プロジェクト管理の手法・手順と効果的に活用するポイントを解説


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- プロジェクト管理とは
- プロジェクト管理の9つの手法
- PMBOK(ピンボック)
- ガントチャート
- カンバン
- WBS
- CCPM
- PPM
- P2M
- PERT
- マインドマップ
- システム開発に使われるプロジェクト管理の手法
- ウォーターフォール開発
- アジャイル開発
- AIがプロジェクト管理を変革させる可能性
- プロジェクト管理を成功させるためのポイント
- 目的を設定してチームで共有する
- タスクの関係性を把握して順序どおりに進める
- 工程は可能なかぎり細分化する
- スケジュールに余裕を設ける
- 十分なリソースを確保する
- メンバーとのコミュニケーションを徹底する
- プロジェクト管理ツールを活用する
- プロジェクト管理の流れ
- 目標を決める
- タスクを洗い出す
- 計画書を作成する
- 進捗をチェックする
- プロジェクト管理ツールのおすすめ5選
- monday.com
- Backlog
- クラウドログ
- Asana
- Wrike
- 自社に合ったプロジェクト管理の手法で生産性アップを図ろう
プロジェクト管理とは
プロジェクト管理とは、目標や期限が決まっている仕事(=プロジェクト)を成功させるための技術です。ITや製造、建設、医療、教育など多くの分野で活用されており、システムやサービスを開発・改善する際に、重要な役割を担います。
プロジェクト管理の主な目的は「QCDの向上」です。QCDとはQuality(品質)・Cost(予算)・Delivery(納期)の頭文字をとった用語です。プロジェクトを全体的に把握し、間違った方向へ進まないよう指示やフォローをするためにも、プロジェクト管理は重要といえます。

プロジェクト管理の9つの手法
プロジェクト管理には多くの種類があり、それぞれにメリットやデメリットがあります。まずは、プロジェクト管理の代表的な手法を紹介します。
- PMBOK(ピンボック)
- ガントチャート
- カンバン
- WBS
- CCPM
- PPM
- P2M
- PERT
- マインドマップ
PMBOK(ピンボック)
PMBOK(ピンボック)とは、Project Management Body Of Knowledge(プロジェクト・マネジメント・ボディー・オブ・ナレッジ)の頭文字をとった用語で、いわばプロジェクトマネジメントのガイドラインです。1987年にアメリカの非営利団体「PMI」が発表し、現代では第7版までアップデートされています。プロジェクト管理の王道ともいえる手法です。PMBOKには、プロジェクト管理で押さえておくべき知識が体系的にまとめられています。
PMBOKは第7版で「5つのプロセス」から「12の原則」と「8つのパフォーマンス領域」に変更されました。ただし、第6版以前のフレームワークとしては、立ち上げ、計画、実行、監視・コントロール、終結の5つのプロセスがありました。
12の原理・原則
PMBOK第7版では、プロジェクトマネジメントの根本的な価値観として 「12の原則」 が定められています。
原則(Principle) | 説明 |
---|---|
ステークホルダーと協力する | ステークホルダーとの信頼関係を築き、プロジェクトの価値を最大化する。 |
チームを構築し育成する | 効果的なチームを作り、メンバーの成長とパフォーマンス向上を支援する。 |
バリュー(価値)を重視する | プロジェクトが生み出す価値を常に意識し、最大化する。 |
システム思考を採用する | プロジェクトを単体でなく、組織や環境との関係性の中で管理する。 |
リーダーシップを発揮する | 権限に頼らず、メンバーを導くリーダーシップを発揮する。 |
適応的なアプローチを採用する | 変化に対応し、状況に応じてプロジェクトの進め方を調整する。 |
品質を組み込む | 品質管理をプロセスに組み込み、成果物の品質を確保する。 |
リスクを積極的に管理する | 不確実性に対して予測・対応し、リスクの影響を最小限にする。 |
意思決定を支援する | データや情報をもとに意思決定を行い、プロジェクトの成功を促す。 |
