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労務費とは? 意味や種類から計算方法・人件費との違い

最終更新日:(記事の情報は現在から1221日前のものです)
労務費は、製品を生産する製造業や建設業で発生する費用です。労務費の意味や種類、計算方法などの基礎知識をわかりやすく解説します。人件費との違い、労務費率や関連用語のほか、業務効率化のためのクラウド労務管理システムについても紹介します。

本記事で扱っている「労務費」は、労務管理システムでマネジメントできます。労務管理システムの機能や価格を比較したい方はこちらからご覧になれます。ぜひツール選定の参考にしてみてください。

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労務費とは

労務費とは、わかりやすく説明すると「製品を生産するために使われる人件費のこと」を意味します。製造業や建設業の工場や現場で発生する人件費、と考えるとイメージしやすいのではないでしょうか。

労務費の内訳

原価計算基準における労務費の内訳は、次の5つです。

  • 賃金
  • 雑給
  • 従業員賞与手当
  • 退職給付費用
  • 法定福利費

賃金

賃金とは、製造に関わる部門に属している従業員に支払う給与のことです。基本給と呼ばれる固定給の他に、残業や休日出勤時の割増分も賃金に含まれます。また、正社員の給与だけでなく、派遣社員に支払う給与も賃金に含まれます。

雑給

雑給とは、アルバイトやパートタイマーといった時給や日給で働く人に支払う給与のことです。正社員や派遣労働者の給与とは別に扱われます。

従業員賞与手当

従業員賞与手当とは、従業員への賞与(ボーナス)や各種手当のことを指します。手当としては、家賃補助や通勤交通費、扶養手当、家族手当、などの経費が含まれます。

退職給付費用

退職給付費用は、従業員の退職に備え、積み立てておく費用のことです。退職手当のうち、製造部門の社員の退職給付費用のみ、労務費として原価扱いになります。また、企業によっては勤続年数や役職によって積み立てる金額を変えることもあります。

法定福利費

法定福利費とは、社会保険料の会社が負担する分を指します。社会保険料には、健康保険料や雇用保険などが含まれます。製造部門の社員の法定福利費のみ、労務費として原価扱いになります。

労務費が発生する場面

「労務費」は、会計以外の場面にも登場します。

たとえば、電気工事を工務店に依頼した際、見積書に「労務費」の項目が設けられている場合があります。このときの「労務費」は作業賃を指しています。

労務費と人件費の違い

「労務費と人件費って同じじゃないの?」と思う方もいると思います。労務費と人件費にはどのような違いがあるのでしょうか。原価管理の考え方では、これらは違うものではなく、「人件費の一部が労務費」と考えるのが適切です。

労務費と人件費の違い

人件費は、その目的によって3つの区分に分かれています。

製造・生産のために使われる人件費が「労務費」です。営業担当者の人件費は販売のために使われるため「販売費」となります。総務や経理などバックヤード業務に従事する人の人件費は「一般管理費」になります。

労務費の計算方法

労務費の計算は、直接労務費と間接労務費について理解しておく必要があります。

直接労務費と間接労務費

労務費の原価計算では、「直接労務費」と「間接労務費」の2つに分けて計算します。

直接労務費とは、製品別に工程や作業時間が把握できる労務費を指します。直接労務費は、工場のラインなどで製品製造を直接担当している直接工の賃金・雑給が大部分を占めます。

間接労務費とは、製品別に把握できないその他のすべての労務費を指します。材料の運搬や雑務、修理など、直接的に生産には関わらない間接工の賃金・雑給はこちらに含まれます。

労務費を計算するには、直接労務費と間接労務費を正しく理解することが大切です。これら2つは具体的に次のように分類できます。

直接労務費 間接労務費
直接工の賃金
直接工の雑給
間接工の賃金・雑給
事務部門へ支払う給与
従業員賞与手当
退職金給付費用
法定福利費

それぞれの計算方法を見ていきましょう。

直接労務費の計算方法

直接労務費は「賃率×製品製造時間」で求められます。

賃率とは、1時間あたりに発生する賃金のことで「直接工の賃金÷直接作業の総時間」で求められます。つまり、直接労務費は、1時間あたりの賃金×製品製造時間で計算できます。

