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人材ポートフォリオ作成・分析ツールおすすめ6選│作り方・事例

最終更新日:(記事の情報は現在から148日前のものです)
人材ポートフォリオとは、企業が経営戦略や事業戦略を達成するために必要な人材データを可視化するものです。本記事では、人材ポートフォリオのメリットや作り方、活用企業事例、作成に役立マネジメントツールを紹介します。

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人材ポートフォリオとは

人材ポートフォリオとは、企業が事業戦略の達成のために、必要な人材を予測したり、分析したりする施策のことです。

社内のどの部門や役職にどのような人材がどれくらいいるかを示すもので、人材を適切に組み合わせて経営や企業価値の最大化を目指すために活用されます。

すべての従業員のスキルや経験、業績などを人材ポートフォリオとして一元的に管理したうえで、データをもとに従業員の能力や適性を評価したり、最適な人材配置やキャリアパスの設計を行ったりします。

人材ポートフォリオが注目される背景

人材ポートフォリオが注目される背景は次のとおりです。

  • 労働力人口の減少
  • 働き方の多様化
  • 労働やビジネスを取り巻く環境の変化
  • 人的資本経営の浸透

それぞれ詳しく解説します。

労働力人口の減少

人材ポートフォリオが注目される背景のひとつが、労働力人口の減少です。

日本では少子高齢化の影響で労働力不足が深刻化しています。2022年の労働力人口は前年より5万人減少し、15~64歳の労働力人口でいえば6万人減少しています

そのため、限られた労働力を効率的に活用するために人材ポートフォリオの必要性が認知されています。人材ポートフォリオの活用により、注力すべき業務や、業務ごとの必要人数を明確に把握できるため、最大の効果を発揮することにつながります。

※出典:総務省統計局「就業状態の動向」(2024年6月27日閲覧)

働き方の多様化

働き方の多様化も、人材ポートフォリオが注目される理由です。

働き方改革の推進もあいまって、現在ではフルタイム勤務のほかに時短勤務やリモートワーク、フレックスタイムといったさまざまな働き方があります。

企業はこれまでの雇用形態にとらわれることなく、企業に属する人材をどこに配置するのが最も効果的かを検討・実現するために、人材ポートフォリオを活用する傾向にあります。

労働やビジネスを取り巻く環境の変化

労働環境やビジネスを取り巻く環境の変化も、人材ポートフォリオが注目される理由です。現在では、女性の社会進出や共働き家庭の増加、高齢者の活用、ワーク・ライフ・バランスの実現に対応しなければなりません。

また、IT技術の進歩やAIの導入によるビジネス環境の変化に対応するためにも、適切で効果的な人員配置が重要です。VUCA時代の予測不能な環境では、適材適所の配置を実現するための人材ポートフォリオが重要になるでしょう。

人的資本経営の浸透

人的資本経営の浸透も、人材ポートフォリオが必要とされる背景のひとつです。

人的資本とは、従業員が持つスキル、知識、ノウハウ、資源などを資本として捉える考え方で、日本では2023年3月期決算から、上場企業に人的資本の情報開示を義務づけています。

人的資本経営では、従業員の能力を投資対象として見極めるため、人材ポートフォリオの必要性が高まっています。

人材ポートフォリオを作るメリット

人材ポートフォリオを作成するメリットは次のとおりです。

  • 人材配置を最適化できる
  • 従業員のキャリア開発に役立つ
  • 人材や人件費の過不足が可視化できる

それぞれ詳しく解説します。

人材配置を最適化できる

人材ポートフォリオを作成することで、企業や組織の人材配置を最適化が期待できます。

人材を適切に配置するためには、従業員のスキルや経験、キャリア志向を可視化したうえで、最適なポジションに配置する必要があります。そうしたデータの可視化をする方法のひとつが人材ポートフォリオの作成です。

