インバウンドコールセンターとは?アウトバウンドとの違い・業務内容
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インバウンドコールセンターとは?
インバウンドコールセンターとは、顧客からの電話やメール、チャットなどによる問い合わせに対応する部門のことです。商品やサービスに関する質問、使用方法のサポート、トラブルシューティング、クレーム対応など、さまざまな顧客対応業務を行います。
インバウンドコールセンターは、企業と顧客との重要な接点であり、顧客満足度の向上や顧客ロイヤルティの構築に大きく貢献します。
インバウンドとは
インバウンド(inbound)とは「外から中に入る」といった意味があり、ビジネスの世界では顧客からの問い合わせや要望に対して、企業側が応答する形式の顧客対応のことを指す用語です。顧客が能動的に企業に連絡をしてくることが特徴で、電話、メール、チャット、SNSなどさまざまなチャネルを通じて行われます。
インバウンド対応では、顧客の要望を的確に把握し、適切な情報提供やサポートを行うことが求められます。顧客の満足度を高め、長期的な関係性を築くためにも、質の高いインバウンド対応が不可欠です。
また、一般的に「インバウンド」と使う場合は、日本における外国人観光客や、訪日旅行のことを指します。
アウトバウンドコールセンターとの違い
アウトバウンドコールセンターは、企業側から顧客に対して能動的に連絡をするタイプのコールセンターです。主な業務には、テレマーケティング、販売促進、市場調査、アポイントメント取得などがあります。
インバウンドコールセンターが顧客からの問い合わせに対応するのに対し、アウトバウンドコールセンターは企業側のニーズにもとづいて顧客とコミュニケーションを図ります。
そのため、アウトバウンドコールセンターでは、効果的な営業スクリプトの作成や、オペレーターのコミュニケーションスキル向上が重要です。
インバウンドコールセンターとカスタマーサクセスの関係性
インバウンドコールセンターとカスタマーサクセスは密接に関連しています。カスタマーサクセスとは、顧客が製品やサービスから継続的に価値を得られるようにサポートし、顧客満足度を高めることで、長期的な顧客との関係性を構築する取り組みです。
インバウンドコールセンターは、カスタマーサクセスの実現に重要な役割を果たします。顧客からの問い合わせに適切に対応し、顧客のニーズを深く理解することで、製品やサービスの改善が可能です。
また、インバウンドコールセンターでの対応品質が高いほど、顧客満足度や顧客ロイヤルティが向上し、カスタマーサクセスの達成に近づきます。
インバウンドコールセンターの主な対応チャネル
インバウンドコールセンターでは、顧客からの問い合わせに対応するために、さまざまなチャネルを活用しているのが特徴です。次に、要な対応チャネルについて詳しく説明します。
電話
電話は、インバウンドコールセンターにおける最も一般的な対応チャネルです。顧客は、専用の問い合わせ電話番号に発信することで、オペレーターに直接問い合わせを行えます。
電話対応では、オペレーターの丁寧な応対や的確な問題解決が求められます。また、コールセンターシステムを活用することで、効率的な通話の振り分けや履歴管理が可能です。
メール
メールは、電話に次いで広く利用されているインバウンド対応のチャネルです。顧客は、専用のメールアドレスに問い合わせ内容を送信し、後日、オペレーターからの返信を受け取ります。
メール対応では、文章力や正確な情報提供が重要となります。また、自動返信機能や応対テンプレートを活用することで、効率的なメール処理が可能です。
チャット
チャットは、Webサイト上で顧客とリアルタイムにテキストベースのコミュニケーションを行うチャネルです。顧客は、サイト上のチャットウィンドウから問い合わせを入力し、オペレーターとのやり取りを通じて即時に回答を得られます。
チャット対応では、迅速な返信や的確な問題解決が求められます。また、チャットボットを活用することで、一次対応の自動化や業務効率化が可能です。
SNS
SNSは、XやFacebookなどのソーシャルメディアを通じて顧客と対話するチャネルです。顧客は、企業のSNSアカウントに対して、問い合わせやコメントを投稿します。
