銀行業界向けCRM(顧客管理システム)のまとめ!導入のポイント
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- 銀行・金融業界で活用できるCRMの機能
- CRMでできること
- 銀行・金融業界におけるDX推進の課題
- 2025年の崖への対応に不安がある
- 顧客との関係性を構築しにくくなっている
- 担当者によってサービスのばらつきがある
- ワンストップ提供開始による競争の激化
- 銀行・金融業界の課題をCRMで解決できる理由
- 顧客情報を一元管理できる
- 精度の高い販売戦略の実行が可能になる
- 部門・部署ごとの顧客対応が充実する
- コンプライアンスの強化
- 銀行・金融業界におけるCRMの導入事例
- 株式会社仙台銀行
- 保険マンモス株式会社
- アコム株式会社
- 銀行・金融業界向けCRMの比較
- Synergy!
- Mazrica Sales
- GENIEE SFA/CRM
- Salesforce Financial Services Cloud
- GRMarketing
- fcube(エフキューブ)CRMサービス
- 銀行・金融業界がCRMを導入・運用する際のポイント
- 導入目的を明確にする
- システムの操作性はどうか
- ベンダーのサポートは充実しているか
- セキュリティは強固か
- 既存システムと連携できるか
- 銀行・金融業界でCRMを導入する際の注意点
- 導入や運用にコストがかかる
- 教育に時間やコストがかかる
- 効果が出るまでに時間がかかりやすい
- 銀行・金融業界向けCRMで効率よく顧客管理を行おう
- BOXILとは
銀行・金融業界で活用できるCRMの機能
CRMとは、顧客と良好な関係を築くためのマネジメント手法のことです。「Customer Relationship Management」の略語であり、日本語では「顧客関係管理」、あるいは「顧客管理」と訳されます。近年は顧客との関係構築のために、顧客情報を一元的に管理できるシステムを「CRM」と呼ぶのが一般的です。
CRMの機能は、「データベース機能」「プロモーション機能」「顧客サポート」などがあります。企業がCRMの導入を考えている場合、顧客と良好な関係を築くのはもちろん、多くの企業は顧客情報を効率的に管理するために導入していると考えられます。
CRMの機能をさらに詳しく知りたい場合は、こちらの記事を参考にしてください。
CRMでできること
CRM最大のメリットは、顧客情報を可視化できることです。各担当者が個別に管理していた顧客情報を一元的に集約・運用することで、顧客それぞれの状況が見えるようになり、部門・部署の垣根を越えて顧客情報を有効に活用できるようになります。
つまり、顧客の情報を集約・分析することで、顧客と良好な関係を構築するための施策を打ち出すのがCRMの主たる活用法といえるでしょう。顧客の購買行動を維持するために、収集した情報をフル活用するためのシステムです。
銀行・金融業界におけるDX推進の課題
銀行・金融業界では、他業界や日本全体で推進されている、DX(デジタルトランスフォーメーション)に対応しなければなりません。しかし銀行・金融業界はオフラインで顧客との信頼関係を築いてきた経緯があるため、DXを行うには顧客管理にまつわる課題が発生することもあります。
普段の業務で解決すべき課題はどれか、確認してみましょう。
2025年の崖への対応に不安がある
「2025年の崖」とは、DX化の推進にともない経済産業省により発表された、「DXレポート」に登場した言葉です。基幹システムの老朽化やIT人材の不足により、このまま業務を見直さなければ、2025年には現在の3倍にも及ぶ、最大12兆円にもなる経済損失の発生する可能性が懸念されています。
金融業界には、多くのレガシーシステムが残されており、サイバー攻撃に対するぜい弱さや、あいつぐカスタマイズによるブラックボックス化などが指摘されています。またシステムは各部署ごとに構築されているケースも多く、情報共有もスムーズにできていません。
くわえて金融・銀行業界は印鑑や対面接客といったアナログ文化が浸透しているため、他業種よりDX化を推進しにくく、業務が煩雑化しやすい環境です。そのため、こういった課題を解決するための手段が求められています。
※出典:経済産業省「DXレポート~ITシステム『2025年の崖』の克服とDXの本格的な展開~」(2024年9月18日閲覧)