プロジェクトの複雑さを受け入れる | プロジェクトの複雑さを理解し、適切な方法で対応する。 |
適応性と回復力を維持する | 不測の事態に備え、柔軟性を持って対応できるプロジェクトを設計する。 |
倫理と誠実さを守る | 倫理的な行動を取り、プロジェクトの透明性と信頼性を確保する。 |
8つのプロジェクトパフォーマンス領域
「8つのプロジェクトパフォーマンス領域」は、プロジェクトの成果を最大化するための重要な領域を定義しています。具体的な項目は次のとおりです。
パフォーマンス領域 | 説明 |
---|---|
ステークホルダー | ステークホルダーの期待を管理し、協力関係を築く。 |
チーム | チームの形成・育成・マネジメントを行い、能力を最大限に引き出す。 |
開発アプローチとライフサイクル | プロジェクトの進め方(ウォーターフォール、アジャイルなど)を適切に選択する。 |
計画 | 目標達成のための戦略やスケジュールを策定し、適応的に管理する。 |
プロジェクト作業 | プロジェクトのタスクやプロセスを管理し、計画通りに実行する。 |
成果物(デリバブル) | プロジェクトの成果物の品質を管理し、期待される価値を提供する。 |
測定と評価 | KPIやリスク分析を用いて、プロジェクトの進捗とパフォーマンスを評価する。 |
不確実性とリスク | プロジェクトにおけるリスクを特定し、適切な対応策を講じる。 |
PMBOKのメリット
- 世界的に認知された統一的なプロジェクト管理手法を学べる
- プロジェクトの計画・実行・管理を体系的に理解できる
- IT、建設、製造、医療など多様な業界で適用可能で汎用性が高い
- リスクの識別・評価・対応を体系的に管理できる
- 品質や費用、納期などプロジェクトを横断的かつ統合的に管理できる
PMBOKのデメリット
- すべてのプロジェクトに適用しようとすると手続きが煩雑になりすぎる
- プロセスが多く、小規模プロジェクトでは管理コストが高くなる
- 計画書や報告書などのドキュメント作成に手間がかかる
ガントチャート
ガントチャートとは、棒グラフを用いたプロジェクト管理表のことです。縦軸に担当者やタスクを、横軸に日時や進捗率を記入します(逆でも可)。プロジェクトの全体像を把握できることから、製造計画や生産管理のシーンでよく用いられます。
ガントチャートでは、誰が、どういったタスクを、いつ行っているのかを可視化できます。中間目標地点を示す「マイルストーン」や、スケジュールに影響を及ぼすタスクである「クリティカルパス」も把握可能です。
プロジェクトの全体像をわかりやすく見える化でき、小さいタスクも含めて確認できるため、先を見据えた行動や取り組みができるでしょう。ExcelやGoogleスプレッドシートで作成できるほか、効率的に作業ができるガントチャートツールも存在します。
ガントチャートのメリット
- プロジェクトの全体像と各タスクの詳細を把握できる
- 専門知識なしで作成できるため、慣れていない担当者でも安心
ガントチャートのデメリット
- 誰が何を行っているかまでは把握できるが、タスクの工数までは把握できない
- 項目を増やしすぎるとガントチャート自体が見にくくなる


カンバン
カンバンとは、プロジェクトのタスクやリソースをカードに書き、ボードに貼って管理する方法のことです。カードは「To Do」「進行中」「完了」などのステータスに合わせて場所を移動できるため、プロジェクトのワークフローや優先順位、状況変化などを可視化できます。
そもそも「カンバン」とは、トヨタ自動車が生み出した生産管理方式を指します。トヨタでは自動車を生産する際、作業指示の内容を「カンバン」と呼ばれるボードに記していました。カンバンには、いつ、どこで、何が、どのくらい使われたかを明記します。
必要なものを必要な分だけ製造するのが、カンバン方式の大きな目的です。「ジャストインタイム方式」とも呼ばれ、製造業で広く利用されていました。その利便性の高さから、一般企業のプロジェクト管理にも広く普及しました。
カンバンのメリット
- 情報のフォーマットを統一化できるため、担当者による入力方法の差異が生まれにくい
- 各メンバーの作業状況を把握しやすいため、チームのコミュニケーションを取りやすい
カンバンのデメリット