SNS対応では、公開性の高さを意識し、丁寧で誠実な応対が求められます。また、SNS上での顧客の声を分析することにより、製品やサービスの改善が可能です。
インバウンドコールセンターの業務
インバウンドコールセンターは、顧客からの問い合わせに応じて適切な対応をすることが求められます。これらの対応は問い合わせの内容と求められる役割によって、次の3つに分類できます。
- テレフォンオペレーター
- カスタマーサポート
- テクニカルサポート・ヘルプデスク
それぞれの仕事内容と業務の特徴は、次のとおりです。
テレフォンオペレーター
テレフォンオペレーターとは、顧客からの商品やサービスの注文に対応するためのインバウンドコールセンターの役割です。「テレオペ」とも呼ばれ、必要な商品・サービスの情報をヒアリングして、CRMのような顧客管理システムに情報を入力します。
極端にイレギュラーな対応が求められる可能性は少ないですが、収益に直結する部門なので、接遇品質や提案力は常に向上を目指す必要があります。
カスタマーサポート
カスタマーサポートとは、商品やサービスを購入した顧客からの問い合わせや相談に対応するコールセンターの役割です。
代表的な問い合わせとしては「商品・サービスの返品・解約などをしたい」「商品・サービスの使い方について教えて欲しい」「商品・サービスについてこういう点が不満だ」といったものが考えられます。
顧客に応じて問い合わせ内容は異なりますが、問い合わせの多い内容についてはマニュアルを配布したり、FAQシステムで共有したりといったことが必要です。
テクニカルサポート・ヘルプデスク
テクニカルサポート・ヘルプデスクは、とくに商品の使い方や技術的な話、故障の相談などに対応するコールセンターの役割です。
電話を通じて顧客の悩みを適切に解決に導かなければならないので、商品・サービスの使用・操作方法に一定以上の知識が求められます。また、電話でのコミュニケーションで疑問を解決しなければならないので、商品・サービスがどのような状態なのかを、会話だけで特定するヒアリング能力も求められます。
定型的な質問も多いので、顧客からの質問が多い問い合わせについては、トークスクリプトや操作マニュアルを作成することも有効です。ただし、難しい問題については技術・商品部門などと連携しての解決が必要なこともあります。
インバウンドコールセンターの設置目的や役割
インバウンドコールセンターは、企業にとって重要な顧客対応の拠点であり、さまざまな目的や役割を担っています。インバウンドコールセンターの主な設置目的と役割は、主に次のとおりです。
顧客満足度の向上
インバウンドコールセンターの最も重要な目的は、顧客満足度の向上です。顧客からの問い合わせに迅速かつ適切に対応することで、顧客の不安や不満を解消し、製品やサービスに対する信頼を高られます。
また、丁寧で親身な応対は、顧客とのリレーションシップを強化し、長期的な顧客ロイヤルティの構築につながります。
顧客ニーズの把握
インバウンドコールセンターは、顧客ニーズを直接収集できる貴重な窓口です。顧客からの問い合わせ内容を分析することで、製品やサービスに対する要望や改善点を把握できます。
これらの情報を社内にフィードバックし、製品開発やサービス向上に活かすことで、顧客志向の経営を実現可能です。
業務効率化とコスト削減
インバウンドコールセンターを設置することには、顧客対応業務を一元化し、効率化する目的もあります。専門のオペレーターが対応することで、問い合わせの処理時間を短縮し、顧客の待ち時間を減らせます。
また、コールセンターシステムを導入することで、通話の自動振り分けや応対品質の管理が容易になり、業務の最適化とコスト削減にも可能です。
ブランドイメージの向上
質の高いインバウンドコールセンターの応対は、ブランドイメージ向上に大きく貢献します。顧客との直接的なコミュニケーションを通じて、企業の姿勢や価値観を発信可能です。
また、SNSでの評判や口コミにも影響を与えるため、ポジティブなブランドイメージの構築に役立ちます。
インバウンドコールセンターの運営形態
インバウンドコールセンターの運営形態は、大きく分けて自社運営と外部委託の2つがあります。それぞれの特徴や利点、欠点は、次のとおりです。
自社運営
自社運営は、企業が自社内にコールセンターを設置し、直接運営する形態です。自社の従業員がオペレーターとして対応にあたります。
