CPM分析とは?顧客育成の手法を解説 - 売上収益を高めるCRMシステムも紹介
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CPM分析とは
CPM(Customer Portfolio Management)分析とは、顧客ポートフォリオ管理のことで、企業が顧客基盤を効果的に管理し、最適化するための分析手法です。
CPM分析は、顧客の購入履歴にもとづいて、「購入回数」「購入金額」「最終購入日からの経過日数」の基準で、顧客を10のグループに分類し分析します。優良顧客の育成(ナーチャリング)や離脱顧客の呼び戻しに活用され、長期的な視点で売上を伸ばすために有効な手法です。
CPM分析の目的
CPM分析の目的は、顧客を育成段階ごとに分類し、それぞれに合ったマーケティング施策を実行することで、顧客生涯価値(LTV)の向上を目指すことです。
CPM分析はまた、限られたマーケティング予算や営業リソースを最も効果的に活用するために、リソース配分を最適化するのにも役立ちます。
CPM分析とRFM分析の違い
RFM分析とは、顧客の購買行動を、「購入回数(Recency)」「購入頻度(Frequency)」「購入金額(Monetary)」の3つの指標で評価する手法です。
RFM分析は、特定の期間内での顧客行動に焦点を当て、効果的なマーケティング施策を迅速に実行するために有効な手法です。またRFM分析は、顧客をスコアリングして明確にセグメント化するため、ターゲットを絞ったマーケティングに役立ちます。
CPM分析は、長期的な成長を視野に入れた戦略策定を支援するのに対し、RFM分析は、顧客の購買行動を把握しやすいため、短期的な売上向上に効果的な施策が可能になります。
CPM分析のデメリットは、多くのデータを収集・管理する必要があるため、実施には時間がかかることです。一方、RFM分析のデメリットは、顧客の全体的な価値や将来的な潜在価値を評価するのが難しいことです。
RFM分析からCPM分析への移行事例
RFM分析からCPM分析へ移行して成功した事例として有名なのが、健康食品の通販サイト「やずや」です。やずやでは、新規顧客をある程度獲得できた頃にRFM分析を導入し、短期的な売上には貢献したものの、優良顧客が流出してしまい、毎月1000万円ずつ売上がダウンしてしまった経験を持ちます。
そこで、長期的な視点でのリピーターへの販促が大切だと考えたやずやは、LTVを向上させる分析・運用手法として「やずや式CPM」を開発しました。結果として、やずやは長期にわたって目覚ましい成長を遂げ、CPM分析が通販やECサイトなどで効力を発揮する分析手法であることが証明されたわけです。
橋本 陽輔 著:「社長が知らない 秘密の仕組み」
CPM分析のプロセス
CPM分析は、次のようなステップを踏んで実施されます。
1. 顧客データの収集
まず、顧客の取引履歴や購買パターン、属性情報などを収集します。
2. 顧客セグメンテーション
収集したデータをもとに顧客を10のセグメントに分類します。セグメントは、収益性や購買頻度、将来の成長可能性といった基準にもとづいて行います。
3. 顧客価値の評価
各セグメントに属する顧客の価値を評価します。LTV(ライフタイムバリュー)やCAC(顧客獲得コスト)などの指標を用いて、収益性や投資回収期間を算出します。
4. 戦略の策定と実行
評価結果をもとに、各セグメントに対するマーケティング戦略を策定し、実行します。たとえば、高価値顧客にはロイヤルティプログラムを提供し、低価値顧客にはコスト効率の高いマーケティング施策を適用します。
5. パフォーマンスのモニタリングと調整
実行した戦略の成果を継続的にモニタリングし、必要に応じて調整します。
CPM分析の10の顧客セグメント
CPM分析における10の顧客セグメントは、次のとおりです。
分類 | 顧客の特徴 |
---|---|
初回現役客 | 一定期間中に初回購入している顧客 |
よちよち現役客 | 一定期間中に2回以上購入している顧客 |
コツコツ現役客 | 一定期間中に安定的なリピート購入がある顧客 |