なお、賃率を用いて算出する理由は、製造現場では1人の従業員が複数の製品の製造に関わっていることが多いためです。

間接労務費の計算方法

間接労務費とは、直接労務費に含まれない費用なので、「労務費 − 直接労務費」で求められます。もしくは、直接労務費以外の労務費をすべて合計することでも間接労務費を算出できます。

労務費率とは

労務費率とは、建設業の請負工事で労災保険料を計算するときに用いられる値です。具体的には「請負金額に対する賃金総額の割合」を示しています。

通常の事業で労災保険料を計算する際には、賃金総額に労災保険率をかけた「賃金総額×労災保険率」の計算式で算出しますが、建設業の場合は賃金総額の正確な算出が困難です。これは、建設業の工事は数次の請負で行われるため、下請負人に雇用される労働者の賃金把握が難しいからです。

そこで特例として、厚生労働省が定める労務費率を請負金額にかけた「請負金額×労務費率」で算出した額を、賃金総額とすることが認められています。

労務費率は、工事の内容によって割合が細かく設定されています。また、労務費率はしばしば改定されることがあるので、厚生労働省のWebサイトで確認しましょう。

代表的なクラウド労務管理システム

クラウド勤怠管理システムを導入すれば、労務費や人件費を効率的に管理できます。また、クラウド労務管理システムを利用すれば、「従業員情報の一元管理」や「労務管理の簡略化」を実現できます。

代表的なクラウド労務管理システムを一覧で紹介します。

ジョブカン労務HR - 株式会社DONUTS

ジョブカン労務HR
ジョブカン労務HR
BOXIL SaaS AWARD Autumn 2024 Good Service
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  • 書類の自動作成
  • 申請手続きがオンラインでできる
  • 従業員の情報に柔軟に対応

ジョブカン労務HRは、社員の入社から退社までに必要となる、さまざまな手続きを自動化してくれるクラウド型の労務管理サービスです。電子申請に対応しており、役所への申請もパソコンから簡単に行えます。煩雑な作業の多い労務まわりを簡略化し、業務時間を削減でき、組織の生産性改善に役立ちます。

オフィスステーション 年末調整 - 株式会社エフアンドエム

オフィスステーション 年末調整
オフィスステーション 年末調整
BOXIL SaaS AWARD Autumn 2024 Good Service
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  • 年末調整の通知からデータ回収までWeb上で完結
  • 業務進捗を自動で集計・管理
  • 申し込み当日から利用できる

オフィスステーション 年末調整は、年末調整に関する各種申告書類の配布や回収を効率化するシステムです。申告データの作成を手間なく行えるのが特徴で、労務担当者は従業員に対してアンケートを送付するだけでOKです。従業員がパソコンやスマートフォンで質問に答えれば、自動的に申告データが生成されます。

また、システム上で年末調整の通知や申告書の収集ができ、業務進捗は自動で集計されます。申告書類の回収やチェック業務の工数を削減できるため、余裕を持って年末調整業務を進められます。費用は従業員数で計算されるため扱いやすく、費用対効果の高いシステムです。

クラウドハウス労務 - 株式会社Techouse

クラウドハウス労務
クラウドハウス労務
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ボクシルSaaSのデータを元に表示しています
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  • エクセルや紙に散らばっていた情報を集約
  • 年末調整の手続き、申請・承認もシステム上で完結
  • マイナンバーのような重要情報は暗号化して管理

クラウドハウス労務は、従業員のデータを一元管理し、入退社手続きや雇用契約、年末調整業務を効率化する業務支援サービスです。従業員は、パソコンやスマートフォンからデータを入力するだけで申請が完結します。電子化やペーパーレス化につながり、書類の管理コストや紛失リスクを削減できます。