自社運営の最大の利点は、顧客対応の品質を直接管理できることです。文化や価値観にあわせた応対が可能であり、製品やサービスに関する深い知識をもったオペレーターが対応できます。
一方で、自社運営には、初期投資や運営コストがかかるといったデメリットがあります。また、問い合わせ量の変動にあわせて人員を調整することが難しい場合もあるのが特徴です。
外部委託
外部委託は、コールセンター運営を専門とする外部の企業に委託する形態です。委託先の企業が、オペレーターの採用、教育、管理を行います。
外部委託の最大の利点は、コストの削減がしやすい点です。初期投資が不要であり、問い合わせ量に応じて柔軟に人員を調整できるため、運営コストを最適化できます。また、委託先の専門的なノウハウを活用できるメリットもあります。
一方で、外部委託では、顧客対応の品質管理が難しくなるかもしれません。文化や価値観を浸透させるには、委託先との密なコミュニケーションが必要です。
ハイブリッド運営
ハイブリッド運営は、自社運営と外部委託を組み合わせた形態です。一次対応は外部委託先が行い、より専門的な対応が必要な場合は自社のオペレーターが対応するといった役割分担をします。
ハイブリッド運営では両者の利点を活かせるため、コスト最適化と品質管理のバランスを取れます。ただし、委託先との連携が重要になるため、効果的なコミュニケーション体制の構築が欠かせません。
インバウンドコールセンター導入のメリット
インバウンドコールセンターを導入することで、設置目的を満たせることはもちろん、それ以外にもさまざまなメリットを享受できます。インバウンドコールセンター導入のメリットは、主に次のとおりです。
顧客データの一元管理
インバウンドコールセンターでは、顧客とのやり取りを通じて得られる情報を一元的に管理できます。お問い合わせ情報や顧客情報を集約した顧客データベースの構築により、顧客の購買履歴や問い合わせ履歴を効果的に活用できます。
これにより、顧客のニーズにあわせてパーソナライズされた対応や、クロスセルやアップセルの機会創出も可能です。
営業機会の創出
インバウンドコールセンターでの顧客とのやり取りを通じて、新たな営業機会を創出できるのもメリットです。顧客のニーズを深く理解することで、追加の製品やサービスを提案するチャンスが生まれます。
また、問い合わせ内容から潜在的な需要を発掘すれば、新たな市場開拓につなげられます。
オペレーターのスキル向上
インバウンドコールセンターでは、専門のオペレーターを顧客対応にあてるのが一般的です。そのため、定期的な研修や品質管理を通じて、オペレーターのスキルを向上できます。
高度な製品知識や応対スキルをもつオペレーターが対応することで、顧客の問題解決の質が向上し、顧客満足度の向上につながります。
業務の標準化とコンプライアンス遵守
インバウンドコールセンターを導入することで、顧客対応業務の標準化が可能です。応対マニュアルや業務フローを整備することで、オペレーター間の対応品質のばらつきを抑やすくなります。
また、コンプライアンス遵守の観点から、通話録音や応対モニタリングを行うことで、法令や社内規則に沿った適切な対応も可能です。
インバウンドコールセンター導入のデメリット
インバウンドコールセンターの導入は多くのメリットをもたらす一方で、いくつかのデメリットも存在します。次は、インバウンドコールセンター導入によるデメリットについて説明します。
初期導入コストの負担
インバウンドコールセンターの導入には、一定の初期投資が必要です。オフィススペースの確保、通信機器やコールセンターシステムの導入、オペレーターの採用と教育など、立ち上げ段階でのコスト負担が発生します。
とくに、自社でコールセンターを運営する場合、これらのコストが大きな負担となる可能性があります。
オペレーターの採用と教育の難しさ
質の高いインバウンドコールセンターを運営するには、優秀なオペレーターの採用と教育が不可欠です。しかし、適切な人材を見つけることは困難です。
また、オペレーターの教育には時間と労力がかかります。製品知識や応対スキルの習得には一定の期間が必要であり、人材の定着率が低い場合、教育コストが無駄になるリスクもあります。
応対品質の維持と管理の難しさ
インバウンドコールセンターでは、応対品質の維持と管理が重要な課題です。オペレーターの応対品質にばらつきがあると、顧客満足度の低下につながります。