適材適所の配置を実現できれば、従業員のモチベーションアップや職場全体の士気向上を期待できるでしょう。また、従業員が自身の能力を活かせる環境で働くことで、仕事に対する満足度の向上と離職率の低下にもつながります。

従業員のキャリア開発に役立つ

人材ポートフォリオの作成は、従業員のキャリア開発にも役立ちます。人材ポートフォリオにより従業員は自身の強みや弱みを把握でき、成長のための具体的な目標設定が行えるほか、現在のスキルレベルと今後必要なスキルや経験を明確化できます。

企業側も従業員のキャリア志向を把握することで、適切な研修プログラムやプロジェクトへの参加を促進しやすくなります。従業員のキャリア開発を支援することで、企業内の人材育成が促進され、組織全体のスキルレベルも向上するでしょう。

人材や人件費の過不足が可視化できる

人材や人件費の過不足が可視化できるのも、人材ポートフォリオを作成するメリットです。人材ポートフォリオでは、従業員のスキルや役割に加えて、部署ごとの人員数や給与などを体系的に整理して把握できます。

そのため、企業は人材配置の現状を把握しやすくなり、どの部門で人材が不足しているか、あるいは過剰かを迅速に判断可能です。ある部署で人材が足りないことが把握できれば、過剰な人材が在籍する部署からの配置転換やスキルアップのための研修の提供といった施策を講じられます。

人件費の管理でも、人材ポートフォリオを活用することで、各部門の人件費を詳細に把握でき、生産性の可視化に役立ちます。

人材ポートフォリオの作り方

人材ポートフォリオの作成方法は次のとおりです。

  • 人材ポートフォリオを活用する目的を明確にする
  • 自社に必要な人材を定義して分類する
  • 自社の現状を分析する
  • 理想と現状の差を埋める方法を考える

それぞれ詳しく解説します。

人材ポートフォリオを活用する目的を明確にする

人材ポートフォリオを作成する際は、目的を明確にすることから始めます。活用目的を明確にすることで、「作成したポートフォリオの使い方がわからない」といったこともないでしょう。

また、目的が明確であれば従業員の協力を得やすくなり、スピーディーに必要な情報を集められる可能性が高まります。

自社に必要な人材を定義する

目的を明確にしたら、自社に必要な人材を定義してグループ分けを行います。

人材の定義は、経営戦略や事業計画と連動させることが重要です。一般的には、縦軸と横軸の4象限で分類し、雇用形態や業務の性質、人材のタイプといった軸で分けます。

例として、次のようなグループ分けの方法があります。

志向性×得意分野
マネジメント人材(組織志向×創造が得意) オペレーション人材(組織志向×運用が得意)
クリエイティブ人材(個人志向×創造が得意) エキスパート人材(個人志向×運用が得意)

企業によって経営戦略や事業計画が異なるため、カスタマイズして分類パターンを設定しましょう。

分類して、自社の現状を分析する

必要な人材の定義ができたら、企業や組織に在籍している人材を分類し、現状を把握します。

分類の際には主観的な判断とならないように、適性検査や従業員サーベイ、スキルテストなどを用いて、定量的かつ客観的なデータをもとに行いましょう。

人材を分類することで、自社の人材がどのグループで不足しているか、または過剰かを数値で可視化できます。

理想と現状の差を埋める方法を考える

現状を分析できたら、理想とする状態とのギャップが判明するでしょう。過不足している分類によって必要な打ち手は異なるため、慎重に検討を重ねていきます。

ギャップを埋める方法としては、採用や育成、配置転換、イグジットマネジメントなどの方法があります。

  • 採用:新卒採用、リファラル採用、ダイレクトリクルーティングなど
  • 育成:社内・社外研修、OJT、メンター制度、評価・目標制度の構築など
  • 配置転換:異動、転勤、出向など
  • イグジットマネジメント:役職定年、早期退職募集、起業・転職支援など