- タスクの「量」は把握できるが、「質」や「重要性」までは把握できない
- 必要なものを必要な分だけ生産するのが目的なので「大量生産」には向いていない
WBS
WBSとは、Work Breakdown Structure(ワーク・ブレークダウン・ストラクチャー)の頭文字をとった用語で、直訳すると「作業分解構造図」といった意味になります。いわば、プロジェクトを細かいタスクに分解して管理する手法です。
「タスク1」に対して「作業ⅰ」「作業ⅱ」といったように、タスクを構造化して把握できます。ほかにも担当者や開始日、完了日などを記載するため、タスクの全体像を把握可能です。
WBSのメリット
- 大タスクから小タスクに階層を分けるため作業が明確になり、各タスクの依存関係も見えやすい
- タスクを細かく分解するため、担当者の役割分担がしやすい
WBSのデメリット
- プロジェクトの解像度が高まる一方で、タスクの洗い出しや編集に時間がかかる 途中でタスクの追加やトラブルが発生した場合、スケジュールに大きなズレが生まれる
CCPM
CCPMとは、Critical Chain Project Management(クリティカル・チェーン・プロジェクト・マネジメント)の頭文字をとった用語で、工数を最小限に抑えて余裕を設けるプロジェクト管理手法です。
CCPMでは、プロジェクトにかかる予算や人材、スケジュールなどを「最低ライン」に設定します。その分「バッファ(余裕)」を設けることで、期日内に確実に作業を完了させるのが特徴です。
たとえば、プロジェクトの期間が30日間あり、大きなタスクが3つ必要だとします。その場合、3つのタスクを10日間ずつ割り振るのが普通です。CCPMでは、3つのタスクを「7日間ずつ(合計21日間)」に設定し、残りの9日間に余裕をもたせます。
CCPMのメリット
- バッファを設けることで、期日遅れのリスクを最小限に抑えられる
- 工数の見積もりを最小限に抑えるため、優先度の高いタスクからすばやく着手できる
CCPMのデメリット
- 設定できるバッファが少ないため、数日や1〜2週間程度の短いプロジェクトには向かない
- チームやメンバーの「余裕があるからまだ大丈夫」といった油断につながりやすい
PPM
PPMとは、Project Portfolio Management(プロジェクト・ポートフォリオ・マネジメント)の頭文字をとったプロジェクト管理手法です。PPMでは、現在進行している複数のプロジェクトを一元的に管理します。
PPMは本来、企業の経営資源を最適に分配することで、利益を最大化するためのフレームワークとして活用されています。経営資源は、ヒト(人材)・カネ(資金)・モノ(機器や原材料など)が代表例です。
同時に展開する複数プロジェクトについて、市場成長率と市場占有率(=シェア率)を分析したうえで、投資配分(どのプロジェクトに積極的に投資すべきか)を判断します。投資配分は、次の「4象限」をもとに決めるのが一般的です。
4象限 | 内容 |
---|---|
花形 | 市場成長率と市場占有率がどちらも高い状態のプロジェクト。売上が伸びる可能性はもっとも高いが、競合他社も多いため消耗戦が予想される。この「花形」で長期的な収益の地盤を固めることが大切。 |
問題児 | 市場成長率は高いものの市場占有率(=シェア率)が低い状態のプロジェクト。取り組み方の工夫で自社のシェアが伸びれば、「花形」に成長する可能性がある。シェアが伸びなかった場合は、「負け犬」になる可能性が高い。 |
負け犬 | 市場成長率と市場占有率がいずれも低い状態のプロジェクト。費用対効果は低く、再起を狙ってシェアを拡大できても、全体の市場成長率が低いため大きな成果が得られない。「撤退」や「売却」を考えるのがセオリー。 |
金のなる木 | 市場成長率は低いものの、市場占有率が高い状態のプロジェクト。競合他社が少ないため、数ない投資で安定した収益を得られる可能性が高い。 |
PPMのメリット
- 市場成長率(マーケット全体)と市場占有率(自社のシェア)によって、プロジェクトを客観視できる
- 「赤字だから撤退する」「黒字だから投資する」など単純な意思決定でなく、合理的な経営判断ができる
PPMのデメリット
- 各プロジェクトを4つの象限に当てはめて分析する手法なので、プロジェクト同士の関係は考慮できない