定期的な品質モニタリングや評価、フィードバックの仕組みを整備する必要があるものの、これらの管理業務には手間とコストがかかります。
顧客とのコミュニケーション機会の減少
インバウンドコールセンターを導入することで、顧客との直接的なコミュニケーション機会が減少してしまうかもしれない点もデメリットです。営業担当者や店舗スタッフが顧客対応から外れることで、顧客との関係性が希薄になりかねません。
コールセンターでの応対だけでなく、他の接点でも顧客との関係性を維持する努力が必要です。
インバウンドコールセンターの仕事がきついといわれる理由
インバウンドコールセンターの仕事がきついといわれる理由は、いくつか挙げられます。主な理由は次のとおりです。
感情労働のストレス
インバウンドコールセンターでは、顧客対応の際に感情をコントロールし、常に丁寧で親切な応対が求められます。この感情労働は、長時間続くとメンタル面での大きなストレスになることがあります。
とくに、クレーム対応といった難しい場面では、感情を抑えながら冷静に対応する必要があるため、精神的な疲労が蓄積しやすくなりがちです。
インセンティブがつかない
アウトバウンドコール業務の場合は、営業やアポイントメントの取得がメインの仕事となるため、契約獲得ごとにインセンティブを出してもらえるケースが多いです。それに比べてインバウンドコール業務では、成果に応じた報酬がありません。
頑張りや成果が反映されるアウトバウンドコール業務に比べ、インバウンドコール業務は頑張りが反映されづらい点で、きついと感じる方もいます。
自分のペースで進められない
インバウンドコールの業務は受け身型のため、かかってくる電話の量やタイミングを決められるわけではありません。
そのため、かかってくる電話が多かったり、トラブルで問い合わせが殺到したりするときは、ツライと感じやすくなります。
こうしたストレスが積み重なってしまうのも、インバウンドコールセンターの仕事がきついといわれる理由の一つです。
チームワーク重視の環境が求められる
インバウンドコールセンターでの業務は、職場内のチームワークが大切です。
業務中に不明点や困ったことがあった場合には、すぐに周りに聞いたり、サポートしてもらったりしなくてはなりません。
そのため、コミュニケーションを取ることやチームワークを意識して働くことが苦手な方にとっては、ツライと感じる場合もあります。
体力を消費する
コールセンターの業務は座った状態で行うため、楽だと思われることが多いです。しかし、実際は長時間電話で話しているため、思いのほか体力を使い、疲労感が出てきます。
また、長時間座り姿勢のため血行が悪くなり、肩こりや腰痛といった体の変化に悩まされる場合もあります。少しの空き時間で姿勢を正したり、足を動かしたりするなど、リフレッシュしながら取り組むことが欠かせません。
感情労働のストレス
インバウンドコールセンターでは、顧客対応の際に感情をコントロールし、常に丁寧で親切な応対が求められます。この感情労働は、長時間続くとメンタル面での大きなストレスになることがあります。
とくに、クレーム対応といった難しい場面では、感情を抑えながら冷静に対応する必要があるため、精神的な疲労が蓄積しやすくなりがちです。
シフト勤務による生活リズムの乱れ
インバウンドコールセンターは、顧客からの問い合わせに対応するため、長時間運営されることも多いです。そのため、オペレーターはシフト勤務になる傾向にあります。
しかし、早朝や深夜のシフトがある場合、生活リズムが乱れやすく、体調管理が難しくなることもあります。また、休日出勤や残業も発生しやすいため、プライベートな時間が確保しづらい点はストレスになるかもしれません。
モニタリングによるプレッシャー
多くのインバウンドコールセンターでは、応対品質の管理のために、通話のモニタリングが行われています。上司や品質管理担当者に通話内容を聞かれていることで、オペレーターがプレッシャーを感じることがあります。
常に監視されている感覚には精神的なストレスや緊張感があり、これも仕事のきつさにつながる要因です。
インバウンドコールセンターに向いている人
インバウンドコールセンターの仕事には向き不向きがあります。向いている人の特徴として挙げられるのは、主に次のような点です。