顧客との関係性を構築しにくくなっている
銀行・金融業界においては、顧客と良好な関係を築くことが結果的に利益につながりやすいのが特徴です。これまで金融業界は対人メインでコミュニケーションを取ってきており、直接会話を行うことで信頼関係を構築していました。
しかし近年はネットバンキングやネット上で提供されるサービスが多く、通帳の電子化といったDXも進んでいるため、オンラインで取引が完結することも一般的になっています。そのため金融業界でも、ネット上で顧客とコミュニケーションを行う必要があります。
一方でオンラインのコミュニケーションは相手がどういった人物かわかりにくく、数多くの顧客と幅広くやり取りを行うのが特徴です。企業側としては、大量の顧客データを収集・処理し活用することを求められますが、これに対応するだけのシステムや体制は整っていないのが現状です。
また銀行をはじめとする金融業界では契約に印鑑を使う文化が浸透していますが、今後はオンラインですべてを完結できるよう、電子契約のようなシステム面の刷新も必要でしょう。
担当者によってサービスのばらつきがある
銀行・金融業界は他の業種と比較しても、とくに個人のスキルによる営業成績のばらつきや、提供するサービスの質の差が大きいといった問題もあります。銀行や金融業界では、前述したレガシーシステムや厳重なセキュリティが理由で、顧客情報を共有や活用できないケースが少なくありません。
そのため業務が属人化しやすく、これがサービスの質のばらつきにつながっています。また情報共有がスムーズにできないため、たとえば別の担当者が電話を受け取った場合顧客情報の把握に時間がかかったり、引き継ぎがうまくいかなかったりと、業務の滞りにもつながります。
ワンストップ提供開始による競争の激化
ワンストップ提供が開始されたことで業界全体の競争が激化していることも、懸念点として挙げられます。金融業界では金融サービス仲介業が創設されたことにより、2021年から銀行・証券・保険すべての分野のサービスを、1つの登録だけで提供できるワンストップ提供が開始されました。
以前のような分野ごとの縦割りがなくなり、どの企業でもすべての分野に参戦できるようになったことで、金融業界全体で競争の激化が進んでいます。こういった状況で今後幅広くサービスを展開し他社と差別化できる競争力を身につけるためには、効率よく顧客情報を処理し、うまく分析・活用することが求められます。
銀行・金融業界の課題をCRMで解決できる理由
銀行・金融業界ではや「2025年の崖への対応」や、「顧客との関係性を構築しにくくなっている」などDX化に関する課題がありますが、CRMを使えばそれらの課題も解決できます。
CRMの導入によって顧客情報を効率的かつスピーディーに収集・蓄積できるようになれば、これらの問題・課題をまとめて解決できる可能性があります。とくに、銀行をはじめとして金融業は取り扱う顧客情報が膨大になるため、情報の「収集」「整理」「分析」「利用」を効率的にこなせるようになるCRMの導入は、必須といえるでしょう。
DX推進の課題が解決できる理由を、CRMの機能や詳細とともに説明します。
顧客情報を一元管理できる
CRMを導入すれば、これまで担当者ごとに分散していた顧客情報を集約し、一元管理できるようになります。社内で情報をスムーズに共有できるようになり、必要なスタッフが必要な情報をすぐに確認・利用できる体制が構築できるでしょう。
これにより、担当者が不在のトラブルに対しても迅速に対応でき、別の部署がもつ情報も活用できるようになるなど、部署・部門間での連携が強化できます。また、金融業界は融資先の信用リスクの把握も必要です。CRMによって顧客情報をまとめて管理し、分析することで、デフォルト(債務不履行)の恐れがある顧客を割り出す、といった活用もできるでしょう。
精度の高い販売戦略の実行が可能になる
顧客の購買行動に関する情報を集約することで、精度の高い販売戦略が実行できます。CRMではサイトで顧客がどういった行動を取っているか、過去にどういった問い合わせを行ったかといった情報まで集約します。そのため顧客がどういった商品に興味をもっているか、どういったものを好むのかといった情報まで分析でき、的確なタイミングで的確な商品の提案が可能です。
