経費精算システムとは?機能の詳細・メリット・選び方
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経費精算システムとは
経費精算システムとは、経費の申請や承認、支払いを効率化するシステムです。OCR入力、ICカード読み取り、クレジットカード連携により経費申請の工数を削減したり、不正や不備を防いだりします。また、会計ソフト連携やFBデータ作成機能で、経理担当者の作業も楽にします。
【関連記事】
・経費精算とは
・経費精算を効率化させる具体的な方法
経費精算システムを導入するメリット
経費精算システムを導入するメリットは次のとおりです。
- [申請者のメリット] 申請時間の短縮
- [承認者のメリット] 承認プロセスや手続きがスムーズに
- [経営者のメリット] コスト削減と生産性向上
- [経営者のメリット] 不正防止
- [経理担当者のメリット]工数の削減
それぞれのメリットについて詳しく説明します。メリットについては動画でより詳しく紹介しています。
[申請者のメリット] 申請時間の短縮
クラウド経理精算システムなら、出先でもスマートフォンでレシートや領収書を撮影することで経費申請が可能です。SuicaやPASMOといった交通系ICカード、法人向けクレジットカード、銀行APIからデータを取り込めるシステムもあり、申請時間を短縮できます。
ICカード連携に特化した経費精算システムについては次の記事で特集しています。
[承認者のメリット] 承認プロセスや手続きがスムーズに
ワークフロー機能があるクラウド経費精算システムなら、進捗をオンラインにて把握でき確認がスムーズになります。スマートフォンアプリに対応していれば、出張先や外出先から帰社せずともアプリから経費を承認できます。
紙での申請では、承認者が複数いたり不在がちがちであったりするために、ワークフローが滞り承認までに時間がかかるといったことが起こりがちです。しかし、システムの導入により、ワークフローの停滞を防ぎ、承認プロセスをスムーズに進められます。
会計ソフトとの組み合わせにより精算業務と振込業務を一体化でき、経理業務も遅滞なく進みます。
[経営者のメリット] コスト削減と生産性向上
経費精算システムは、コスト削減も大きなメリットのひとつです。領収書の管理や検索にかかる労力、紛失のリスク、事務処理のコストを減らします。全国に支社のある企業でもリアルタイムにデータを反映し、まとめて管理可能です。クラウド会計システムと連携すれば、さらに生産性を向上できるでしょう。
[経営者のメリット] 不正防止
経費精算システムは不正や不備の防止に役立ちます。地図アプリやICカードと連動して正確な交通費データを取得できるので、虚偽申請の防止が可能です。
たとえば交通費精算では、SuicaのようなICカードと連携すれば利用履歴を自動取得でき、申請者は手入力する手間が不要になります。経理担当者は申請金額が正しいか照合する作業が不要になります。
[経理担当者のメリット]工数の削減
経費精算システムを導入すると、経費や交通費を自動で計算できるため、経費精算にかかる工数を削減できることもメリットです。
紙で申請を行う場合は、一枚ずつ申請書を確認しながら仕訳をするため手間がかかります。さらに申請者が金額を間違って申請していたり、領収書やレシートが添付されていなかったりするケースもあるため、確認作業にも手間や時間をさくことになります。
経費精算システムを利用すれば、交通費は自動で計算、仕訳されるため、作業工数を大幅に削減可能です。
経費精算システムを導入するデメリット
一方、経費精算システム導入のデメリットになりうる注意点としては、次のような項目があげられます。
- セキュリティのリスク
- コストがかかる
- 社内規定やワークフローの変更が必要
- 料金プランが複雑なことも
セキュリティのリスク
経費精算システムで電子化された経費データは、セキュリティのリスクを伴います。とはいえ、紙であっても不正や不備は起こりうるので一長一短だと考えられます。
経費精算システムを選ぶ際には、プライバシーマークや暗号化通信を導入しているかをチェックするとよいでしょう。
コストがかかる
経費精算システムの導入には、初期費用や利用料金といったコストがかかります。
