交通費精算で領収書が不要な場合とは?経費精算を効率化する方法も
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経費精算では領収書が必要
経費精算では原則として領収書が必要です。特にみずから確定申告をする必要のあるフリーランスや個人事業主は必ず保管しておきましょう。
領収書は支払いの証拠として残しておく必要があり、次の項目が記載されていなければなりません。
- 取引年月日(対象となるモノやサービスを購入した日)
- 取引先(購入先の企業・店舗)
- 取引金額(購入金額)
- 購入した商品・サービスの名目(商品名やサービスの内容)
これらは経費に関わるほとんどの商品・サービスに共通しており、一般的には領収書を購入先の企業や店舗から発行してもらいますが、同項目が記載されていれば店のレジで手渡されるレシートでも問題ありません。
交通費精算で領収書が不要な場合
一方、経費精算には必ずしも領収書が必要ではないケースもあります。代表例が交通費であり、電車やバスなど領収書をもらうことが難しい場合は、交通費精算で領収書を必要としない企業も多いようです。
交通費精算には、領収書が必要な場合と不要な場合のどちらのケースも考えられます。具体的に領収書が不要な場合の交通費について説明します。
3万円未満の交通費
多くの企業では、3万円未満の交通費は領収書を不要としています。これは消費税法施行令の第49条において、3万円未満(税込)の取引は、請求書の提出をしなくてもよいと記載されているためです。
法的には領収書の提出は不要とされていますが、タクシーや新幹線といった領収書を発行してくれる交通機関を利用した場合は、基本的に領収書をもらっておくのが無難です。
参照:国税庁「No.6496 仕入税額控除をするための帳簿及び請求書等の保存」(令和3年9月1日現在の法令)
インボイス制度でも交通費の領収書は不要か
2023年10月より導入されるインボイス制度では、仕入税額控除のためには、3万円未満の取引にも領収書が必要になります。
ただし、インボイス制度でも、特例として、3万円未満の公共交通機関の運賃の領収書は不要です。
3万円以上の交通費で領収書が不要な場合
3万円以上の交通費には、基本的には領収書が必要です。駅や切符窓口で乗車券を購入する場合は、その場で領収書をもらうようにしましょう。
一方、3万円以上の交通費の場合でも、消費税法施行令の第49条には、やむを得ない理由がある際には領収書を提出しなくてもよい旨が記載されています。
一例としては、領収書の発行を交通機関側が(自らの都合で)拒否したケースが考えられます。利用側の都合ではないため、例外的に領収書がなくても認められるケースもあるようです。
ただし、領収書を発行してもらったにもかかわらず、申請者が紛失した場合や領収書をもらうことを失念していた場合などは、認められないので注意しましょう。
もし領収書をもらい忘れた場合は、後日あらためて発行してもらえる場合もあるので、利用した交通機関に確認するのがよいでしょう。
3万円未満は交通費精算書を作成
交通費が3万円未満の場合、法的には領収書の提出は不要となっていますが、企業によっては領収書の提出の代わりに交通費の精算に関わる書類「交通費精算書」の作成を求めるところもあります。
詳しくは後述しますが、交通費精算書は基本的に従業員側の自己申告となるため、後から経理担当が理解できるようにできる限り詳細に記録しておく必要があります。
反対に経理担当者は、適切な精算がなされるようにあらかじめ規定にてまとめておくのがおすすめです。交通費精算をふくめ、経費精算の規定を作成する方法についてはこちらで解説しています。
領収書がない場合の交通費精算
交通費が3万円未満の場合や特段の理由がある場合には、領収書の提出が不要なケースが多いです。しかし、領収書がない場合の経費精算はどうするのでしょうか。
領収書がない場合の具体的な交通費精算について説明します。
交通費精算書を作成する
前述のように、領収書なしで交通費を精算する場合は、交通費精算書を作成する企業が多いです。交通費精算書は、交通費をまとめて精算するための書類であり、主に次の項目を記入します。
- 氏名
- 所属
- 金額
- 移動区間(出発地・到着地)