また顧客全体の情報を分析すれば、売上予測や目標達成率、顧客全体での好みの傾向といった情報も割り出せるため、より有効な販売戦略・プロモーション戦略の実行が可能になります。データにもとづいた合理的な戦略を立てられるため、無駄な施策や活動に経営リソースを割かずに済むでしょう。これは顧客の離反防止のフォローアップにも役立てられます。
部門・部署ごとの顧客対応が充実する
CRMによって顧客情報が一目で把握できるようになるため、適切なクレーム対応、顧客サポートができるようになり、顧客満足度の向上を実現できます。とくに営業やコールセンターなど、顧客と接する機会の多い部門では、サービスの標準化や品質向上が可能です。
たとえばコールセンターのシステムとCRMを連携すると、電話がかかってくると同時に電話番号の主である顧客の情報が一覧で表示されます。過去にどういった問い合わせや商品購入があったかも一目で把握でき、問い合わせの内容を正確に理解できるため、新人であっても適切な対応が取りやすいでしょう。
また営業に関しては、前述したようにコミュニケーションを図るタイミングや、提案すべき商品が事前に把握できるため、効率的な営業活動を実現できます。チャネルごとの連絡についても一元管理できるため、対応の抜け・漏れも防止可能です。
コンプライアンスの強化
CRMの導入により、社内のコンプライアンスを強化できます。金融業界において、顧客情報の漏えいや不正アクセス・不正利用は企業としての根幹を揺るがす重要な問題であり、徹底的に対策しなければなりません。
一方でCRMも個人情報の蓄積が軸であるため、国際基準に対応したセキュリティ基盤や、コンプライアンスの強化には力を入れており、日々アップデートを行っています。データの暗号化やシステムの監視はもちろん、アカウントごとに情報へのアクセス権限をコントロールできるため、情報漏えいも未然に防ぎやすくなります。
こういった対策により、「2025年の崖」でも指摘されるセキュリティ面での懸念点を解消しやすく、安全にシステムの運用を継続できるでしょう。
銀行・金融業界におけるCRMの導入事例
銀行・金融業界でCRMを導入している企業の例を、業務改善例とともに紹介します。
株式会社仙台銀行
宮城県内で広く展開する第ニ地方銀行である仙台銀行は、顧客管理システムの見直しにより、個人向け融資サービスの申し込み金額を大幅に増加できました。仙台銀行では、個人ローンの申し込みが減少傾向にあり、原因が1つの保証会社でしか審査を受けられず、否決された申し込み者が他行に流れていることだと判明しました。
そこで新しく顧客管理システムを導入。これまで保証会社が取得していた審査対象者の情報を銀行側で保有・把握できるようにし、銀行の判断により複数の保証会社で審査できるようにしました。またWeb経由の申し込みにも着目。申し込み意欲の度合いで顧客を分類し、それぞれ分類ごとに異なる内容のWeb広告を、異なる場所に出稿してアプローチを行いました。
そのほか特設サイトや入力フォームの改善といった対策を行った結果、個人ローンの申し込み金額が、従来の約10倍と大きな成果を挙げられ、顧客単価の高い顧客を多く集められました。またCRMに集めた顧客リストは、個人ローン申し込みの枠組みを越えて活用されており、仙台銀行とユーザーをつなぐ架け橋になっているそうです。
※出典:Synergy!「個人向け融資サービスで約10倍の申込金額を達成 顧客管理システムの見直しからプロモーションまでをサポート」(2024年9月19日閲覧)
保険マンモス株式会社
ファイナンシャルプランナーが、複数社の中から中立・公平な保険プランの提案を行う仕組みを事業として展開する保険マンモスは、CRMの導入により業務効率が大幅に向上しました。保険マンモスは以前紙やExcelベースで顧客管理をしていましたが、顧客の増加にともない管理しきれなくなっていました。
また面談の日程調整といったやり取りをメールで行っていたものの、この対応履歴は顧客情報とは別に管理されていたため、こういった状況に危機感をもったことでCRMの導入を決意。結果業務にかかる時間を大幅に短縮し、顧客対応のスピードが上がったことで、さらなる集客が可能になりました。
さらに過去の対応履歴を集約、顧客の状況を一目で把握し適切に対応できるようになったことで、顧客満足度が向上しました。ほかにも、ローカルで管理していた顧客情報をシステムに移行したことで、セキュリティ面のリスクも軽減できたそうです。
※出典:Synergy!「Synergy!の徹底活用で、 顧客情報や対応履歴管理の業務効率がUP!」(2024年9月19日閲覧)
アコム株式会社
