人事評価制度の事例12選!成功事例から学ぶ評価制度の導入ポイント

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- 人事評価制度とは
- 人事評価制度のメリットと導入効果
- モチベーションが向上する
- 人材スキルの管理ができる
- コミュニケーションを促進できる
- 客観的な評価を決める基準になる
- 人材の能力育成に役立てられる
- 人事評価制度の作り方・導入手順
- 目的の明確化と設計
- 評価項目・基準の設定
- 評価者トレーニングと運用設計
- 人事評価制度の成功事例
- 目標管理の「見える化」と「プロセス評価」
- 多角的な視点を取り入れた「公正な評価」
- 社員の自律的な成長を促す「仕組みづくり」
- 人事評価制度に活用される手法
- MBO(目標管理制度)
- OKR
- 360度評価
- コンピテンシー評価
- バリュー評価
- ピアボーナス®
- ノーレイティング
- リアルタイムフィードバック
- 評価のオープン化
- 人事評価制度の課題と導入時の注意点
- 制度構築には手間と時間がかかる
- 評価者には高度なスキルが求められる
- 評価バイアスに対する対策が必要
- 客観性を担保する仕組みの整備
- 企業に合った評価制度を導入しよう
- BOXILとは
人事評価制度とは
人事評価制度とは、従業員の成績や組織・部署に対する貢献度など、企業の業績を上げるために必要な行動を一定の基準で評価する制度です。
一定の基準にもとづいて従業員を評価し、それをもとに、しかるべき人材育成をすることで企業全体の生産性向上を目指せます。全体目標の達成や業績アップのためには、企業に合った適切な人事評価制度が必要です。
自社にマッチした人事評価制度を取り入れることにより、従業員個人の労働生産性の向上はもちろん、一人ひとりの強みや適性を把握し、最適な人材配置と待遇を決められます。

単に評価結果を伝えるのではなく、「何ができていて、何が不足しているのか」を社員自身に考えさせ、次の目標設定や具体的な改善策を共に話し合うことが大切です。しっかりとしたフィードバックを継続的に行う企業は、社員のエンゲージメントが高く、離職率が低い傾向にあります。この有効なフィードバックを実現するために、タレントマネジメントシステムが役立ちます。過去の評価履歴や本人の意向、キャリアプランといった多面的な情報をシステムで瞬時に確認しながら面談に臨むことで、より具体的で適切な指導につながり、社員の納得感と成長支援につなげられるでしょう。
人事評価制度のメリットと導入効果
人事評価制度を作成する目的やメリットを大まかに5つにわけて解説します。
- モチベーションが向上する
- 人材スキルの管理ができる
- コミュニケーションを促進できる
- 客観的な評価を決める基準になる
- 人材の能力育成に役立てられる
モチベーションが向上する
人事評価制度によって、公平で適正な評価をされることは、社員のモチベーションアップにつながります。
評価基準が明確になることで、業務の目的が把握しやすくなれば、積極的に自信をもって業務にも取り組めるでしょう。頑張りや成果が可視化されれば周囲からも認められやすく、社員の承認欲求を刺激するのにも効果的です。
人材スキルの管理ができる
定期的に人事評価をすることで社員のスキルが棚卸できるため、社内全体でのスキル管理が可能です。評価データを蓄積してデータベース化すれば、社員のスキルを把握しやすくなり、優秀な人物の発見や人事異動の適正化にも活用できます。
コミュニケーションを促進できる
人事評価制度では、上司と部下が1対1でコミュニケーションをとる場面が増加します。上司が適切なフィードバックを行えば、「自分の努力が認められた」「適切に評価されている」と、上司や会社への信頼度の向上につながるでしょう。
また、指導する側のマネジメント能力やコミュニケーション能力のアップも期待できます。
客観的な評価を決める基準になる