流行現役客 | 短期間で一定金額以上の購入がある顧客 |
優良現役客 | 長期間にわたり一定金額以上の購入がある顧客 |
初回離脱客 | 一定期間中に初回購入していて、その後離脱した顧客 |
よちよち離脱客 | 一定期間中に2回以上購入していて、その後離脱した顧客 |
コツコツ離脱客 | 一定期間中に安定的なリピート購入があり、その後離脱した顧客 |
流行離脱客 | 短期間で一定金額以上の購入があり、その後離脱した顧客 |
優良離脱客 | 長期間にわたり一定金額以上の購入があり、その後離脱した顧客 |
CPM分析で顧客層をどう見るか
10セグメントに分類された顧客層が、どのような割合で推移しているかを見極めることがCPM分析では重要になります。
現役層が厚くなっているのであれば経営は安定方向に進んでいますが、離脱層が増加していたり、優良離脱客が増えたりしているようなら危険信号です。
これに対する具体策は後述しますが、CPM分析によって経営状態/顧客状態の可視化が可能になることがおわかりでしょう。
グラフ化による問題の可視化
現在ではCPM分析が可能なCRMシステムも登場していますが、基本的にはきちんとデータを取って長期間分析を続ければ、Excelでもグラフを用いて顧客ポートフォリオの可視化を行うことは可能です。
集計表の作成
CPMで分類した顧客層を縦軸に、月ごとの人数を横軸にして集計表を作成します。
少なくとも半年以上の集計がないと精度は高くなりませんが、人数の推移や累計での増減をデータバーで表示できるようにしておくと見やすいかもしれません。
平均LTVと平均在籍期間の入力
作成した集計表だけでは、人数の推移と増減しか判断できないので、各月に平均累計購買金額(平均LTV)および、平均在籍期間を入力した集計表を用意します。
これを月ごとに作成したうえで、グラフ化するとわかりやすいでしょう。
グラフから読み取るべきことは
数値だけでも分析は可能ですが、結果をグラフ化することによって、さまざまな状況の可視化が可能です。
現役顧客の在籍期間と人数が月日とともに増加していき、逆に離脱顧客の人数が減少するのが理想ですが、個々の変化率が大きいセグメントがあれば、何かが起こっている兆候だという推測もできます。
CPM分析結果をナーチャリングに活かそう
CPMによって得られた分析結果は、対応策を策定し、ナーチャリングに活用、実行していかなければなりません。
CRMシステムによっては、メール販促機能やカートシステムと連動しているサービスもあるので、メールマガジンやDMでの対応策は比較的容易にできるかもしれません。特定の顧客セグメントに対してカスタマイズされたメッセージを送ることで、ナーチャリング効果を高められます。
顧客層に合わせたナーチャリング
ナーチャリングの効果を最大化するためには、CPM分析にもとづいてセグメント化された顧客層に対して、それぞれに最適なアプローチを取ることが必要です。
初回離脱客への対応
初回購入後に離脱する顧客には、フォローアップのコミュニケーションを増やすことが効果的です。購入後のアンケートや、次回購入時の割引クーポンを提供することで、再購入を促せるでしょう。
コツコツ現役客への対応
現役客がなかなか優良現役客に成長しない場合、クロスセルやアップセルの導線が適切に機能しているかを確認します。購入履歴をもとに関連商品の提案を行うことで、客単価を上げることにつながります。
優良現役客の維持
優良現役客が離脱する兆候が見られる場合、特別感を演出することが重要です。たとえば、限定イベントへの招待やパーソナライズされた特別オファーを提供することで、顧客ロイヤルティの向上が期待できます。
離脱客の再獲得
離脱客に対しても積極的にアプローチすることが必要です。コストがかかる場合もありますが、有効なDMや特別オファーを送ることで、再購入を促進できます。
情報提供の重要性
どのセグメントに対しても、情報提供や感謝の気持ちを込めたコミュニケーションが重要です。露骨な「売り込み」ではなく、顧客にとって有益な情報を提供することで、信頼関係を築くことにつながります。たとえば、新商品の情報や使用方法の提案などは効果的でしょう。