ローン事業を中心に金融関係の事業を幅広く展開するアコムは、CRMの導入により情報共有のタイムラグを解消しています。アコムは以前コロナ禍で業績が悪化し、これを改善するため提携先の金融機関に寄り添った提案やフォローを強化することにしました。
またアコムではメールによるコミュニケーションが主体であり、情報の共有や相談は直接対面で行っていましたが、出張が多いためすれ違いも多く、営業の進捗やナレッジの共有が不十分でした。こういった事情もあり関係性・情報共有の強化を図るため、CRMとSFA(営業支援システム)がセットになったシステムを導入。
結果システムを活用して出張中でも情報共有がスムーズになり、タイムラグが短縮されました。また移動中に情報を更新するといった、時間の有効活用もできるようになりました。さらにシステム上で上層部からのアドバイスをもらえるようになり、各担当者のモチベーション向上や迅速な営業活動にもつながったとのこと。
現在はシステムを現場に定着させることを最優先させているものの、今後は顧客情報を増やし、システムを営業データにも活用していきたいそうです。
※出典:Mazrica Sales「Mazrica Sales(旧Senses)で情報共有のタイムラグを解消|営業コミュニケーションの円滑化で進む『より添った』提案・フォロー」(2024年9月19日閲覧)
銀行・金融業界向けCRMの比較
銀行・金融業界におすすめのCRMシステムを6つ紹介します。
また、本記事で紹介するCRMシステムのさらなる詳細は次の資料で確認できます。
Synergy! - シナジーマーケティング株式会社
- 使いやすさを徹底的に考えた画面デザイン
- 個人情報を安心して扱える堅牢なセキュリティ
- Excelの管理データや既存の外部データベースとも楽々データ連携
Synergy!は、顧客関係管理のために必要な機能だけを厳選し、確実に運用成果に結びつく製品を目指して設計されたクラウドベースのCRMです。
集客や顧客情報の統合と一元化、クロスチャネルでのメッセージング、多角的な顧客情報分析まで、CRMのさまざまな活動をサポートしてくれます。画面構成も見やすくセキュリティも強固ため、ITリテラシーの異なるスタッフが多い傾向にある金融業界でも重宝するでしょう。
トライアルの有無 | 価格 |
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14日間無料 | 月20,000円~(初期費用118,000円) |
Mazrica Sales - 株式会社マツリカ
- リアルタイムチャットサポートにより現場定着を支援
- 顧客ごとの営業活動の可視化、提案内容の共有、コミュニケーションが可能
- 蓄積情報をもとにリスク分析や類似案件をアドバイスするAI
Mazrica Salesは、案件管理や営業活動の管理に対応した顧客管理システムです。企業概要や財務情報といった企業情報、紐づく案件や行動履歴を統合管理できるため、提携先に寄り添った提案やフォローに役立ちます。
提案資料といったナレッジの共有、コメントによるリアルタイムでのアドバイスなども可能です。過去案件データをもとに、案件のリスク分析やスコアリングが行えるAI機能を備えています。
トライアルの有無 | 価格 |
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あり | 27,500円~/月 |
GENIEE SFA/CRM - 株式会社ジーニー
- 柔軟なカスタマイズ性で多様なビジネスシーンに対応
- 顧客情報や活動履歴などの情報を任意の切り口で可視化
- 高い定着率を誇り使いやすさと手厚いサポートに強み
GENIEE SFA/CRMは、スマートフォンアプリでも利用できる国産SFA/CRMです。購入情報や年齢などの顧客情報、活動情報、売上情報などを紐づけ管理でき、自在な切り口でグラフ化してダッシュボードに集約できます。
自由に設定できる項目により商材にあった顧客データベースを構築でき、担当や商談、添付ファイルなどを1ページにまとめられます。顧客ニーズの抽出や音声データの文字起こし、議事録の要約などをサポートするAI機能が利用可能です。
トライアルの有無 | 価格 |
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あり | 34,800円~(税抜)/月 |
※料金は10ユーザー分含む
