部下が上司を評価する人事評価制度はある?評価時のポイントや項目

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部下が上司を評価する人事評価制度
一般的な人事評価では各部門の管理者にあたる人物が部下を評価しますが、近年は部下が上司を評価することもある360度評価の導入によって、部下が上司である管理職を評価する方法も広がりをみせています。
360度評価はAmazonやトヨタなど有名企業でも取り入れられています。上司が部下を評価する一方的な人事評価制度ではなく、上司・部下・同僚が広く人材を評価することによって、より客観的で公正な評価が可能な制度です。いまや部下が上司を評価するのは当たり前の時代と言えるでしょう。
360度評価とは何か、さらに詳しく知りたい方はこちらの記事をご覧ください。

部下が上司を評価する際に注意すべきポイント
360度評価を実際に取り入れた場合も含め、部下が上司を評価するときのポイントを紹介します。
評価者への研修を行う
評価を行う社員への研修を実施して、客観的な評価方法を説明することが大事です。
一般的な人事評価の場合、可能な限りデータに基づいた客観的な評価が求められます。部下が上司を評価する際にも同様に、客観的な評価をしなければなりません。人材評価に慣れていない社員が管理職を評価する場合、次のような問題が出てくる可能性があります。
- 主観的な評価に終始してしまう
- 単純な好き嫌いといった情緒的な観点から評価してしまう
- 評価者ごとに違いが出てしまう
そして、360度評価は多くの人数への評価を考えなければならず工数がかかるため、効率も重視する必要があります。そのためにも、あらかじめ研修を実施しておけばスムーズな評価が実現できるでしょう。
評価項目をあらかじめ決めておく
360度評価をスムーズに行うには、あらかじめ評価項目を設定することも重要です。「どの部分をどのように評価すべきか?」を、あらかじめ決めておくことで、部下の主観による評価を排除し、ある程度客観的な評価が可能になります。
- 問いに答える形式
- コメントをもらう形式
- 選択式
など、具体的な評価項目に関しては、人事部門を中心に自社に適した方法を決めておきましょう。
評価による上司と部下の関係性への影響
部下が管理職を評価する場合、上司・部下の関係性への影響も考えなければいけません。
部下は管理職からの評価もあるため、本音で話せなかったり関係の悪化を恐れて正しく評価しなかったりする可能性があります。そのため、人間関係の問題が起こらないように、匿名性にするといった工夫が必要になるでしょう。
人間関係に配慮した360度評価を実現したことで、実際に企業全体の離職率が低下したケースもあるため、問題のある管理職によるパワハラやセクハラ防止にもなるでしょう。
評価内容をそのまま開示しない
部下による評価の中に、誹謗中傷や単なる悪口が含まれている場合や、上司が悪い評価をもらった際の報復人事が起こらないようにするために、評価内容をそのまま開示することは避けた方がよいでしょう。上記のように、上司と部下の間の人間関係が悪くなってしまう可能性があります。
たとえ部下の方が公正な評価をしたと思っていても、上司側は納得がいかず、部下の人事評価が恣意的なものになることもあるでしょう。
したがって、部下による評価は人事部門のみ閲覧できるといったように、内容を確認できる人物を決めておく必要があります。内容をそのまま伝えるのではなく、まとめたコメントを伝えるようにし、当評価内容は人事部の部外秘にしなければいけません。
報酬を決定する評価には直結させない
人事評価は報酬を決定することだと考えている人は少なくありませんが、それは人事評価の一面に過ぎません。さまざまな利害関係を持つ人からの評価を軸に報酬を決定するのはリスクが高く、本人の能力に整合しない可能性があります。
そのため、360度評価を報酬が直接関わる評価に使用すべきではありません。管理職の報酬に直結する評価は基本的にマネジメント部門が行い、360度評価の内容は、人材配置や人材育成の方針やプランの参考として活用すべきでしょう。
報酬の決定に利用すべき評価を効率化する人事評価システムは、こちらの記事で紹介しています。

