコンテンツの表示
顧客に関する詳細な分析によって、リアルタイムで最適なWebコンテンツを表示させるように工夫します。顧客セグメントの特性に応じて、それぞれパーソナライズされた情報を届けることが重要です。
それによって、顧客は欲しい情報をすぐに手に入れられる可能性が高まり、他の商品やサービスへの顧客の流出を防げます。顧客は好きなタイミングで必要な情報を提示してくれる企業にロイヤリティを感じるものです。
ポイント(3)徹底したABテスト
ABテストとは、主にWebページや広告のデザインや機能、あるいは掲載するコピーなどを数パターン用意し、顧客の反応を測定することです。
まず顧客セグメントごとの分析によって、効果のありそうなデザインやコピーを何パターンか用意します。そして、テスト運用してみることで実際に反応がとれるかどうかを確認するわけです。特にCXMでは、具体的な顧客体験やコンセプトを何パターンか用意して、実際に反応のとれるものを残していくアプローチになるでしょう。
ポイント(4)顧客情報の可視化
効果のあるCXMを実現するためには、適切な顧客セグメンテーションが不可欠です。そして精度の高いセグメンテーションを実現するためには、顧客一人ひとりのアクセス履歴や訪問頻度などをなるべく詳細に把握する必要があります。
特に近年では、PCやスマートフォンなど異なるデバイスでWebページを訪問する顧客が増えているため、同一人物であるとしっかりと認識しておかなければいけません。
こういったポイントに気をつけながら、適切な顧客セグメントに適切な体験を積ませるような戦略を立てることが、CXMの勘所といえるでしょう。
CXMを成功させるために必要なこと
CXMの簡単な説明からCRMやCMSとの違い、そして実際に運用する際のポイントについて説明してきました。CXMを成功させるためには、これまでのマーケティング手法でも重要だといわれている基本をしっかりと押さえながら、顧客一人ひとりに良質な体験をさせるための戦略を立てる必要があります。
具体的にどういう体験を提供するかは企業によって違ってきますが、ベースとなるセグメンテーションやABテストといった手法は普遍的なものなので、しっかりと活用できるようにしましょう。
関連記事
BOXILとは
BOXIL(ボクシル)は企業のDXを支援する法人向けプラットフォームです。SaaS比較サイト「BOXIL SaaS」、ビジネスメディア「BOXIL Magazine」、YouTubeチャンネル「BOXIL CHANNEL」を通じて、ビジネスに役立つ情報を発信しています。
BOXIL会員(無料)になると次の特典が受け取れます。
- BOXIL Magazineの会員限定記事が読み放題!
- 「SaaS業界レポート」や「選び方ガイド」がダウンロードできる!
- 約800種類のビジネステンプレートが自由に使える!
BOXIL SaaSでは、SaaSやクラウドサービスの口コミを募集しています。あなたの体験が、サービス品質向上や、これから導入検討する企業の参考情報として役立ちます。
BOXIL SaaSへ掲載しませんか?
- リード獲得に強い法人向けSaaS比較・検索サイトNo.1※
- リードの従量課金で、安定的に新規顧客との接点を提供
- 累計1,200社以上の掲載実績があり、初めての比較サイト掲載でも安心
※ 日本マーケティングリサーチ機構調べ、調査概要:2021年5月期 ブランドのWEB比較印象調査