Salesforce Financial Services Cloud
- Lightningコンソールによる営業生産性の向上
- さまざまな顧客情報とのやり取りを1つの場所で管理可能
- さまざまなデバイスからアクセス可能
Salesforce Financial Services Cloudは、銀行家やアナリスト、コンプライアンスマネージャーの仕事など、金融業界における各種業務を効率化できるクラウドシステムです。顧客との信頼関係の構築を、システムで全面的にバックアップしてくれます。
さまざまな職種の利用を想定しているため非常に多機能で、必要な機能を柔軟にカスタマイズできるのが強みです。
トライアルの有無 | 価格 |
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30日間 | 月19,800円~/ユーザー(税抜) |
GRMarketing - 株式会社イーグリッド
- 見積・請求作製、売上集計が簡単に
- 受注・売上・利益管理が簡単に
- さまざまなデバイスからアクセス可能で場所を選ばない
GRMarketingはブラウザ1つで顧客管理・営業支援ができるCRMです。銀行・金融業界はもちろん、さまざまな分野の顧客情報管理に適しており、シンプルな使いやすい操作性で高い人気を誇ります。
受注管理から利益管理まで幅広く管理可能で、とくに使いやすさを重視した設計であるのが特徴です。初めてCRMを導入する企業でも、問題なく使いこなせるでしょう。
トライアルの有無 | 価格 |
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要問い合わせ | 5,000円/月(初期費用無料) |
fcube(エフキューブ)CRMサービス
- 顧客情報を一元化した、情報基盤を提供
- EBMや住宅地図などによる経営戦略の立案を支援
- 顧客管理や行動管理、実績管理の活動を支援
fcube(エフキューブ)CRMサービスは、業務の体系化とコンポーネント化により、合理的なシステム導入と優れた拡張性を実現した金融機関向けの統合CRMです。
金融機関の強みはきめ細やかな顧客管理であり、拠点ベースで実施されています。顧客情報を一元管理できる、強固な情報基盤を導入することで、顧客の多様性に対応した情報の収集・利用にくわえて、ユーザーエクスペリエンスの向上を企図した施策の実行が可能です。金融機関の業務に必要な機能が厳選されており、セキュリティも強固です。
トライアルの有無 | 価格 |
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要問い合わせ | 要問い合わせ |
銀行・金融業界がCRMを導入・運用する際のポイント
銀行や金融を生業としている企業がCRMを選ぶ際には次の点に注意しましょう。
導入目的を明確にする
最初に、導入目的を明確にしましょう。
CRMは他の管理システム比べて多機能で、さまざまな活用方法が考えられます。事前に導入目的を明確にしておかなければ、どういったCRMを選べばいいか曖昧になり自社に適した製品がわからなくなります。
CRMの導入によって業務フローが大きく変わる部門もあり、逆に生産性が下がるケースといった失敗事例もあるため注意が必要です。導入チームとシステムを活用する現場の担当者がよく話し合い、何のために導入するのか、どのような業務上の課題を解決するためのものかを明らかにしましょう。
システムの操作性はどうか
現場が使いやすいシステムかどうかも、重要なポイントです。
たとえ評価の高いCRMを導入したとしても、現場がうまく使いこなせなければ意味がありません。スタッフによってシステムを使うためのITリテラシーには差があるので、実際にCRMを活用するスタッフが問題なく使えるか、機能だけでなく操作性にも注目する必要があります。
ほとんどのCRMは誰にでもわかりやすい画面構成や仕様ですが、それでも使いやすさや操作性には差があるので、できれば導入前に使い勝手を確認しておくのがベストです。無料体験版やトライアル版が利用できるCRMもあるため、現場で利用するスタッフに使用感を確認してもらいましょう。
ベンダーのサポートは充実しているか
初めてCRMを導入する際には、ベンダーから導入サポートを受けるのがおすすめです。専門サポートを受けることで、現場の負担を大きく軽減できます。