そのため、導入によってコストに見合うだけの費用対効果が得られるのかを、試算しておくのがよいでしょう。経費精算システムによって機能や費用はさまざまです。どのような業務を効率化して、どのような効果を得たいのかを明確にしたうえで、システムを検討する必要があります。
また、経費精算システムを従業員に使いこなしてもらうためには、使い方の説明に工数をさかなければなりません。一般的には、100人規模の企業なら1か月で導入から運用までスムーズに進められますが、1,000人を超える大企業だとオペレーションの変更・検証や周知に時間がかかり、運用までに半年ほどかかります。
新しく経費精算システムを導入する際は、導入から運用までどの程度時間と工数がかかるか、よくシミュレーションしておきましょう。
無料で利用できる経費精算システムについては、次の記事で詳しく紹介しています。ぜひ参考にしてください。
社内規定やワークフローの変更が必要
クラウド経費精算システムの導入にあたっては、クラウド利用を前提としたルールの変更や利用方法の説明を企業全体で調整をしなければなりません。必要なサポートを考慮して選定を進めるとよいでしょう。
たとえば「楽楽精算」なら、導入時に専任担当者が電話やメールでサポートしてくれるほか、有料の設定代行プランもあります。「Concur Expense」はマニュアルやFAQが豊富で、上位プランではより充実した導入支援を受けられます。
経費精算システムの導入に不安があれば、サポートが充実したシステムを選ぶのもひとつのポイントといえるでしょう。
料金プランが複雑なことも
経費精算システムの料金体系は、初期費用、システム利用料(固定費)、月額利用料(アカウント数課金)の組み合わせが基本です。
クラウド経費精算システムの場合は、初期費用無料のサービスが多く、月額利用料は1人あたり300円程度からと手頃です。カスタマイズ性が高いオンプレミス型システムの場合は、初期費用が有料でかつ価格も高い傾向にあります。
経費精算システムを導入する効果
経費精算システムの利用には多くのメリットがあり、導入によって次のような効果が得られます。
- バックオフィス業務のDX
- 業務の効率化
- テレワークの促進
中小企業のなかには領収書、請求書を紙ベースで経費精算を行っているケースもあるでしょう。しかし、紙で管理をする方法は、経理部門で管理する書類が膨大な量になりがちです。
経理精算システムを使用すれば、すべてデータ化して一元管理できるようになり、バックオフィス業務のDX(デジタルトランスフォーメーション)を図れます。見つけたい書類がある場合も、検索機能を使って簡単に探し出せるでしょう。
経理担当者だけではなく、営業担当者のような経費を申請する従業員にとっても、経費精算システムの利用にはメリットがあります。
経費精算システムの導入で、領収書をスマートフォンで撮影するだけでデータ登録ができるようになるため、経費の申請や精算にかかる作業負担が軽減します。領収書の紛失、申請の遅延や漏れの防止にもなるでしょう。申請作業もスマートフォンやパソコンからシステム上で行えるので、テレワークの促進につながる効果もあります。
経費精算システムで中小企業におすすめのものについては、次の記事で詳しく比較しています。ぜひ参考にしてください。
経費精算システムの機能
経費精算システムの機能には、申請や承認、経理処理などがあります。フローに沿って役立つ機能を紹介します。なお、下線が引いてある機能は経費精算システムにおける主だった機能です。
申請に使う機能
経費精算のうち、営業担当者をはじめとした現場の人が申請をするのに役立つ機能です。経費精算システムを導入することで、領収書やレシートをOCR入力してペーパーレス化できたとの声はよく聞かれます。また、ICカード読み取りや乗換案内アプリとの連携によって、早くて正確な交通費精算に改善される点も評判です。
機能 | メリット |
---|---|
OCR入力 | 手書きや印刷された画像を文字起こしして、手入力の手間とミスを減らします |
ICカード読み取り | ICカードのデータをリーダーで取り込み、通勤費や交通費の申請を自動化します |
定期区間の控除 | 定期券区間をあらかじめ登録しておき、重複して経費申請されるのを防ぎます |
乗換案内アプリとの連携 | 出発地から目的地までの最適な乗換ルートを自動で提案し、申請も確認も楽にします |