部下が上司を評価する項目例
部下が上司を評価するのは主に上位層の人材育成が目的です。導入の際はポジションごとの役割や目標を決め、マネジメント能力にフォーカスした項目にすることが理想的です。
質問項目の例としては次のようなものがあります。
課題の把握と解決策の考案
- ビジネス環境の変化を常に観察し、会社として、あるいはチームとして解決すべき課題を考えている
- 業務や職場における問題を見える化し、関係者全員で共有している
- 組織の課題に対する現実的な解決策を考えている
業務遂行・時間配分・業務態度
- 業務の進捗状況を常に把握し、問題が発生したときにも素早く対処を行っている
- 適切な時間配分で作業を行っている
- 他者や他の部門と協力し合って業務を遂行している
マネジメント・育成能力
- 部下の仕事ぶりを観察し、必要に応じて適切にフォローしている
- 部下それぞれに適切なゴールを設定し、理解させている
- 部下の仕事に対して公正な評価とフィードバックしている
コミュニケーション能力・リーダーシップ
- 積極的に周囲の社員と協力して仕事を推進できる
- 適切なタイミングで部下をフォローできる
- 部門の目標を達成するために周囲のメンバーのモチベーションを引き出すことができる
経営方針の理解とそれに沿った行動
- 経営方針を理解し、会社の戦略や経営トップのビジョンに共感している
- 担当部門の方向性を具体的に打ち出している
- 自身や部下が会社の理念に沿った行動を取れているか常に確認している
部下が上司を評価するのを手助けする360度評価システム
360度評価をサポートするシステムをいくつか紹介します。
カオナビは企業の生産性向上や人材不足への対応、テレワークなど、さまざまな人事課題に対応できる人材情報管理システムです。人材情報を自社の環境に合わせたかたちでデータベース化でき、それぞれの社員の特性をデータで把握できるのが特徴です。
各々の社員が所属する部署はもちろん、他部署の社員の目標を確認できるため、部下が上司を評価する360度評価を行う際にも、登録されたデータを確認しながら評価できます。すでに2,500社以上※の企業に導入されています。
※出典:カオナビ「カオナビ」2022年3月時点での数値(2023年4月20日閲覧)
スマレビは360度評価をはじめとする、さまざまな場面で利用できる社内アンケートツールです。システム上で回答者を選定でき、自動リマインド機能もあるので、管理職が部下を評価する場合はもちろん、部下の方が上司を評価する360度評価を実施する際にも活用できます。
収集したアンケートは自動レポート作成機能で簡単にまとめられるので、人事部門の業務の効率化につながるでしょう。評価制度に合わせた柔軟な質問設計が可能です。
タレントパレット - 株式会社プラスアルファ・コンサルティング
- 人材管理に必要な機能を網羅
- 人員配置を助けるキャリア見える化機能
- ビッグデータ活用で組織活性化
タレントパレットは人事ビッグデータを見える化し、組織としてのパフォーマンスを向上させるタレントマネジメントシステムです。
社員のワークログやスキル、マインドなどさまざまな人材情報を集約し可視化できます。また、集約した人材情報を分析することで組織・働き方や採用、従業員満足度を把握します。
360(さんろくまる) - 株式会社Fusic
360(さんろくまる)は、社員が自らの立ち位置を確認し、次の行動につなげていくためのシステムです。どのデバイスからでも簡単に評価の入力が可能で、評価のグラフをワンクリックでExcelデータとして出力でき、フィードバック資料としても活用できます。
360度評価を行う場合にのみ利用料金が発生し、通常の管理画面は評価以外でも自由に使えるので、コストパフォーマンスの高い360度評価を実現できるでしょう。
クアルトリクス 従業員エクスペリエンス(EX)|Qualtrics - クアルトリクス合同会社
クアルトリクスは世界16,000以上※の組織やブランドで採用されている360度フィードバックを実施するためのプラットフォームです。複数の評価者による評価を自動化でき、管理者は360度評価のデータの傾向と分析に基づいて、改善を促す対話が可能になります。
機密保持機能によって、評価者の匿名性を担保しつつ、レポートを各社員に送付可能。次のアクションにつながる能力開発評価を実現できます。
※出典:クアルトリクス「クアルトリクス 導入実績」(2023年4月20日閲覧)
MOA
MOAはリクルートマネジメントソリューションズが提供している360度評価システムです。社員の職務行動を上司のみならず、同僚や部下を含めた複数名が多面的に評価するための機能を実装しており、部下が上司を評価する際にも活用できます。
カスタマイズなしでも十分な活用が可能で、中堅社員層(S)・管理職層(M)・経営職層(E)の3種類を評価の対象にできることから、すでに63社以上※に導入されています。
※出典:リクルートマネジメントソリューションズ「360度評価システム | MOA」(2023年4月20日閲覧)
その他の360度評価システムについてはこちらの記事で紹介しています。

360度評価で多面的な評価を
管理職が部下を評価するだけではなく、部下の方が上司を評価する360度評価を実現すれば、現場の風通しがよくなり、社員の離職率の低下も期待できます。管理側も自らが評価されるため、緊張感をもって仕事をするようになるでしょう。
ただし、人間関係に問題が生じる可能性もあるため、評価は匿名で行い、人事部門が評価情報を管理するといった工夫が必要になります。360度評価に適したシステムを導入することも視野に、公正かつスムーズな人事評価制度を構築しましょう。
なお、人事評価制度の作成やフィードバックの方法に悩んでいる方には、こちらの記事もおすすめです。

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