CRMのような大規模システムの導入には相応の時間がかかるのにくわえて、初期設定にも手間を要します。専門の技術要員が在籍している場合は問題ないかもしれませんが、サポートの内容は確認しておいた方がよいでしょう。
また、システムの運用時に問題やトラブルが起こった際、迅速にサポートを受けられるかどうか、導入前に必ずチェックしてください。
CRMは業務の根幹に関わってくるシステムであるため、ちょっとした障害でも業務に支障が出る可能性もあります。トラブル発生時にすぐコンタクトが可能で、迅速に解決策を提示してくれるベンダーの製品を選びましょう。
セキュリティは強固か
前述したように銀行・金融業界では、膨大な量の個人情報を管理するためシステムのセキュリティも非常に重要なポイントです。とくにクラウド型はインターネットを通じてシステムを利用するため、万が一にも情報漏えいが起こらないか確認しましょう。
具体的には前述したアカウントごとのアクセス権限の付与やIPアドレス制限、二段階認証、データ通信の暗号化といった対策が行われているかチェックします。また第三者期間による国際認証を取得していれば、より安心です。
既存システムと連携できるか
CRMはさまざまな業務システムと連携することで、効果を最大限に発揮できるため、既存システムとスムーズに連携できるかもチェックしてください。たとえばWebサイトに導入しているチャットボットや、LINEといったSNS、コールセンターで利用しているCTIシステムと連携できれば便利です。
CRMによっても連携できるサービスには大きな違いがあります。事前に連携させたい既存システムを洗い出し、どこまで連携できるかを確認しましょう。
銀行・金融業界でCRMを導入する際の注意点
銀行・金融業界でCRMを導入する際には、次の点に注意が必要です。
導入や運用にコストがかかる
CRMは、導入や運用にコストがかかります。CRMの場合は導入の際に業務フローに合わせて設定やカスタマイズを行う必要があります。自社独自の商習慣や業務フローがある場合は、カスタマイズに費用や時間がかかりやすいため、注意しましょう。
また近年はクラウド型が主流であり、導入費用を抑えられる代わりに、運用費用として月額利用料が発生するケースも多くあります。月額料金はユーザー1人ごとに料金がかかり、人数が多いほど費用が増える従量課金制を採用しているシステムが多いため、事前にユーザー数を確認するのもおすすめです。
教育に時間やコストがかかる
CRMは会社全体で利用するシステムであるため、これを操作し十分活用できるように従業員を教育する必要があり、そのための時間やコストがかかります。具体的にはシステムのマニュアル作成や説明会・研修会の開催といった準備が必要であり、準備をする側も参加する側も負担がかかります。
また自社ニ最適なシステムを導入できたとしても、慣れるまでは勝手がわからず逆に業務効率が悪くなる可能性もあるでしょう。そのためシステムのトラブル対応や、従業員からの質問対応といった十分フォローできる体制の構築が必要です。
もしこういった準備やフォローを行わなければ、システムが現場に定着せず、費用だけが発生する状況になりかねません。面倒でも初期の段階でしっかり時間とコストをかけて、現場への定着を目指しましょう。
効果が出るまでに時間がかかりやすい
CRMは導入してから効果が出るまで時間がかかりやすい点にも注意してください。CRMは各部署から顧客の情報をシステムに集約したうえで新たに情報を蓄積し、これを分析して業務に反映することで初めて効果が出ます。導入後は情報の集約や蓄積に時間がかかり、分析したデータを実際に業務へ反映し改善を重ねるのにも時間がかかります。
そのため導入してすぐに効果を期待するのではなく、長い目で見て計画を立て、PDCAサイクルを地道に回し、効果が出るまで継続して努力を重ねるのが重要です。
銀行・金融業界向けCRMで効率よく顧客管理を行おう
銀行・金融業界で、CRMを導入すれば、顧客情報を守りながら精度の高い販売戦略の実現が期待できます。それだけでなく、CRMでは情報の「収集」「整理」「分析」「利用」を効率的メリットもあるため、業務効率化につながります。
銀行・金融業界向けCRMを導入する際には、導入目的や希望する機能が搭載されているか確認し、銀行・金融業界で導入実績の多いCRMサービスを選びましょう。
BOXILとは
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