- 困っている人の役に立つのが好き
- 新しいことを覚えるのが得意
- メンタルが強い人
- コミュニケーション能力が高い
- 柔軟性と適応力がある
- チームワークを大切にできる
困っている人の役に立つことが好き
インバウンドコールセンターの業務は、人の役に立つことが好きな方に向いています。
インバウンドの業務は顧客を問題解決へ導く仕事のため、アウトバウンドとは異なり、アポイントの獲得数のような成果で評価が決まるわけではありません。そのため、困っている人をサポートするのが好きな方や、人に何かを教えるのが好きな方に向いています。インバウンド業務においては、顧客の役に立つ姿勢が最も重要といえます。
インバウンドの業務は、顧客の要望を正確にヒアリングしながら、スムーズな応対が必要です。ときには、クレームに対応しなければならないケースも出てきます。しかし、人の役に立つことに喜びを感じられる人なら、モチベーションや高い応対品質を維持して働ける可能性が高いです。
新しいことを覚えるのが得意
インバウンドコールセンターでは、顧客に商品やサービスの内容や使い方を説明する場面が多いため、商品・サービスの特徴や機能などへの深い理解が必要です。
しかし、業務にあたっては、サービス内容に加え応対ルールや言葉遣いなど覚えることは非常に多くあり、座学やOJTなど実際の業務につく前の研修だけで数か月にわたる場合もあります。こうした理由もあり、覚えるのが苦手な方にとっては簡単にできる仕事ではありません。
そのため、新しいことを覚えるのが好きな方や、わからないことでも調べて理解するのが好きな方など、好奇心や向上心のある人はインバウンド業務に向いています。
とくに、商品やサービスに強い関心をもっている人なら、仕事に充実感ややりがいを感じられます。
強いメンタルをもっている
メンタル面での強さをもっている方も、インバウンドコールセンターに向いている方の特徴です。
コールセンターでは、さまざまな顧客からの電話に対応します。なかには理不尽な要望を受けたり、大声で怒鳴られながらクレーム対応をしたりしなければいけないケースもあります。しかし、どのような問い合わせでも、オペレーターは一貫した丁寧な対応が必要です。
さらに、コールセンターには1日を通して多くの電話が入ってくるため、1件のクレーム対応で落ち込んだり神経をすり減らしたりしてはいられません。クレーム対応の後も、気持ちを切り替えて次の電話に対応する必要があります。
そのため、インバウンド業務を行うには、ストレスを引きづらないメンタルの強さがある方や、顧客のムリな要求にも毅然とした対応ができる強さのある方が向いています。
コミュニケーション能力が高い
インバウンドコールセンターでは、電話やチャットを通じて顧客とコミュニケーションを取ることが主な業務です。そのため、言葉遣いが丁寧で、相手の話を傾聴し、的確に理解できるコミュニケーション能力の高い方が向いています。
顧客の課題解決のためには、問い合わせ内容を正確に把握し、適切な回答や提案をできる能力が求められます。また、感情的になっている顧客に対しても、冷静に対応し、顧客の気持ちを和らげる対話力が必要です。
柔軟性と適応力がある
インバウンドコールセンターには、さまざまな背景や特性をもつ顧客からの問い合わせが寄せられます。オペレーターには顧客の多様なニーズや状況にあわせて、柔軟に対応する能力が求められます。
そのため、マニュアルどおりの対応だけでなく、状況に応じて臨機応変に対応できる柔軟性と適応力が必要です。また、顧客からの予期せぬ質問や要求にも冷静に対処できる柔軟な思考力をもつ方が、インバウンドコールセンターに向いているといえます。
チームワークを大切にできる
インバウンドコールセンターは、多くの場合チームで業務を行います。オペレーター同士で情報共有や連携を取ることで、効率的で質の高い顧客対応が可能です。
そのため、チームワークを大切にし、同僚と協力しながら働ける方が向いています。担当業務だけでなく、チーム全体の目標達成に貢献する姿勢が必要です。
また、上司や先輩からのアドバイスを謙虚に受け止め、成長につなげられる方も、インバウンドコールセンターで活躍しやすいといえます。
インバウンドコールセンターに向いていない人
インバウンドコールセンターの仕事には向き不向きがあります。向いていない人の特徴としては、次のような点が挙げられます。