とくにイグジットマネジメントは従業員の不信感を募らせる恐れがあるため、人材が過剰だからと安易に実施せず、リスキリングや配置転換などを用いて適材適所の実現を目指しましょう。

人材ポートフォリオを作る際の注意点

人材ポートフォリオを作成する際は、次のポイントに気をつけましょう。

  • 優劣をつけない
  • 時間やコストがかかる

それぞれ詳しく解説します。

優劣をつけない

人材ポートフォリオを作成する際は、従業員の優劣をつけてはいけません。

重要なのは、客観的で科学的な根拠をもとに、従業員の能力やスキル、特性を把握することで、経営戦略の達成や従業員のパフォーマンス最大化を目指すことです。

従業員一人ひとりの良さや強みにフォーカスを当てるようにしましょう。

時間やコストがかかる

人材ポートフォリオの作成は、全社規模でのプロジェクトとなるため、時間やコストがかかります。客観的なデータを取得するためには、スキルや経験のデータ収集、適性検査、従業員サーベイなどを実施する必要があります。

また、作成した人材ポートフォリオは定期的に見直す必要があるため、データを一元管理して随時更新していかなければなりません。

そのため、人材データの収集や更新を根気よく行う必要があることを念頭に置きましょう。

効率的に人材ポートフォリオを作成したい場合は、人材データベースの作成やデータの分析、可視化に活用できるタレントマネジメントツールの導入がおすすめです。

人材ポートフォリオの作成に役立つタレントマネジメントツール6選

タレントマネジメントツールには、人材データベース構築や配置シミュレーション、組織図作成、スキル管理、人材データ分析といった機能が搭載されており、人材ポートフォリオの効率的な作成に役立ちます。

また、人的資本経営に対応したダッシュボード機能を搭載したツールであれば、決算時に必要なデータを効率的に作成できます。

人材ポートフォリオの作成に役立つタレントマネジメントツールを紹介します。

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カオナビは、従業員の個性や才能を掘り起こし、戦略的な人事を加速させられるタレントマネジメントツールです。人材ポートフォリオの作成に必要な機能がひととおり搭載されているほか、人的資本の情報開示にも対応しています。

スキル管理機能では、スキル収集や保有資格の分布、研修履歴、キャリア分析、スキル値のシミュレーションなど、さまざまな視点から従業員の能力を管理できます。あらゆる人事情報の可視化・分析が可能なため、人材ポートフォリオの作成におすすめです。

HRBrain - 株式会社HRBrain

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HRBrainは、人事業務や労務業務の課題をまとめて解決できるDXツールです。8つのプロダクトがあり、人材データの可視化や一元管理、人材ポートフォリオの作成に活用できるタレントマネジメントシステムが提供されています。

人事評価からスキル管理、従業員サーベイまでを完結できるシステムであるため、ポートフォリオ作成の効率化が期待できます。人材データベースの作成はもちろん、人的資本データの可視化による組織状態の把握、人材の配置シミュレーションなどが可能です。

HRMOSタレントマネジメント - 株式会社ビズリーチ

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HRMOSタレントマネジメントは、人事と経営をデータでつなぐタレントマネジメントツールです。従業員の情報やデータを一元管理できることで、いつでも最新の情報を確認できます。

最適な配置のための人材検索、人材データの分析などさまざまな機能が搭載されています。また、人材育成や研修管理の機能によって、理想とする人材ポートフォリオへ近づいているかも確認しやすいでしょう。

タレントパレット - 株式会社プラスアルファ・コンサルティング

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タレントパレットは、科学的人事を可能にするタレントマネジメントツールです。人材データの可視化や分析、人材の最適な配置シミュレーションができるほか、採用フローやWeb面談の一括管理やエントリーシート分析、適性検査など採用に関するデータ管理も可能です。

