クレドとは?意味や作成方法・企業のメリットと導入事例
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- クレドとは
- クレドと企業理念・経営理念の違い
- クレドとバリューの違い
- クレドとパーパスの違い
- クレドが注目される背景
- クレドの導入メリット
- コンプライアンスの強化
- 従業員の目標意識が高まる
- 人材育成につながる
- 従業員のモチベーションアップ
- クレドの作成方法
- クレド導入の計画や目標を立てる
- 企業の方針や理念を議論する
- 経営者の意見を調査する
- 全社員にアンケートを行う
- クレドを文章化し共有する
- クレドを導入した企業の事例
- リッツ・カールトンのクレド
- 楽天グループのクレド
- クレドを導入する際の注意点
- クレドのオリジナリティ
- クレドを浸透させる取り組み
- クレドの導入で持続的に成長できる人的資本経営を
- 注目の人事評価システム、サービス資料まとめ
- BOXILとは
クレドとは
クレドとは、企業の従業員が心がけるべき行動指針や信条を明文化したものです。ラテン語で「約束」や「信条」を意味する「Credo」が語源となっています。
クレドは1943年に、米国企業のジョンソン・エンド・ジョンソンが「我が信条(Our Credo)」として、会社の果たすべき社会的責任について起草して、全世界に広まりました。
企業はクレドを作成し、従業員に浸透させることにより、従業員のモチベーションアップやコンプライアンスの強化といったメリットが期待できます。
クレドと企業理念・経営理念の違い
クレドは、企業理念や経営理念と同様の意味で使われることもよくあります。
企業理念を表すものとしては、経営学者のピーター・ドラッカー氏が提唱した、ミッション、ビジョン、バリューの3つのステートメントが多くの企業で制定されています。
ミッション:企業の存在意義や使命
ビジョン:中長期的に目指す目標
バリュー:大切にする価値観や行動指針
企業理念のミッション、ビジョン、バリューのほかにクレドを作成している企業では、クレドはより具体的な言葉で、従業員の行動指針について明文化しています。
クレドとバリューの違い
企業の中には、バリューを「顧客への提供価値」と定義して、従業員一人ひとりが守るべき行動指針を、クレドとしてわかりやすく表現している場合もあります。
クレドとパーパスの違い
クレドとともにパーパスを制定している企業も増えています。
パーパスとは、企業や組織の「存在意義」のことを意味します。新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のパンデミックや地球温暖化による気候変動の危機に面して、自社の社会的存在意義について考える動きが活発化しました。
パーパスとミッションの違いは、パーパスはミッションよりも社会性を意識したもので、サステナビリティやSDGsのための使命などを含んだものが多く見られます。パーパスには、社会に良い価値を提供することが含まれているので、消費者の共感が得られるブランディング効果もあります。
クレドが注目される背景
クレドが世界的に注目されたのは、2000年代の前半からです。当時は企業の不祥事が相次いでおり、企業の社会的責任やコンプライアンスが求められていました。このような状況で、企業において社会的に求められる行動規範の制定や、経営理念の浸透のための手段として注目されたのがクレドです。
近年は、従業員の不祥事によるSNSでの炎上や、人的ミスやリテラシーの欠如による情報漏えいが発生し、企業の信用やブランドイメージに大きなダメージを与えています。
そのため、企業の社会的責任や倫理観を従業員に浸透させることで、コンプライアンスを重視した企業経営を実現しようと、クレドを導入する企業が増加しています。企業によっては、独自のクレドカードをデザインして、従業員に常にクレドを意識させるようにしているケースも見られます。
クレドの導入メリット
企業はクレドを導入することで次のようなメリットがあります。
- コンプライアンスの強化