SmartHR労務管理 - 株式会社SmartHR

SmartHR労務管理
SmartHR労務管理
BOXIL SaaSセクション | BOXIL SaaS AWARD 2024
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  • 人事情報を簡単に収集して各種書類を自動作成
  • 手続きをすべてペーパーレスに
  • 従業員情報を一元管理

SmartHR労務管理は、労務業務を簡略化するクラウド労務管理システムです。各種書類作成に必要な情報を従業員に直接記入してもらえる機能を搭載しているため、書類回収の業務を効率化できます。また、各種書類は従業員から回収した情報をもとに自動生成されるため、書類作成の手間も削減できます。

すべての手続きをWeb上で完結できるため、紙の配布や管理に伴うコストも軽減可能です。その他、従業員情報を一元管理できるため、エクセルや紙の資料で管理する手間も必要なくなります。

freee人事労務 - フリー株式会社

freee人事労務
freee人事労務
BOXIL SaaS AWARD Autumn 2024 Good Service
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  • いつでも勤怠を確認できる
  • 従業員情報を一元管理、自動更新
  • 過重労働がないか自動でチェック

freee人事労務は、クラウド型の勤怠管理システムです。スマートフォンやタブレットにも対応しているので、場所を問わずに勤怠管理できます。入力された勤務時間と社内規定や各種法令を照らし合わせ、勤怠状況の妥当性を自動チェックする機能も搭載されているため、過重労働や法令違反の防止にも役立ちます。

また、従業員情報の一元管理も可能です。情報更新の予定がある場合、事前に更新の予約をすれば、スムーズに情報を移行できます。給与計算や保険、税金のシステムと連携することで、同じ情報を何度も入力する手間を削減します。情報入力を繰り返さないため、人的ミスを防ぎながら業務を効率化できます。

サイレコ - 株式会社アクティブアンドカンパニー

サイレコ
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  • 人事情報を一元管理
  • 最新の人事情報を簡単に収集
  • さまざまな労務業務を効率化

sai*reco(サイレコ)は、人事担当者の定型業務を効率化し、人事業務やタレントマネジメントを支援するクラウド型人事管理システムです。ニーズにあわせて項目をカスタマイズしながら人事情報を一元管理できます。

従業員自身が情報更新を行えるため、身上異動や住所変更の際も迅速に手続きできます。Web給与明細やスマートフォンによるワークフロー機能なども搭載されているため、資料の回収や事務作業に伴う手間も削減可能。多拠点や遠隔地で勤務する従業員の管理もスムーズに行えます。

ARROW - 株式会社S&A

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  • 給与計算に連動したタイムカード打刻アプリ
  • クラウド型なので法令改正も自動で対応
  • 各種書類への自動転記で作業負担が大幅軽減

ARROWは、シフト勤怠管理から給与の自動計算、各種書類への自動転記機能を兼ね備えたクラウド型労務管理システムです。ICカードのタイムカード打刻と給与計算が連動しており、日々の勤務履歴から給与計算書の作成まで完全に自動化できます。

クラウド型のサービスであることから法令改正が自動で反映されるため、ユーザーがアップデートしなくても常に最新の状態で利用できます。複雑な年末調整も質問に回答していくだけでスピーディーに完了できるので、年末の煩わしいタスクの一つから解放されます。


人件費を計算・管理できる勤怠管理システムについては、こちらの記事もご覧ください。

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労務管理システムで労務費管理を効率化しよう

製造業や建設業で発生する労務費は、手作業で管理するのはとても手間がかかります。業界の人手不足に対応し、業務の効率化と生産性を向上するには、クラウド労務管理システムを導入するのがおすすめです。自社に最適なシステムを選んで、大切な人材を有効活用してください。


次の記事では、低コストで導入できるクラウド型の労務管理システムを比較・紹介しているのでぜひご覧ください。

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