- 人と話すことに強いストレスを感じる
- 同じ作業を繰り返すのが苦手
- 気持ちの切り替えが難しい
人と話すことに強いストレスを感じる
人と話すことに強いストレスを感じる人は、インバウンドコールセンターの業務に向いていないでしょう。顧客からの電話を受けるたびに緊張したり、不安を強く感じたりする人は注意が必要です。
インバウンド業務は電話応対が中心です。常に誰かとコミュニケーションを取るため、ストレスを感じやすい人には大きな負担となります。結果として、精神的な疲弊につながりやすく、長続きしにくいです。
同じ作業を繰り返すのが苦手
単調な作業を繰り返すのが苦手な方も、インバウンドコールセンターの仕事に向いていないといえます。問い合わせ対応は、基本的に似た内容のやり取りを何度も行う業務です。
日々異なる刺激を求める人にとっては、ルーチンワークに感じられ、モチベーションが維持しにくいでしょう。集中力が続かず、ミスが増えてしまうリスクも高まります。
気持ちの切り替えが難しい
気持ちの切り替えが苦手な方も、インバウンドコールセンターでは苦戦するかもしれません。電話対応では、クレーム対応や厳しい意見を受ける場面も少なくありません。
嫌な対応を引きずると、次の電話に悪影響を与えてしまう恐れがあります。迅速に気持ちを切り替えて次の対応に集中できないと、業務のパフォーマンスにも支障が出やすいです。
コールセンターのインバウンド業務を上手く進めるコツ
インバウンドコールセンターで業務を上手く進めるためには、いくつかのコツがあります。次に紹介するポイントを把握し、効果的なインバウンド業務を行いましょう。
商品やサービスについての知識を身につける
インバウンドコールセンターでは、顧客からのさまざまな問い合わせに対応する必要があります。そのため、扱う商品やサービスについての深い知識を身につけることが不可欠です。
商品の特徴や利用方法、よくある質問と回答などを事前に把握することで、スムーズな対応が可能になります。また、関連する業界の動向や競合他社の情報なども理解しておくと、顧客への提案力が高まります。
発言を否定しない
顧客からの問い合わせやクレームに対して、どのような場合であっても否定は避けましょう。顧客対応では、顧客の発言を否定せず、共感的な姿勢で臨むことが大切です。
否定をすることで顧客の気分を害してしまうだけでなく、いただいた質問の解決提案がスムーズに進まなくなってしまいます。そのため、顧客の意見や要望を真摯に受け止め、理解しようとする態度が求められます。
たとえ顧客の発言が正確でなかったり、感情的になっていたりしても、まずは顧客の気持ちを受け止めましょう。受け止めたうえで、適切な情報提供や問題解決に導くことが、インバウンド業務のコツといえます。
クレーム対応を気にしすぎない
インバウンドコールセンターでは、クレーム対応も避けられません。クレームを受けたときは、オペレーターとして冷静な対応が求められます。しかし、クレーム対応を気にしすぎると、オペレーター自身のストレスにつながり、業務に支障をきたす可能性があります。
また、クレーム自体も商品やサービスに対する貴重な意見でもあり、改善には必要な要素です。
そのため、クレームは業務の一部であると割り切り、適切な対応を心がけつつも、過度に悩まないことが大切です。指摘された点は、改善点を見つけるきっかけだと前向きに捉えましょう。
積極的に顧客の声を収集する
インバウンド業務では、顧客からの問い合わせ内容や要望を積極的に収集することが重要です。顧客の声は、商品やサービスの改善に役立てられます。
そのため、オペレーターは顧客との対話の中で、潜在的なニーズや不満点を見つけ出すアンテナは常に張っておく必要があります。収集した顧客の声を社内で共有し、サービス向上につなげることが、インバウンド業務の上達につながる要です。
ストレス管理とセルフケアを怠らない
インバウンド業務は、長時間の電話対応やクレーム対応など、精神的にも肉体的にも負荷がかかる仕事です。そのため、オペレーター自身のストレス管理とセルフケアを怠らないことが、業務を上手く進めるコツの一つといえます。
定期的な休憩を取り、リラックスする時間を確保することが重要です。また、同僚や上司とのコミュニケーションを通じてストレスを発散し、互いに支え合う職場環境を作ることも欠かせません。