- 従業員の目標意識が高まる
- 人材育成につながる
- 従業員のモチベーションアップ
それぞれのメリットについて詳しく説明します。
コンプライアンスの強化
企業がクレドを導入する最も大きな目的は、コンプライアンスの強化です。
クレドでコンプライアンスを強化することで、企業の信用を毀損するような事態が発生するのを防止できます。組織にコンプライアンス重視の文化が浸透していき、働きやすい透明性のある職場環境や人的資本経営につがっていきます。
従業員の目標意識が高まる
クレドは、企業が実現すべき価値や従業員に求められる行動指針を明確にします。
従業員が日ごろからクレドを意識することで、企業ビジョンの実現のための目標設定が個人からチームまで可能になり、組織が一体となって目標達成のために進んでいくようになります。
人材育成につながる
人材育成には業務に必要なスキルや知識であるスキルセットを育成する部分と、自社の企業文化を浸透させるマインドセットの育成があります。
マインドセット育成のためには、定期的に研修を受けたり講演を聞いたりするよりも、日ごろからクレドを意識して業務を行う方が効果的です。
クレドを従業員に浸透させることによって、企業文化を体現する人材の育成につながります。クレドを導入して人事育成を行う場合は、人事評価制度の見直しや改善を実施するとより効果的です。
従業員のモチベーションアップ
すべての従業員が、クレドを通じて共通の目標を持つことにより組織の一体感が生まれます。一体感を持った組織で働くことは、従業員のモチベーションやエンゲージメントの向上につながります。
また、従業員のモチベーションアップや維持を行う場合は、1on1や360度評価も効果的です。
クレドの作成方法
クレドを作成して導入するためには、次の5つのステップが必要です。
- クレド導入の計画や目標を立てる
- 企業の方針や理念を議論する
- 経営者の意見を調査する
- 全社員にアンケートを行う
- クレドを文章化し共有する
それぞれのステップについて詳しく説明します。
クレド導入の計画や目標を立てる
何のためにクレドを導入するのか、どのようなスケジュール感でクレドを作成するのかなど、おおまかな目標を立てます。
クレドの作成は、担当者を1人用意すればいいというものではなく、全社員が作成に関わらなければなりません。そのため日常の業務に支障をきたさないように計画を立てる必要があります。
企業の方針や理念を議論する
クレド作成の第一段階は、企業が持つ方針や理念を明確にすることです。クレドと企業理念、経営理念の意味には大きな違いはないと説明しましたが、クレドは従業員に企業理念やミッションを浸透させるための手段として利用されることが多いです。
各部署や役職者でまず企業理念や行動指針について議論し、企業全体の方向性を明確にした方がよいでしょう。
経営者の意見を調査する
クレドを作成する際に貴重なヒントになるのが経営者の意見です。経営者は会社全体を統括する存在であり、意見には企業理念や行動指針を示すヒントが多く隠されています。
クレドを作成する際は、経営者にインタビューや方針を決める会議に同席してもらう時間を取ってもらい、意見を聞くようにしましょう。
全社員にアンケートを行う
全社員にアンケートを行うことはクレド作成では重要なポイントです。従業員の意見が反映されることで、一人ひとりが作成に関わった自覚を持て、効果的にクレドを浸透できます。
「クレドをどうすればよいのか?」という質問ではストレート過ぎて意見が集まらないと考えられるので、「この会社の良いと思うところは?」「仕事のやりがいは?」など抽象的な質問に分解してアンケートを実施した方がいいでしょう。
クレドを文章化し共有する
クレドは作成すれば終わりではなく、従業員にいかにクレドの行動指針や理念を浸透させるかが重要なポイントになります。
従業員にクレドを浸透させるためには、理解しやすいキャッチーな文章で一つひとつ指針を書くことを意識するのがよいでしょう。
また、社内の目立つところに掲示したり、コンパクトなクレドカードを配布して従業員に常に携帯させたりなど、クレドを日ごろから意識させることも重要です。クレドカードをPCや社内SNSの壁紙に取り入れるのもおすすめです。