人事評価制度は、社員の貢献度や能力を客観的に判断するためのツールです。そのため制度を整えて基準を明確にすれば、相対評価も納得感がいくものとなり、人事評価制度に対する社員の不満も出にくくなるでしょう。
また上司からのフィードバックも、客観的な人事評価を基準に行うことで、より適正な指導をしやすくなる効果も期待できます。
人材の能力育成に役立てられる
人事評価は社員がもつスキルや能力を正確に見える化できるため、人材育成にも役立てられます。
社員は自身の評価内容を見て現在の立ち位置や足りていない能力、得意なことなどを把握することで、今後キャリアアップのために何をすればいいかがわかるでしょう。
とくに、社員数が少ない中小企業は少数精鋭の組織となる必要があり、強い組織づくりが求められるため人事評価制度の導入がおすすめです。
また、上司としては今後どのような業務やプロジェクトに割り振ればいいかの判断材料にもできます。

例えば、人事異動で新しい職場に配属された社員に対し、過去の上司からの評価情報が一切引き継がれていないとしたらどうでしょうか。社員は会社に対して不信感を抱くでしょう。評価情報は、単なる結果ではなく、社員の成長過程を示す貴重な記録です。この重要な情報を部門や担当者が変わっても途切れなく引き継ぎ、継続的に活用していくためにも、タレントマネジメントシステムの早期導入は極めて重要です。システムを活用することで、評価の経緯と詳細なデータが組織の財産として確実に蓄積され、公平性と透明性の高い人材マネジメントの基盤が築かれます。
人事評価制度の作り方・導入手順
人事評価制度を効果的に導入するには、目的の明確化から制度設計、評価者の育成に至るまで、段階的に取り組むことが重要です。
制度が形だけになってしまうのを防ぐためにも、導入の初期段階から全社的な理解と合意を得ることが求められます。
目的の明確化と設計
まずは人事評価制度を導入する目的を明確にします。
たとえば、「従業員のモチベーション向上」「人材育成の強化」「業績向上に直結する人材配置」など、企業の課題や目標に応じて制度の方針を定めることが大切です。
目的が定まったら、その方針に沿った評価制度の全体設計を行います。経営層と人事部門が連携し、制度が現場の実態に即したものになるよう調整を重ねましょう。
評価項目・基準の設定
制度設計の次は、実際に評価する項目とその基準を策定します。評価項目には業績やスキル、行動などが含まれ、職種や等級に応じて最適な内容を設定する必要があります。
評価基準は、曖昧さを排除し、誰が見ても同じ判断ができるようにすることが重要です。納得感のある評価を実現するためには、数値目標や具体的な行動指標を盛り込むなど、客観性と明確性を意識して設計しましょう。
評価者トレーニングと運用設計
制度が完成したら、評価者となる上司やマネージャーへのトレーニングを実施します。評価者の理解度やスキルによって、制度の運用成果が大きく左右されるため、面談の進め方やフィードバック手法など実践的な研修が求められます。
あわせて、制度運用に必要なスケジュールや社内フロー、システムの整備も行いましょう。導入後も、定期的に制度の運用状況を見直し、従業員の意見や現場の課題を反映して改善を重ねていくことが成功の鍵となります。
人事評価制度の成功事例
人事評価制度の導入で成功しているケースと成功のポイントを紹介します。
目標管理の「見える化」と「プロセス評価」
OKR(Objectives and Key Results)を評価制度に導入することで、個人やチーム、会社全体の目標が明確になり、社員一人ひとりが「自分が何のために、何をすべきか」を理解できるようになります。
目標への達成度だけではなく、そこに至るまでのプロセスや行動も評価に含めることで、保守的な目標設定ではなく、より挑戦的な目標を掲げられるようになり、企業全体の士気向上にもつながります。
OKRや独自のバリュー設定を通じて、目標と行動を明確化し、社員が会社の目標を自分ごととして捉えられるようにすることが大切です。
多角的な視点を取り入れた「公正な評価」