顧客は情報を歓迎する
多くの企業が、「しつこいコミュニケーションは顧客に嫌がられるのではないか」と心配することがありますが、実際には多くの顧客が有益な情報を歓迎します。とくに優良顧客になる可能性のある顧客は、新しい情報を求めていることが多いため、適切な情報提供を行うことで、より深い関係を築くことが期待できるでしょう。
現在の顧客は、積極的に情報を検索することが多いため、Web上で得られない独自の情報を提供することは、競争優位性を高める一因となります。限定キャンペーンや特別なコンテンツを提供することで、顧客の関心を引き続けられるはずです。
CPM分析と活用におすすめのCRMシステム3選
顧客の動向を分析し、よりパーソナルなナーチャリングが可能となるCPM分析がどのように有効かが理解いただけたでしょう。
CPM分析を行いつつ顧客管理を行うのに、おすすめのCRMシステムを厳選して紹介します。
また、こちらからはCRMの人気ランキングや、各種サービスの評判・口コミも参照できます。
LTV-Lab Plus
- LTV-Labの多機能アップグレード版
- RFM分析・CPM分析・継続離脱分析・購買パターン分析
- メール、LINE、DM配信
LTV-Lab Plusは、通販の顧客満足度を高めるクラウドCRMシステム「LTV-Lab」に、CPM分析をはじめとしたLTVを向上させる分析機能を追加したシステムです。
CPMで必要なセグメント分割の条件も任意で設定可能なほか、RFM分析機能も備え、メール販促やDM販促を行うことによってOne to Oneマーケティングに役立つ機能を兼ね備えています。
もちろん、その他の分析機能やメール配信機能も搭載、自動配信による業務の効率化と顧客情報の一元管理を実現します。
MakeRepeater(メイクリピーター)
- RFM分析・CPM分析・LTV分析・属性分析
- 売上シミュレーション機能
- 自動でステップメール配信
MakeRepeater(メイクリピーター)は、分析からシナリオ/メール作成、自動配信、効果測定までのサイクルをPDCAで回すことにより、売上アップを目指すことを可能にするクラウドCRMシステムです。
CPMをはじめとする各種分析機能により、顧客ロイヤルティを可視化、売上シミュレーション機能でセグメント別の施策を提案し、シナリオに沿ったステップメールを自動配信します。
テキストメールはもちろんのこと、HTMLメールにも対応、作成したデザインをテンプレートとして保存することにより、効率化向上も期待できます。
Simplex
- 通販・ECのためのCRM・販売管理システム
- CPM分析・RFM分析・ABC分析・プロモーション分析
- ECサイトとAPI連携
Simplexは、徹底した顧客管理機能と分析機能で見込み客の離脱を防止し、優良顧客へと導くことを可能とするクラウドCRMシステムです。
CPM分析やRFM分析をはじめとした分析機能を豊富に備え、商品貢献度分析やプロモーション分析なども簡単に実行可能です。また、顧客ポートフォリオに合わせたキャンペーン展開により、顧客満足度向上の実現とLTVの向上を実現します。
今回紹介しきれなかったCRMの詳細については、次の記事で詳しく紹介しています。
CPM分析をOne to Oneマーケティングに活用しよう
現代の情報化社会では、顧客の嗜好が多様化し、市場競争が激化しています。このような状況下で企業が生き残るためには、個別の顧客に焦点を当てたOne to Oneマーケティングが重要となります。
One to Oneマーケティングの成功には、顧客のニーズや行動を正確に把握することが不可欠です。そこでCPM分析が役立ちます。CPM分析は、顧客ごとの購買履歴や行動パターンを分析し、顧客の潜在的なニーズや価値を明らかにする手法だからです。
CPM分析の導入は、One to Oneマーケティングを実現するための強力な武器となります。市場での競争力を維持するために、いち早くCPM分析を取り入れ、顧客の多様なニーズに応えましょう。
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