【企業向け】インバウンドコールセンターから売り上げを生み出すコツ
アウトバウンドコールセンターの場合は、架電先が不在だったり、話をゆっくり聞いてもらえなかったりすることも多く、インバウンドコールの方が売り上げにつながりやすいケースが多く見受けられます。
次に、インバウンドコールセンターを通じて売り上げを生み出すためのコツを紹介します。
インバウンド問い合わせを営業チャンスに変える
顧客からの問い合わせは、潜在的な販売機会と捉えることが重要です。オペレーターは、顧客のニーズや関心ごとを的確に把握し、それにあわせた商品やサービスを提案することで、追加販売を実現できます。
たとえば、問い合わせ内容に関連する商品の特徴や利点を説明し、顧客の購買意欲を喚起することが効果的です。オペレーターには、問い合わせ対応と営業のバランスを取る能力が求められます。
オペレーターの提案力を高める
売り上げ拡大のためには、オペレーターの提案力を高めることも欠かせません。商品知識やコミュニケーションスキルの向上に加え、顧客心理の理解やニーズの把握力を養うことが求められます。
定期的な販売トレーニングや、優秀なオペレーターによる対応事例の共有などを通じて、オペレーターの提案力を高めていきましょう。また、オペレーター自身が商品やサービスの魅力を十分に理解し、自信をもって提案できるようにしましょう。
クロスセルやアップセルの機会を逃さない
インバウンドコールセンターでは、クロスセルやアップセルの機会を逃さないことも重要です。クロスセルとは、顧客が問い合わせた商品に関連する別の商品を提案すること、アップセルとは、より高価な商品やグレードの高いサービスを提案することです。
オペレーターは、顧客のニーズを適切に判断し、タイミングよくクロスセルやアップセルを行うことで、売り上げ拡大につなげられます。
顧客データが活かされた提案を行う
インバウンドコールセンターでは、顧客データを活用することで、より効果的な売り上げ拡大が可能です。顧客の購買履歴や問い合わせ内容などのデータを分析し、個々の顧客にあわせてパーソナライズされた提案を行うと、より効果的です。
たとえば、過去の購入商品に関連するアクセサリーや消耗品の提案、または顧客の関心ごとにあわせた新商品の紹介などが考えられます。顧客データを活用することで、より的確なタイミングで、顧客のニーズにあった提案が可能です。
インバウンドコールセンターで使用されるシステム
インバウンドコーセルセンター向けのシステムといっても、多様なシステムが存在します。通信を支えるインフラから、オペレーターに代替して回答を行うロボット、オペレーターのコミュニケーションをサポートするツールなど、さまざまです。
最後に、インバウンドコールセンターにおすすめのツールを紹介します。
PBX
PBXとは「Private branch exchange」の略称で、構内交換機とも呼ばれます。PBXを導入することにより、会社に来た電話(外線)を社内の複数の電話機・デバイスで共有できたり、社内の電話機同士で通話ができたりします。
電話回線を使うレガシーPBX、インターネット回線を使うIP-PBX、クラウド上のシステムを使うクラウドPBXの3種類の形式があり、目的に応じての導入が必要です。
類似のサービスとしてはビジネスフォンがあります。ただし、ビジネスフォンは安価な代わりに接続可能な電話機器は50台程度までで、複数拠点やスマートフォンの内線化はできません。
大規模なコールセンターや、複数の拠点がある会社、在宅でのスマートフォンを活用してオペレーター業務を推進している会社などの場合は、PBXの方が便利です。
CTI
CTIとは「Computer Telephony Integration」の略称で電話・コンピューター・FAXなどを連携させるシステムのことです。CTIを活用することで、着信と同時に顧客情報をオペレーターの画面に表示したり、顧客情報にもとづいて最適なオペレーターに着信を振り分けたりができます。
大企業や大規模コールセンターだけではなく、コールセンター業務を可視化したり、新人オペレーターのサポート・育成したりするために、中小企業や個人経営のコールセンターでも導入されているケースもあります。
CTI自体にもインバウンド型とアウトバウンド型が存在しており、それぞれ特化された機能が異なるため、導入する際には注意しましょう。
IVR