評価の偏りをなくし、社員が納得できる制度を構築することも人事評価制度を成功させる鍵となります。
たとえば、360度評価を取り入れることで上司だけでなく、同僚や部下など複数の視点からフィードバックを得られ、より公平で客観的な評価が可能になります。
公平性や透明性、従業員の評価への納得感を大切にした評価方法を取り入れることが大切です。
社員の自律的な成長を促す「仕組みづくり」
評価制度を通じて、社員が自律的にキャリアを築き、成長できるような環境を整えることも重要です。
たとえば、自ら希望する部署へ異動できる制度の導入や、先進技術に関する知識を評価項目に取り入れるなどもひとつの方法です。
自分の強みを活かせる場所で活躍できるようになったり、新しいチャレンジや学習に取り組んだりと、従業員が主体的にキャリアを形成できるようになります。
このように、新しい人事評価制度を導入する場合は、評価制度や方法を変更するだけでなく、社員のエンゲージメント向上や、組織の成長などにつながるかも踏まえて、検討するといいでしょう。
人事評価制度に活用される手法
優れた人事評価制度で成果を上げている民間企業や地方自治体を紹介しました。上述の事例を含め、人事評価制度にはさまざまな手法が活用されています。
人事施策に活用される主要な評価手法や現在のトレンドについて簡単に解説します。主な評価手法と内容は次の一覧のとおりです。
| 人事評価の手法 | 内容 |
|---|---|
| MBO | チームや社員それぞれが達成すべき目標を設定し、達成度を定量的に評価する手法 |
| OKR | 企業全体の目標から逆算し、個人レベルで目標設定を行う手法 |
| 360度評価 | 複数の立場の人から多角的な評価を得る手法 |
| コンピテンシー評価 | 組織行動の評価軸として、「仕事のできる社員の行動特性」を組み込む手法 |
| バリュー評価 | 社員が自社のバリュー(行動規範・価値観)に沿った行動をできているかチェックする手法 |
| ピアボーナス® | 社員同士でポイントや社内コインなどの報酬を贈り合う制度 |
| ノーレイティング | ランク制を廃止し、コミュニケーションを頻繁に行って社員の能力・スキルを評価する手法 |
| リアルタイムフィードバック | 従来よりも回数を増やし上司が1on1で社員を評価する手法 |
| 評価のオープン化 | 評価の詳しい内容まで本人に公開する手法 |
BOXIL CHANNELでは、動画でも人事評価の方法について簡単に解説しています。合わせて確認すると理解が深まるでしょう。
MBO(目標管理制度)
MBO(目標管理制度)とは、チームで達成すべき目標や社員一人ひとりが達成すべき目標を設定し、達成度を(定量的に)評価する手法です。
社員がみずから目標を設定し、主体的に進捗や実行を管理するのが特徴で、社員の自主性を促して自律的に成長するチームをつくりあげるのに役立ちます。
目標設定といえばトップダウンで管理者が部下に達成すべき目標を課したり、ノルマを与えたりするイメージがあります。しかしMBOは上司と部下がコミュニケーションをとりながら、チームと個人の目標をマッチさせるのがポイントです。
また、杓子定規に目標を決めるのではなく、社員個人の能力や役職に見合った目標を設定することも重要です。
| MBO | 詳細 |
|---|---|
| 手法内容 | チームや社員それぞれが達成すべき目標を設定し、達成度を定量的に評価する手法 |
| 導入のメリット | ・社員の自主性を促すことで自立したチームづくりに役立つ ・個人の能力に見合った目標を設定するためフレキシブルな評価ができる |
| 導入のデメリット | ・社員が目標以外のタスクをやりたがらない可能性が高まる ・目標を低く設定してしまう社員も出てくる |
OKR
「目標と主要成果」を意味するOKRは、企業の管理層が決定した目標を、各部署やチーム、社員個人が細分化して達成する手法です。
企業が達成すべき目標(Objectives)を、各部署や個人が主要な成果(Key Results)に落とし込むのがポイントです。