クレジットカード連携 | 法人カードの利用明細を取り込み、支払い情報の入力を簡便化します |
オペレーター入力代行 | 専門オペレーターが代理で申請し、従業員の負担を軽減します |
航空券やタクシーの手配 | 出張時の交通手段を一括で手配。購入手続きを減らしつつ、申請も自動化します |
ホテル予約と経費連携 | ビジネスホテルの予約と経費精算をあわせて対応します |
Amazonビジネスとの連携 | Amazonでの購入履歴を経費として反映し、経費の見える化をします |
外貨レートの換算 | 設定された為替レートを使用し、海外出張や取引における経費を換算します |
承認に使う機能
承認に使う機能は、紹介する代理承認のほかには、金額に応じて承認フローを変更する機能、過去に作成したフローから複製する機能などがあります。中堅企業以上に向けた経費精算システムは、承認フローを細かく設定できる傾向にあるといえます。
機能 | メリット |
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iOS(iPhone)・Android対応 | スマートフォンからも申請でき、通勤やリモートワーク時に役立ちます |
経費申請の承認 | 申請された経費をオンライン上で承認します。アプリ対応しているケースが多いです |
代理承認 | 経費の承認者を2名以上設定でき、承認までにかかる時間を減らします |
経理処理に使う機能
経理処理に使う機能としては、ネットバンキングをするためのFBデータ作成や仕訳を登録する会計ソフト連携などがあります。1円単位のミスも許されない経理処理に関係する以上、手作業なしでデータ作成や反映ができるのは重要です。
機能 | メリット |
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会計ソフト連携 | 会計ソフトへ仕訳データを反映し、手入力を減らします |
FBデータ(総合振込データ)作成 | FBデータを作成することで、銀行に出向くことなく社内にいながら振込できます |
法律や監査への対応
経費精算システムは会計ソフトとの関連も強いため、法律や監査への対応が欠かせません。その点からも電子帳簿保存法やインボイス制度への対応は基本です。SOC報告書やISO認証、プライバシーマークについては、第三者機関によるチェックを意識するなら注目してみましょう。
機能 | メリット |
---|---|
電子帳簿保存法対応 | 工数をかけずに電子帳簿保存法への対応を進められます |
インボイス制度対応 | インボイス制度への対応漏れを防げるうえ、仕入税額控除を受けられます |
SOC報告書やISO認証 | 第三者機関の評価をもとに、内部統制やセキュリティへの対策がされていると判断できます |
経費精算システムの選び方
経費精算システムを導入するにあたって、選び方で重要視すべきポイントを紹介します。
- 効率化したい経費精算業務を洗い出す
- テレワーク対応ならクラウドシステム
- 連携システムを確認する
- ユーザーフレンドリーで管理が容易なシステムの選択
- 自動化したい経費精算の具体的な業務を明確にする
それぞれのポイントについて説明します。
効率化したい経費精算業務を洗い出す
経費精算システムには、幅広い機能があり、システムによって強みや使いやすさが異なります。
まずは効率化したい経費精算業務を洗い出してみましょう。
たとえば、経費申請を省力化・自動化して、社内の生産性を向上させたいのか、内部統制を強化しつつ経理部門の業務負担を軽減させたいのかなどが挙げられます。他にも、稟議や決裁のワークフローまで自動化させたいのか、といった視点から検討してみるとよいでしょう。
テレワーク対応ならクラウドシステム
テレワークを推進しているのであれば、クラウド型の経費精算システムを選びましょう。
クラウド経費精算システムであればスマートフォンに対応したものがほとんどなので、外出時や出張先、テレワーク環境においても、経費の申請から承認までに対応できます。領収書管理といった雑務から解放されるため、経理部門も含めた従業員体験が向上するはずです。
連携システムを確認する
経費精算システムを導入する際には、既存の会計システムや送金システムとの連携についても確認しましょう。