- 「どこの市場で勝負するのか」「ライバル企業はどこか」などで見るべきデータが変わり、それによって成果も異なる
P2M
P2Mとは、Project and Program Management(プロジェクト・アンド・プログラム・マネジメント)の頭文字をとったプロジェクト管理手法です。複数プロジェクトを意味する「プログラム管理」の要素を取り入れていることから、全体像と個別それぞれを正確に把握できます。
P2Mは2001年に、経済産業省による監修のもと開発されました。たとえば、「プログラムA」の中に「プロジェクトA」と「プロジェクトB」があったとします。各プロジェクトの「使命・目的」や「計画」「実施」「進捗評価」「是正」「成果物」を可視化し、効率的にサイクルを回していくのが特徴です。
P2Mのメリット
- プロジェクトの全体を俯瞰しながら、個別管理も正確にできる
- プロジェクトの成果や効果検証までをしっかりと終える
P2Mのデメリット
- 管理自体の負担が大きくなりやすい
- 小規模かつ単発のプロジェクトには向いていない
PERT
PERTとは、Program Evaluation and Review Technique(プログラム・エバリュエーション・アンド・レビュー・テクニック)の頭文字をとったプロジェクト管理手法です。タスクや作業の流れ、次の工程までの所要日数、つながりを図でまとめることで、「タスク同士の関係性」を見える化します。
タスクの依存関係や前後関係を明確に把握できます。そのため、「同時進行が可能なタスクか」「前の工程をクリアしてからでないと開始できないタスクかどうか」などを判断可能です。
PERTのメリット
- 関係性が複雑なタスクが多いプロジェクトを効率的に管理できる
- タスクの優先順位が見えやすいためプロジェクト全体がスピーディーに進む
PERTのデメリット
- タスクベースの管理手法なので更新・修正を細かく行わなければならない
- 特定のタスクに遅延が起きた場合、関連タスクのスケジュール全体の見直しが必要
マインドマップ
マインドマップは、思考のプロセスを可視化するために行われる方法の1つです。図の中央にプロジェクトの名前や課題といったテーマを書き、そこから枝分かれに情報を分岐・派生させます。
プロジェクトであれば、タスクを細分化させ、やるべきことを洗い出せます。また課題の分析や、課題を解決するためのアイディア出しなどにも利用できるでしょう。ツールを活用すると、画像や資料の挿入、ToDoリスト作成などができます。ガントチャートやWBSとの併用もおすすめです。
マインドマップのメリット
- プロジェクトを階層ごとに分類したり、整理したりできる
- マップが放射状に広がるため視覚的にわかりやすい
マインドマップのデメリット
- 目的を定めていないと、そもそもマップを作るのが難しい
- 本来思考のプロセスをまとめる方法なので、プロジェクト管理への応用が必要
システム開発に使われるプロジェクト管理の手法
システム開発では要件定義やシステム設計、テストなど多くの工程が必要であり、プロジェクト管理が欠かせません。システム開発で使われるプロジェクト管理の手法を2つ紹介します。
ウォーターフォール開発
ウォーターフォール開発とは、システムを上流工程から下流工程に沿って開発する手法です。ウォーターフォールとは、日本語で「滝」を意味します。上から下へ落ちるように、順を追ってプロジェクトを進めていくのが特徴です。工程の順序は次のとおりです。
- 要件定義
- 外部設計
- 内部設計
- 実装
- 単体テスト
- 統合テスト
- 運用テスト
- リリース
ウォータフォール開発は、システムに実装する機能や仕様を、あらかじめすべて決めてから開発に着手します。そして上から順番に、1つずつ完了させていきます。開発手順がシンプルでわかりやすく、品質の高いシステムを開発できるのがメリットです。一方で、トラブルや仕様変更があった際の対応に時間がかかるのが難点といえます。
アジャイル開発
アジャイル開発とは、短いスパンで機能ごとに開発を進める手法です。最近のシステム開発におけるプロジェクト管理では、「アジャイル開発」がトレンドであり、AIとの相性もよいといわれています。