MBOの目標の共有範囲は上司と部下ですが、OKRは全社的に目標を共有し、さらにSMARTの法則によって定量的な目標を設定します。
SMARTの法則とは、設定する目標を次の5つの指標で判断し、組織が達成すべき最適な目標にするための考え方です。
- Specific(具体性)
- Measurable(計量性)
- Achievable(達成可能性)
- Relevant(関連性)
- Time-bound(期限)
古い概念ではあるものの、目標やゴールを設定する際に有効といわれています。また、四半期~1か月に1回程度、達成度の振り返りをしっかりと行うのもポイントです。
| OKR | 詳細 |
|---|---|
| 手法内容 | 企業全体の目標から逆算し、個人レベルで目標設定を行う手法 |
| 導入のメリット | ・社員それぞれの行動が明確になる ・目標を共有できるため、企業のビジョンが社員に浸透しやすい |
| 導入のデメリット | ・個人の目標や達成度合いまで細かく共有するため、かえって社員のモチベーションが下がる可能性がある |
360度評価
360度評価は、上司だけでなく同僚や部下、場合によってはクライアントといった複数の立場の人から多角的な評価を得る手法です。すでに多くの企業で導入されている、スタンダードな人事評価手法です。
別々の立場の人から複数の評価を得るため、客観的で公平な評価が期待でき、評価される社員自身も納得感を得やすくなります。
また近年、個人の強みは周囲から客観的に評価されると発見しやすくなるといわれているため、自分では気づきにくい特性や強みを理解できるようになるのもメリットです。
ただし、評価する側との人間関係が悪化する可能性も指摘されているため、匿名評価の導入や、独自に話し合いの場を設けて双方が納得できる体制を整える企業が多いようです。人によって評価のバラツキが大きくならないような体制づくりが重要でしょう。
| 360度評価 | 詳細 |
|---|---|
| 手法内容 | 複数の立場の人から多角的な評価を得る手法 |
| 導入のメリット | ・公平な評価をしやすい ・社員自身が気づけなかった特性や強みを理解できる |
| 導入のデメリット | ・評価体制を整えるまでに時間がかかる ・社員が周りの評価を気にしすぎて仕事に集中しづらくなる |
コンピテンシー評価
業績を継続的に上げられる社員の行動特性をコンピテンシーといいます。これを組織行動の評価軸として設定することで、社員全体のパフォーマンスを向上させるのがコンピテンシー評価制度です。
継続的に高い業績を出すための行動やスキル、知識などの行動特性を分析して明確な評価基準として設定するため、組織の規模が拡大しても評価のブレや偏りが起こりにくいのがメリットです。
ただし、企業の成長段階や市場環境の変化によって、確実に業績を上げるための行動特性に変化が生じる可能性があるため、定期的にコンピテンシーを見直す必要があります。
全社的に見直すことはもちろん、各部門で優秀な行動特性とは何か、適宜チェックしましょう。
| コンピテンシー評価 | 詳細 |
|---|---|
| 手法内容 | 組織行動の評価軸として、「仕事のできる社員の行動特性」を組み込む手法 |
| 導入のメリット | ・組織の規模が大きくなっても評価が偏りにくい ・評価軸が明確であるため戦略的な人材育成が可能 |
| 導入のデメリット | ・評価の基準となるサンプルを集めにくい ・経営環境が変わるごとにコンピテンシーの項目を変える必要がある |
バリュー評価
社員の評価項目に企業が掲げる行動規範・価値観(バリュー)を含める手法で、社員が自社のバリューに沿った行動ができているかチェックします。一人ひとりが自社の価値観を理解して、「すべき仕事」とは何かを考えて行動できるようになるのがメリットです。
ただし、企業の掲げる理念や価値観は曖昧なものが多いので、具体的にどういう行動がバリューに沿っているのかを明確にするのが重要です。