同じベンダーの業務システムであれば、もっともシームレスに連携可能でしょうし、APIが用意されていれば比較的簡単に外部システムと連携可能です。既存システムと経費精算システムがうまく連携できれば、経理部門の業務負担を大幅に軽減することにつながります。
ユーザーフレンドリーで管理が容易なシステムの選択
経費精算システムを選ぶ際は、使用しやすさが重要な要素です。これは経費精算システムに限らず、どんなシステムを選ぶ際にも考慮すべき点です。
経理部門が業務を効率的に行うための使い勝手、また日常的にシステムを利用する従業員にとっての使用のしやすさの両方を考慮することが重要です。
システムは、経理担当者にとって手間のかかる業務を減らし、従業員が直感的かつ迅速に申請や承認を行えるかどうかを導入前に検討する必要があります。
導入前に無料で試用できるオプションを利用して、実際の使い勝手を確認することも一つの良い方法です。
自動化したい経費精算の具体的な業務を明確にする
経費精算システムとはいえ、各サービスにはそれぞれ異なる強みや特色があります。
重要なのは、どの経費精算のプロセスを改善したいかを社内で明確にし、目的に適したシステムを選ぶことです。
ただし、システム導入がはじめての企業にとっては、どのように進めればよいか迷うこともあるでしょう。その場合、経費精算システムを提供する業者に連絡して相談することが効果的なアプローチとなるでしょう。
次の記事では、経費精算システムを詳しく比較しています。ぜひ導入の際の参考にしてください。
経費精算の電子化トレンド
キャッシュレス決算の拡大とともに経費精算領域でもデジタル化が進み、紙書類を減らす法改正が次々と行われています。2020年の10月には改正電子帳簿保存法が施行され、電子取引時の記録要件が緩和されました。また、2022年1月にも改正※がされています。
2020年度の電子帳簿保存法改正、および対応クラウドシステムについては、こちらの記事で詳しく解説しています。
※出典:国税庁「電子帳簿保存法が改正されました - 国税庁」(2022年12月5日閲覧)
電子帳簿保存法改正の流れ
これまでの電子帳簿保存法の主な改正について、流れを簡単にまとめました。年々要件が緩和され、利便性があがる傾向にあります。
- 2005年度:スキャナ保存の容認(証憑として電子データが認められた)
- 2015年度:スキャナ保存の金額要件緩和(3万円以上もスキャナ保存対象に)
- 2016年度:画像データの容認(スマートフォンやデジカメの画像が証憑として認められた)
- 2020年度:領収書レスの実現(キャッシュレス決済で領収書が原則不要に)
- 2021年度:保存データの緩和(検索に必要な要件が減少された)
- 2022年度:承認制度の廃止(3か月前の事前申請が廃止に)
- 2024年度:電子取引のデータ保存が完全義務化(2023年12月31日までの宥恕期間が終了)
領収書をスマートフォンで電子化するメリット
2016年度の電子帳簿保存法改正で、スマートフォン撮影による領収書電子化が可能となりました。メリットには、次のものが挙げられます。
- 領収書を受け取ったときすぐに撮影し保存できる
- オフィスでスキャンしなくてもよいので、出先からでも、支払った当日に精算申請ができる
- 紙レシートをのり付けして経理に提出する手間が減り、事務処理が効率化される
- 経理も、紙ではなくデジタル化された情報でチェックや仕訳ができ、経理業務が効率化される
なお、領収書自体がすでに電子化されて発行される場合もあります。この場合は、電子領収書をオリジナルとして使え、印紙税がかからないメリットもあります。
経費精算システムで効率化できる業務は多い
経費精算システムとは何か、どのような機能があり、どのような業務を効率化できるのか詳しく解説しました。
行政手続きの電子化も進んでおり、経費精算システムで営業や経理の仕事の効率をあげ、競争力アップにつなげましょう。
ぜひ本記事で紹介した経費精算システムの選び方を理解して、最適なシステム導入を実現してください。サービス選定で失敗しないためには、料金プランや搭載している機能の比較を十分に行うことが重要です。
英語対応の経費精算システム | 無料の経費精算システム | アプリ対応の経費精算システム |
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