アジャイル開発のメリットは、要件定義やスケジュールの変更に強いことです。機能ごとの小さな単位で実装とテストを繰り返し行うため、トータルの開発期間が短縮されます。リリース後に何度もアップデートが必要となるシステムやアプリケーションの開発に向いています。
一方で、開発のスピードが速いため、厳格なスケジュール管理が必要です。システムや機能の仕様変更を前提としているので、開発の途中で頻繁に軌道修正が行われます。そのため、プロジェクトの細かいスケジュール管理や、メンバー同士の密なコミュニケーションが求められます。
AIがプロジェクト管理を変革させる可能性
プロジェクト管理は、PMBOKやガントチャートといった多業種で用いられる手法から、システム開発で用いられる手法までさまざまです。
「AI(人工知能)」によって、プロジェクト管理に大きな変革がもたらされる可能性があります。すでにAIを用いたプロジェクト管理ツールは登場しており、データ分析やリスク評価、意思決定支援などにAIが用いられています。
たとえば、AIがプロジェクトのデータ分析を行うことで、予算の過不足やスケジュール遅れなどを察知可能です。小さなタスクやルーテイン業務をAIが自動で行う技術も出てきています。
プロジェクト管理を成功させるためのポイント
プロジェクト管理を成功させるためのポイントとして、次のものがあげられます。
- 目的を設定してチームで共有する
- タスクの関係性を把握して順序どおりに進める
- 工程は可能なかぎり細分化する
- スケジュールに余裕を設ける
- 十分なリソースを確保する
- メンバーとのコミュニケーションを徹底する
- プロジェクト管理ツールを活用する
目的を設定してチームで共有する
「何のためにプロジェクト管理を行うのか」といった目的設定です。業務効率アップによる売上最大化や、商品・サービスの品質向上、コスト削減など企業によって目的は異なるでしょう。
また、目的はチームでしっかりと共有することが大切です。担当者だけで目的を定めてしまえば、チーム内のコミュニケーションに齟齬が生まれやすくなります。共有されないままだと、互いの意識がズレたままプロジェクトが進み、失敗につながるでしょう。
メンバーの足並みを揃え、プロジェクトの成功確率を高めるためにも、目的の設定と共有は大切です。
タスクの関係性を把握して順序どおりに進める
プロジェクトを進める際は、プロジェクトを「タスク」に細分化し、実行します。各タスクには依存関係があるケースが多いです。「Aのタスクを完了しなければBのタスクに着手できない」といった例があげられます。関係性を把握することで、優先順位の高いタスクから取り組めます。
また、タスクの関係性を把握したうえで、工程は順序どおりに進めましょう。順序を飛ばしたり、優先度の低いタスクから始めたりすると、スケジュールの歯車が狂い、期日に間に合わない可能性があります。
工程は可能なかぎり細分化する
作業量やプロセスを見やすくするためにも、プロジェクトの工程は可能なかぎり細分化しましょう。工程の粒度が大きいと、全体像が掴めないうえ、タスクがいつ終わるのか見えず、メンバーの士気も下がってしまいます。細分化すれば、効率的に仕事が進むうえ、作業量に応じた適切なメンバー配置が可能です。
スケジュールに余裕を設ける
プロジェクトの計画を作る際は、「余裕をもったスケジュール」を組みましょう。プロジェクト管理手法の1つである「CCPM」の例がわかりやすいです。たとえば、プロジェクトの納期が30日間だった場合、30日目に納品するのでなく、25日目の納品を目標にする、といったスケジュールを組みます。
余裕を設けていれば、イレギュラーやトラブルが起きた場合でも焦らずに対応できます。チーム全体が精神的に余裕をもってタスクに向き合えるため、ミスも起こりにくくなるでしょう。
十分なリソースを確保する
プロジェクトの進行では、規模に応じたリソースが必要となります。リソースとは、ヒト(人材)・モノ(設備や原材料)・カネ(お金)といった経営資源のことです。最小限のリソースでも進行できますが、余裕がない場合、途中でプロジェクトがストップする可能性があります。
十分なリソースを確保するためには、プロジェクトの全体像を把握することが大切です。計画段階で工程を細かく分け、どこにどのくらいのリソースが必要なのかリスト化しましょう。チームメンバーの意見を聞いたうえで、必要十分なリソースを確保しましょう。
メンバーとのコミュニケーションを徹底する