なんとなく自社の価値観に合っている程度の評価では、個人によって評価のバラツキが出てしまいます。具体的な行動指針を全社員で共有したり、互いにバリューに沿った行動を評価し合ったりできる環境を整えましょう。
| バリュー評価 | 詳細 |
|---|---|
| 手法内容 | 社員が自社のバリュー(行動規範・価値観)に沿った行動をできているか、チェックする手法 |
| 導入のメリット | 会社と社員で価値観をすり合わせるため、それぞれの方向性を合わせられる |
| 導入のデメリット | 会社の価値観が浸透しない限り、バリュー評価の運用ができない |
ピアボーナス®
ピアボーナス®とは社員から社員に特別手当を送る仕組みのことです。社員同士で互いに感謝の気持ちをポイントや手当の形で贈り合うことで職場環境がよくなり、社員エンゲージメントの向上が見込めます。Google社をはじめ世界中で導入が進んでいる制度です。
トップダウンの評価制度では、どうしても現場の社員が納得できない評価が下されるおそれがあります。しかし、ピアボーナス®を評価基準に加えることで、多くの人から感謝されている社員が誰かを「見える化」でき、社員が納得しやすい評価ができるメリットがあります。
また、社員の離職率の低減にも効果が期待できるため、職場環境を改革して社員の定着率を高めたい企業にもおすすめな手法です。
| ピアボーナス® | 詳細 |
|---|---|
| 手法内容 | 社員同士でポイントや社内コインなどの報酬を贈り合う手法 |
| 導入のメリット | ・社員同士が褒め合う文化を構築できる ・社員のいいところが可視化され、個人のモチベーション向上につながる |
| 導入のデメリット | ツール導入にコストがかかる |
ピアボーナス®サービスでは「Unipos」が有名です。
※「ピアボーナス®」はUnipos株式会社の商標です。商標権者から使用許諾を得ています。
ノーレイティング
ノーレイティングとは、ランクによる社内評価を廃止し、コミュニケーションを重視して社員を評価する手法のことです。
MBOのデメリットをカバーする制度として、アメリカでいち早く着目された手法であり、現在日本企業でもトレンドのひとつです。
評価やランクよりも、頻繁なフィードバックや1on1ミーティングといったコミュニケーションを重視し、短期間で社員の能力を観察し評価します。
ただし、どの企業にも合う方法ではなく、上司のマネジメント力が必要であり、導入にも時間がかかるでしょう。画期的な方法ではあるものの、導入は慎重に検討するのがおすすめです。
| ノーレイティング | 詳細 |
|---|---|
| 手法内容 | ランク制を廃止し、コミュニケーションを頻繁に行って社員の能力・スキルを評価する手法 |
| 導入のメリット | ・コミュニケーションが活性化する ・細かくフィードバックがもらえる ・話し合いで評価が決定されるため、不当な評価になりにくい |
| 導入のデメリット | ・その他の手法に比べ評価者の負担が大きい ・評価者に高いマネジメントスキルが求められる ・導入や制度を整えるのに時間がかかる |
リアルタイムフィードバック
従来の人事評価の回数よりも、より頻繁かつタイムリーに評価を行う手法のことです。社員の課題抽出から改善までのスピードが早まるため、人材育成もスピーディーに進められます。
また、社員としてもモチベーションを維持しやすくなります。ただし、評価の回数が増えると評価者の負担が大きくなるため注意が必要です。
| リアルタイムフィードバック | 詳細 |
|---|---|
| 手法内容 | 従来よりも回数を増やし上司が1on1で社員を評価する手法 |
| 導入のメリット | ・上司と部下の信頼関係を構築しやすい ・社員が常にサポートを受けられるためモチベーションを保ちやすい |
| 導入のデメリット | ・評価の回数が増えると評価者の負担が大きくなる |
評価のオープン化