また、自由な分析軸を設定してダッシュボートを構築できるため、リアルタイムでの組織の状態のモニタリングや、データを根拠にした経営の意思決定にも活用できます。

CYDAS - 株式会社サイダス

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CYDASは、従業員の働きがいを作るタレントマネジメントツールです。従業員の職歴や勤続年数といった定量的なデータに加えて、従業員それぞれの意思や価値観、キャリアプラン、ライフイベントなど、変動しやすい動的なデータも蓄積できます。

組織が必要とするポストや職種の要件を公開し、社内で公募するジョブポスティング機能は、人材ポートフォリオ作成後の人材登用や育成にも役立ちます。ISO30414対応ダッシュボードを搭載しており、部署ごとのスキルレベルやISO関連指標、生産性データなどを可視化できます。

Talent Viewer - エン・ジャパン株式会社

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Talent Viewerは、人材データの一元化から、データにもとづく分析まで行えるタレントマネジメントツールです。人材ポートフォリオといったスキル、育成状況分析に加え、組織分析や離職号時分析、採用強化分析など多様な分析機能を備えています。

人事コンサルタントによるサポートを受けられ、導入から人事施策の提案、実行まで、一気通貫で支援してくれます。

人材ポートフォリオの活用事例3選

実際に人材ポートフォリオを活用している事例を3つ紹介します。

旭化成

旭化成では、経営戦略の実現のために人材ポートフォリオを構築し、採用計画や育成計画を実施しています。

人材ポートフォリオは毎年1回見直しを行い、これまで人材戦略として多様な働き方の推進や独自のエンゲージメントサーベイ、高度専門職制度の拡充、1on1ミーティングなどに取り組んでいます。

高度専門職は、役割を明確化して処遇の改善を行い、その状況を毎年モニタリング。2021年度までの目標として掲げたデジタルプロフェッショナル人財の230名育成も達成しました。

※出典:経済産業省「人的資本経営の実現に向けた検討会 報告書~人材版伊藤レポート2.0~実践事例集」(2024年6月27日閲覧)

KDDI

KDDIは、人的資本経営実現に向けて人材ポートフォリオを活用しています。

人材ポートフォリオから現状と目指す姿の人材ギャップを可視化し、不足分は採用や育成、配置などの施策を実施。例として、成長領域を拡大するため、DX人材を500名育成することを掲げています。

他にも、組織に必要なポータブルスキル・専門スキルを従業員が好きなタイミングで学習できるリスキリング体制の構築や、新卒の初期配属を確約する採用コース、通年採用・入社などを実施し、エンゲージメントの向上と専門性の確立を両立しています。

※出典:経済産業省「人的資本経営の実現に向けた検討会 報告書~人材版伊藤レポート2.0~実践事例集」(2024年6月27日閲覧)

日本特殊陶業

自動車関連部品を扱う日本特殊陶業は、事業ポートフォリオの転換を目指すうえで必要な人材・スキルが変わるものの、人材データを的確に把握できず、適切な人材配置と育成計画の立案が困難という状況でした。

そこで、タレントマネジメントツール「タレントパレット」を導入し、人材ポートフォリオの可視化を行いました。

導入後は、全社共通のスキルと各業務の専門スキルを定義し、社員に自身のスキルレベルの入力を依頼することで、スキルの一元管理と可視化が実現。これにより、重点育成分野の明確化や一人ひとりにあわせたキャリア形成支援が可能になったといいます。

※出典:プラスアルファ・コンサルティング「主力事業の転換期に人財ポートフォリオでスキルを可視化し経営を支援していく」(2024年6月27日閲覧)

効率的に人材ポートフォリオを作成しよう

労働力人口の減少やビジネスを取り巻く環境の変化、人的資本情報の開示に対応するためには、人材ポートフォリオの作成が重要です。

効率的に人材ポートフォリオを作成するなら、人材データの一元管理や可視化、分析が可能なタレントマネジメントツールの導入がおすすめです。

タレントマネジメントツールは、次の記事でも詳しく紹介しています。

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