プロジェクトを円滑に進めるためには、チーム内の活発なコミュニケーションが求められます。会話や議論がされることで、情報共有はもちろん、新たなアイデアが生まれる場合もあるでしょう。何よりも、活発なコミュニケーションは、信頼関係の強化につながります。プロジェクトの規模が大きくなるほどメンバーも増えるため、よりいっそうコミュニケーションが重要です。
プロジェクト管理ツールを活用する
プロジェクトを効率よく進める方法として、プロジェクト管理ツールがおすすめです。プロジェクト管理ツールでは、タスクの進捗管理をはじめ、チャットでのコミュニケーション、コスト管理などを行えます。
ガントチャートによって全体像を可視化できたり、予実管理でプロジェクトの予測と成果を分析できたりと、便利な機能が搭載されているツールが多いです。
ツール1つで、全体や各タスクの把握から情報共有、売上やコスト管理など、プロジェクト管理に求められる要素のほとんどを網羅できます。
次の記事ではおすすめのプロジェクト管理ツールを紹介しているので、ツールの導入を検討している方は参考にしてください。

プロジェクト管理の流れ
プロジェクト管理は、次のような手順で進めましょう。
- 目標を決める
- タスクを洗い出す
- 計画書を作成する
- 進捗をチェックする
目標を決める
まずは、プロジェクトを成功させるために、道しるべとなる目標を決めましょう。目標として定めるべきなのは、「品質」「予算」「スケジュール」の3つです。
- 商品・サービスの品質は、どのレベルを目指すのか
- 予算はいくら必要か、かかるコストはどのくらいか
- いつまでにプロジェクトを完了させるか
目標は可能なかぎり、具体的に定めてください。目標が具体的なほど、計画の解像度も高まります。また、メンバーのモチベーション向上にもつながるでしょう。
タスクを洗い出す
目標が決まったら、次にプロジェクトに必要なタスクの洗い出しです。発生するであろうタスクをリスト化し、実行順序や優先順位を定めます。タスクが明確になったら、それぞれの工程に必要な日数やメンバー数も把握しておきましょう。
計画書を作成する
洗い出したタスクに基づいて、具体的なプロジェクト計画を作成します。期日(納期)から逆算してスケジュールを組み、各タスクに必要な人材をアサインしましょう。担当者の独断でなく、メンバーの意向も踏まえたうえで、負担が偏らないように人材を配置することが大切です。計画書を作成できたら、いよいよプロジェクトの開始に移ります。
進捗をチェックする
プロジェクト開始後は、適宜進捗をチェックしましょう。タスクが滞りなく進んでいるか、リソースに問題はないかなどを確認します。計画が遅れている場合は、ボトルネックを特定し、早急に改善しましょう。
また、期間内にプロジェクトを間に合わせるだけでなく、品質のチェックも忘れずに行ってください。
プロジェクト管理ツールのおすすめ5選
続いて、おすすめのプロジェクト管理ツールを5つ紹介します。無料で利用できるツールも取り上げているので、自社のプロジェクト管理にお役立てください。
monday.com - 株式会社ギャプライズ
- 世界225,000社以上※が導入する多機能なプロジェクト管理ツール
- 期日のアラート通知やタスクのアサインなどを「自動化」できる
- ヒト・モノ・カネといった経営資源をグラフで見える化
monday.comは、イスラエルのIT企業が開発・運営する業務管理システムです。世界225,000社以上、国内でも500以上※の企業が導入しています。「機能の豊富さ」が強みで、ガントチャートやカンバンを用いた俯瞰的なプロジェクト管理から、タスクの詳細まで管理可能です。
「自動化機能」による業務効率化も可能です。たとえば、期日のアラート通知やタスクのアサイン、メールでの通知といった繰り返し作業を効率化できます。また、リソースも細かく管理可能です。ヒト・モノ・カネといった経営資源をグラフを使って見える化し、最適に配分します。
※出典:Monday.com「あらゆる業務をひとつの場所で効率的に一元管理」(2025年1月10日閲覧)
- 大手自動車メーカーから携帯キャリア、経済産業省などの導入実績をもつ
- 「シンプルな操作性」と「見やすいインターフェース」にこだわっている
- タスクは優先度や担当者、マイルストーンなどを記録可能