IVRとは「Interactive Voice Response」の略で、自動音声応答システムのことです。ユーザーはあらかじめ入力された音声案内に従って、ダイヤルをプッシュしながら自身が求める着信先に到達できます。
IVRを導入することにより、取り次ぎ業務の効率化、間違い、営業電話への対応をしなくて良くなる点がメリットです。また、顧客側にも待ち時間を短縮できるメリットがあります。
とくに顧客からの問い合わせ内容が多岐にわたり、問い合わせに応じて専門の部署に振り分けて対応しなければならないといった、大規模コールセンターにおいては効果を発揮しやすいツールです。
チャットボット
チャットボットとは、自動会話プログラムのことです。Webサイトに埋め込んだチャット窓口やSNSのチャット機能で、問い合わせに対してオペレーターに代わってロボットが一次対応をします。
チャットボットを導入することで、よくある質問への自動応答や、簡単な問い合わせの解決が行えます。またチャットボットは、24時間365日対応が可能であり、オペレーターの負担軽減に大きく貢献できるのも特徴です。
チャットボットにはユーザーが選択肢を選んでいくシナリオ型と、人間のオペレーターのように顧客と会話形式のコミュニケーションができるAI型の2種類が存在します。
チャットボットで解決できない問題については人間のオペレーターに取り次ぎができるため、ロボットの対応結果をチェックしながら人間が適宜チューニングするといったように、チャットボットとオペレーターを適切に組み合わせることで、効率的な顧客対応が実現できます。
FAQ管理システム
FAQ管理システムとは、ユーザーからのよくある質問と回答を一元管理するためのシステムです。インバウンドコールセンターでは、FAQ管理システムを活用することで、オペレーターが迅速かつ正確な回答を提供できるようになります。
システムを通じて蓄積されたナレッジをコールセンターやヘルプデスク内で共有することで、ユーザーからの問い合わせ対応を効率化、接遇品質の向上につなげられます。
コールセンターで使うのは、コールセンター向けのFAQ管理システムが一般的です。しかし他にも社内向けFAQシステムや、顧客向けのFAQシステムなど幅広く存在します。
顧客向けのFAQシステムを導入すると、顧客がFAQをもとに自己解決できる可能性が高まるので、問い合わせ数の減少が期待できます。
CRM
CRMとは「Customer Relationship Management」の略で、顧客管理システムのことです。インバウンドコールセンターでは、CRMを活用することで、顧客情報を一元管理し、オペレーターが顧客の特性や履歴を把握しながら対応できるようになります。
CRMは、パーソナライズされた対応や、クロスセルやアップセルの機会創出に役立ちます。また、CRMのデータ分析機能を活用することで、顧客ニーズの把握やサービス改善も可能です。
多くのビジネスにとって顧客管理は重要なので、コールセンターが存在するか否かにかかわらず、業種・業界・事業規模問わずにさまざまな企業が導入しています。
とくにコールセンター向けの機能が充実しているCRMの場合は、CTIとの連携機能や、ユーザーからの問い合わせ対応を管理するためのチケット管理機能といった機能が搭載されています。
インバウンド向けおすすめコールセンターシステム
顧客からの問い合わせやクレーム対応の効率化には、インバウンド向けコールセンターシステムの導入がおすすめです。
次の記事では、おすすめのインバウンド向けコールセンターシステムのサービス紹介や比較表を掲載しています。導入を検討している方は、ぜひ参考にしてください。
インバウンドコールセンターはユーザーからの問い合わせ対応をする部門
インバウンドコールセンターとは、ユーザーからの質問、相談に対応するためのコールセンターです。企業側からユーザーに架電するアウトバウンドコールセンターとは、求められる仕事内容が異なります。
インバウンドコールセンターの業務効率化や応対品質の向上のためには、システム導入が欠かせません。PBX・CTI・IVRといったインバウンドコールセンター向けのシステムがあるので、課題に適応できるツールを導入し、業務の効率化を目指しましょう。
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