クレドを導入した企業の事例
リッツ・カールトンのクレド
クレドを導入している企業の事例としてよくあげられるのが、世界的なホテルチェーンである「リッツ・カールトン」です。
リッツ・カールトンでは、従業員満足度の高さが顧客の感動を生み出すと考えて、創業当初からクレドを作成、従業員に仕事の意義を伝え、自身の仕事に誇りを持てるようなマネジメントを行っています。
- リッツ・カールトンのクレド
リッツ・カールトンはお客様への心のこもったおもてなしと快適さを提供することをもっとも大切な使命とこころえています。
私たちは、お客様に心あたたまる、くつろいだ、そして洗練された雰囲気を常にお楽しみいただくために最高のパーソナル・サービスと施設を提供することをお約束します。
リッツ・カールトンでお客様が経験されるもの、それは感覚を満たすここちよさ、満ち足りた幸福感そしてお客様が言葉にされない願望やニーズをも先読みしておこたえするサービスの心です。
※出典:ザ・リッツ・カールトン「 ゴールドスタンダード」
リッツ・カールトンの企業理念は「ゴールドスタンダード」で、企業理念を具体化したのがクレドです。ちなみに、クレドをさらに具体化した、「モットー」「サービスの3ステップ」「サービスバリューズ」「第6のダイヤモンド」「従業員との約束」なども同社の理念を具体化したものとして従業員に共有されています。
楽天グループのクレド
楽天グループでは、「楽天主義」という企業のあり方とすべての従業員が理解し実行する価値観・行動指針を制定しています。「楽天主義」は、「ブランドコンセプト」と「成功のコンセプト」の2つで構成されており、遵守すべき「楽天グループ企業倫理憲章」もあります。
「成功のコンセプト」は、楽天の「ブランドコンセプト」を実現するための共感度と実現度を高めるためのクレドといえます。
- 成功のコンセプト
常に改善、常に前進
Professionalismの徹底
仮説→実行→検証→仕組化
顧客満足の最大化
スピード!!スピード!!スピード!!
※出典:楽天グループ株式会社 「 楽天主義」
クレドを導入する際の注意点
クレドのオリジナリティ
クレドは、どんな企業にもあてはまるような一般的な内容では意味がありません。自社のミッションやパーパス、企業文化を反映した、わかりやすい独自の文言で構成する必要があります。
クレドの作成には、全従業員や経営者の参加が前提となりますが、最終的な文言への落とし込みは、コンサルティングやクリエイティブの専門家に依頼するのも一つの方法です。クレドのフレーズが陳腐だったり古臭かったりしては、従業員が尊重するのは難しくなります。クレドは、何回読んでも心に響き、心に残るフレーズになるのが理想です。
クレドを浸透させる取り組み
クレドは従業員の行動指針とするための理念のため、従業員に浸透させなければ意味がありません。
クレドを守ろうとする意欲を高めるためには、作成段階から従業員の意見を募ったり、作成に参加できたりする体制を整えることが効果的です。また、作成したクレドに矛盾があっては指針とならないので、クレドが妥当かどうかの検証も必要です。
クレドは作成しただけではなく、従業員に浸透してはじめて効力を発揮します。クレドが従業員に浸透するように、集会での読み合わせやクレドカードの配布といった取り組みも考えておき、従業員がクレドを意識できる仕組み作りを進めてください。
クレドの導入で持続的に成長できる人的資本経営を
企業は、時代に合ったクレドを従業員の意見を聞き作成することで、一人ひとりが自分の仕事の意義を感じ、共通の目標のためにエンゲージメントを高めて働けるようになります。
クレドを導入することで、各従業員は自社の経営理念や行動規範に沿って活動できるようになり、企業文化に合致した人材育成やコンプライアンスの強化、ひいては人的資本経営による企業価値の向上につながります。
クレドを運用して人事育成、評価、目標管理を行う場合は、クラウドサービスの利用がおすすめです。
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