Backlog(バックログ)は、株式会社ヌーラボが運営するプロジェクト管理ツールです。有料契約数は14,000社※を超えており、大手自動車メーカーから携帯キャリア、経済産業省などの導入実績もあります。同ツールは「シンプルな操作性」と「見やすいインターフェース」にこだわっています。
プロジェクト全体はガントチャートやカンバンボードで統合的に管理可能です。カンバンボードでは、ドラッグ&ドロップの簡単操作でタスクを移動できます。タスクは優先度や担当者、カテゴリー、マイルストーンまで詳細を記録可能です。ほかにも、ファイル共有やWiki(ナレッジの蓄積)など便利な機能が充実しています。
※出典:ヌーラボ「Backlog|チームで使うプロジェクト管理・タスク管理ツール」(2025年1月10日閲覧)
- 1日1分程度の簡単な入力作業だけでプロジェクトの全体像をチェック
- スマートフォンにも対応しているため外出や出張中でも操作できる
- GoogleカレンダーやOutlook、勤怠管理ツールとも連携可能
クラウドログは、株式会社クラウドワークスが運営する工数管理ツールです。1日1分程度の簡単な入力作業だけで、プロジェクトの全体像をチェックできます。スマートフォン入力にも対応しているため、出張中や移動中のプロジェクト管理も容易です。
GoogleカレンダーやOutlook、勤怠管理ツールとの連携にも対応しています。データの分析機能も豊富です。入力内容に基づいて赤字のプロジェクトを瞬時に発見したり、資産計上や監査対応の必要データをエクスポートできたりします。
- 従業員とマネジメント層の両方にとって使いやすいインターフェース
- 大小に関係なくさまざまな規模のプロジェクトを管理できる
- 無料プランでは最大10名まで、プロジェクトやタスクを無制限で利用可能
Asana(アサナ)は、プロジェクトの計画やプロセス、ステータスなどをクラウド管理できるツールです。従業員とマネジメント層の両方にとって使いやすいインターフェースが特徴で、大小さまざまな規模のプロジェクトを管理できます。
チームの忙しさやタスクに費やした時間の確認、状況に応じたタスクの割り当て直しも可能です。Microsoft TeamsやZoom、Slackといったビジネスツールとも連携できます。プロジェクト管理で欠かせない「チーム内のコミュニケーション」にも役立つでしょう。
Asanaは、無料プラン(=Personalプラン)も提供しています。最大10名まで、プロジェクトやタスクを無制限で利用可能です。
- 世界20,000社以上※の導入実績があるプロジェクト管理ツール
- 「リアルタイムな管理」によって企業のスピーディーな意思決定を支援
- ダッシュボードやガントチャートのカスタマイズ性が高い
Wrike(ライク)は、世界20,000社以上※の導入実績がある、「リアルタイム性」にこだわったプロジェクト管理ツールです。入力内容が即座に反映されるほか、視認性に富んだ自動ダッシュボードやレポート機能が搭載されています。企業のスピーディーな意思決定をサポートしてくれます。
ダッシュボードやガントチャートはカスタマイズ性が高く、期限やクリティカルパスの追跡も可能です。細かく進捗を追えるテンプレート、開始から終了までフェーズに分けて計画を行えるテンプレートなども利用できます。GoogleやMicrosoftの各種サービス、Slack、Zoom、Salesforceなどとも連携可能です。
※出典:Wrike「Wrike: チームの仕事をオンラインでまとめて管理」(2025年1月10日閲覧)
自社に合ったプロジェクト管理の手法で生産性アップを図ろう
プロジェクト管理は幅広い業界業種で活用されており、PMBOKやガントチャート、カンバンなど手法もさまざまです。各手法のメリットやデメリットを踏まえたうえで、自社に合った手法を選定しましょう。
また、プロジェクト管理を成功させるためには、目標設定やタスクの関係性の把握、メンバーとのコミュニケーションなどが重要です。ポイントを押さえたうえで、正しい手順でプロジェクト管理を進めましょう。
さらに管理を効率化させたい場合は、プロジェクト管理ツールの導入がおすすめです。導入目的によって適切なツールが異なるので、それぞれの特徴や機能を比較して、自社に合うツールを選びましょう。