評価のオープン化とは、社員の評価について具体的な内容まで本人に公開する手法です。評価の内容をオープンにすることで、社員自身が自分のどこを評価されているか、どこが足りないかを自覚できます。
また、具体的な内容まで開示することで、評価の内容にも納得しやすくなるでしょう。
加えて上記で紹介したように、役員の評価を社内全体にオープンする方法もあり、どれも組織の透明性が高められます。
| 評価のオープン化 | 詳細 |
|---|---|
| 手法内容 | 評価の詳しい内容まで本人に公開する手法 |
| 導入のメリット | ・社員が自分の立ち位置や足りない部分を自覚しやすい ・詳細を見せることで評価に納得してもらいやすい |
人事評価制度の課題と導入時の注意点
人事評価制度は、導入によって組織全体の生産性や社員のモチベーション向上につながる一方で、制度構築や運用に際しては多くの課題や注意点が存在します。
制度が形骸化してしまったり、社員の不信感を招いたりしないためには、評価者の教育や評価手法の設計において細やかな配慮が求められます。
制度構築には手間と時間がかかる
人事評価制度の構築には、多大な労力と時間が必要です。制度設計から導入準備、実際の運用、フィードバックを踏まえた見直しまで、経営層と人事部門が継続的に関与する必要があります。また、従業員側にも目標設定や評価面談といった時間的コストがかかります。
このような負担を軽減する手段として、人材評価システムの導入が効果的です。制度設計の効率化や、評価業務の標準化、フィードバック管理の円滑化に寄与します。
ただし、導入コストや運用の手間もあるため、自社の課題や体制に適したシステムを慎重に検討することが重要です。
評価者には高度なスキルが求められる
人事評価制度の公平性と信頼性を担保するためには、評価者自身のスキルが非常に重要です。評価の基準や方法を正しく理解し、部下に納得感を持ってもらえるフィードバックができるかどうかで、制度の効果が大きく左右されます。
評価者の育成にあたっては、評価基準のすり合わせだけでなく、対話力や指導力の強化も求められます。制度の目的や意義をしっかりと理解し、組織全体で一貫性のある運用ができるようにトレーニングを行うことが不可欠です。
評価バイアスに対する対策が必要
人事評価においては、評価者の主観による偏り(バイアス)が生じやすい点にも注意が必要です。たとえば「ハロー効果」と呼ばれる現象では、一部の印象的な成果や欠点によって、全体の評価が不適切に左右されるケースがあります。
このようなバイアスを防ぐためには、評価軸を多面的に設定し、複数の視点から総合的に評価することが有効です。また、評価者による甘すぎる評価や、過度に厳格な評価を防ぐためにも、評価ガイドラインや評価シートの活用が推奨されます。
客観性を担保する仕組みの整備
制度が公正に機能するためには、評価する側・される側の双方にとって納得感のある運用体制が不可欠です。評価基準の明文化や評価プロセスの透明化に加えて、フィードバックの記録や社員の声を拾う仕組みも重要です。
人事評価シートや人事評価システムを導入すれば、評価の記録管理にとどまらず、アンケートや面談ログを活用して社員の本音を把握し、制度の改善にも役立てられます。
制度の継続的な見直しを行いながら、より公平で透明性の高い評価を目指すことが、信頼される人事評価制度の実現につながります。
企業に合った評価制度を導入しよう
本記事で紹介した事例を見ればわかるように、企業・自治体によってさまざまな人事評価制度が導入されていることがわかります。
重要なのは、他の企業が成功しているだけの理由で新しい制度を導入するのではなく、まずは自社の環境を振り返り、もっとも適した手法を選択することです。導入するだけではなく、また定期的に成果をチェックして適宜カスタマイズすることも重要です。
人事評価は人事評価システムや人事評価シートを利用することで効果的に行えます。本記事を参考に、ぜひ自社に最適な人事評価制度を構築してください。
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