- 移動手段
- 利用交通機関
- 日付(利用年月日)
- 移動目的
これら基本情報に加えて、片道か・往復か、訪問先などの項目を記載するケースもあります。特に移動目的については詳細に説明を求める企業もあるようです。
交通費精算書を作成する際は、不明点を経理担当者に相談しながら、必要項目を正しく記載する必要があります。必要に応じて適宜説明を加えるのもいいでしょう。
>>旅費交通費とは | 出張旅費規程から通勤手当、交通系ICカードの仕訳
出金伝票を作成する
個人事業主や規模の小さい企業の場合、経費申請をする人(従業員)が自ら「出金伝票」を記載するケースもあります。出金伝票は、簡単にいえば領収書がない(提出できない)場合の現金の支払い記録で、記載項目は次のとおりになります。
- 申請日
- 氏名
- 摘要(商品・サービスの内容)
- 支払先
- 勘定科目
勘定科目については企業によって違いはあるものの、本来の勤務地での業務に関するものを「交通費」として、出張をはじめ他の場所での移動にかかったものを「旅費交通費」とするケースが多いでしょう。
出金伝票を記載するときは必要項目を正しく記入するほかに、摘要欄をだれが見てもわかりやすく記入しましょう。
交通費精算書・出金伝票で必要な書類
交通費精算書や出金伝票を申請者本人が作成する場合には、交通機関を利用したことを裏付ける添付資料も可能な限り準備する必要があります。
電車を利用する際に発券機で領収書を発行でき、SuicaをはじめとしたICカードの場合は、アプリやWebサイトから利用明細(領収書)を印刷できます。
交通機関の利用が多い場合は出金伝票だけでなく、現金出納帳に記帳しておくと間違いをなくすのに有効です。
交通費精算を効率化する方法
交通費精算を効率化するための方法を2つ紹介します。
交通系ICカードを利用する
交通系ICカードの利用履歴を活用することで、交通費精算を効率化できます。ICカードは利用履歴が確実に残るため、利用するたびに領収書を発行しなくても後から簡単に確認できます。
経理側であらかじめチャージ済みのICカードを提供してもらうことで、精算の手間をなくす運用も考えられるでしょう。最近ではICカードと連携可能な経費精算システムも多いので、自社でシステムを導入している場合は利用を検討するとよいです。
交通系ICカードは、ICカードリーダーさえあれば場所を選ばず精算できる点や、経路確認が容易になるため、経理担当者の負担が軽減されるメリットがあります。
クラウド経費精算システムを利用する
経費精算のクラウドサービスを利用することで、交通費精算の自動化や業務効率化を実現できます。
電車やバスの乗り換えに多くの人が利用しているアプリ「乗換案内」と連携できる経費精算システムも多く登場しており、行きたい場所へのルートを検索するだけで交通費を自動計算してくれます。
また、従業員が交通機関を利用したときに、直接交通費を入力できるシステムもあり、経理側がリアルタイムで支出を把握できる点もメリットです。
電子帳簿保存法に対応した経費精算システムを導入すれば、交通費精算に限らず、スキャナ保存したすべての領収書の原本保管が不要になります。従業員の経理への領収書の提出も不要になり、膨大な紙の領収書の保管の手間や保存スペースもいらなくなります。
経費精算システムは、煩雑な経費精算の手間を削減することで、経費を申請する従業員と精算する経理担当者の双方の業務を効率化できるので、ぜひこの機会に導入を検討してみましょう。
経費精算業務の効率化で生産性を向上させよう
交通費精算で領収書が必要な場合と不要な場合の違い、精算に必要な書類に関して解説しました。交通費が3万円未満の場合、法的に領収書は不要とされていますが、できるだけ交通費に関する領収書はもらっておくようにしましょう。後から必要書類の作成に必要なケースも少なくありません。
また、効率的に交通費精算をするためには、ICカードや経費精算システムの利用がおすすめです。経理業務のミスを減らし、業務負担を軽減できるシステムの導入を検討してみてください。日常の経費精算の手間を省くだけで、重要な業務に集中できるようになります。
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