ダイレクトマーケティングとは?成功事例やメリット、ツール

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ダイレクトマーケティングとは
ダイレクトマーケティングとは、企業と顧客による双方向の直接的な販売手法で、通販業界をはじめいくつかの企業では古くから活用されています。Webサイトやメール配信によって企業と個々の顧客が直接つながり、場所にとらわれない双方向コミュニケーションを実現する方法です。
アメリカのDMA(Data & Marketing Association)は、ダイレクトマーケティングの定義を「ひとつまたは複数の広告メディアを使い、測定可能な反応あるいは取引をどんな場所でも達成できる双方向のマーケティングである」としています。
ダイレクトマーケティングの対義語
ダイレクトマーケティングの対義語にはマスマーケティングが該当します。ダイレクトマーケティングは、消費者一人ひとりに焦点を当てたマーケティング手法であるのに対し、マスマーケティングはテレビCMや新聞広告のように消費者へ一方的にアプローチする手法をさします。
ダイレクトマーケティングの対義語としてステルスマーケティング、いわゆるステマを挙げる方もいます。しかしステルスマーケティングは、顧客から悟られないようマーケティングする意味あいが強く、個人へマーケティングする意味のダイレクトマーケティングと対義語でないと判断すべきでしょう。
ダイレクトマーケティングのメリット
商品に興味がない人もターゲットへも実施するマスマーケティングと比べて、ダイレクトマーケティングには次のような強みがあります。
- 顧客情報のデータ化
- 効果測定が容易
- PDCAサイクルを回しやすい
- 商品成約率が比較的高め
- リピーターを生みやすい
テレビの視聴率や新聞の購読率、ラジオの聴取率が軒並み低下しマスマーケティングの採算が合わなくなるなか、ダイレクトマーケティングはインターネットやSNSが発展するとともに伸びつつある手法のひとつです。

顧客情報のデータ化
顧客と企業が直接つながることが大前提のダイレクトマーケティングでは顧客情報をデータ化し、蓄積できる点がメリットのひとつだといえます。なぜなら顧客の性別や年齢のデモグラフィック、居住地や訪問店舗のジオグラフィックなどを把握できていれば、数値測定の結果から再販を促す効果的な手法を得られるからです。
効果測定が容易
ダイレクトマーケティングは広告の媒体や対象者、内容に応じてどのようなレスポンスが得られたか、すべてを数値として測定できるという特徴を持ちます。ダイレクトマーケティングなら、蓄積されたデータをもとに広告やプロモーションを展開可能です。
PDCAサイクルを回しやすい
データ化された顧客情報をもとに適切な広告施策を行うダイレクトマーケティングでは、広告も数値化できます。つまり、プロモーションにかけた広告費に対する成果を数値化できるため、ダイレクトマーケティングは費用対効果を可視化できるという特徴を持っています。
費用対効果が高い
ダイレクトマーケティングでは自社製品やサービスに興味を持っている顧客へダイレクトにアプローチします。マスマーケティングと比べるとターゲット層を絞り込みやすく、顧客に合わせた媒体を活用し効率的なマーケティングが可能です。それゆえ、ダイレクトマーケティングは商品成約率が比較的高く、広告の費用対効果も良い傾向にあります。
リピーターを生みやすい
リピーターからの売上創出にはダイレクトマーケティングが向いています。既存顧客層を分析し、セグメントを細かく分ければ、顧客のニーズへ答えやすくリピート率をアップさせられるでしょう。長期に渡って顧客との関係を維持するサブスクリプションをはじめとしたビジネスモデルは、ダイレクトマーケティングの手法が向いています。
ダイレクトマーケティングのデメリット
ダイレクトマーケティングの主なデメリットは、先行投資や専門知識が必要ことです。ダイレクトマーケティングを利用しはじめた当初は、赤字になる確率が高いです。また、ダイレクトマーケティングの知識を持つ人材、または勉強する人材がいなければマスマーケティング同様、成功は難しいでしょう。
先行投資が必要
ダイレクトマーケティングには広告費およびシステムへの先行投資が不可欠です。たとえば、メールマガジンを配信するためのシステム、顧客のスコアリングを行うためのマーケティングオートメーションなど、社内にて準備が必要となります。
専門知識が必要
ダイレクトマーケティングは、ほかのマーケティング手法と同じように一定の知識を有していることが望ましいです。適切なデータの量と質をどのように担保するか、広告の費用対効果をいかに計算するか、改善策はどのように立案するかなどを考えるうえで、ノウハウがあるとスムーズに進められます。
しかし、知識がなくとも試行錯誤によって一定の効果は得られるなので、多少スキルが足りなくても挑戦する価値はあるでしょう。
ダイレクトマーケティングの活用手法
顧客個人と企業が双方向のコミュニケーションを行い、通販業界とともに発展したダイレクトマーケティングは対企業となるBtoBマーケティングに向かないというのが従来の見方でした。
しかし、手法が多様化し、進化を遂げる現代のダイレクトマーケティングは、多くのBtoB企業からも注目されています。手法のいくつかを解説します。
ダイレクトメール
ダイレクトマーケティングの代表的な手法の一つがダイレクトメールです。
ダイレクトメールとは、たとえば企業から送付される宣伝目的のハガキや封書といった郵便物を指します。ダイレクトメールは不特定多数の顧客に闇雲に送付するのではなく、顧客の属性ごとに内容や送るタイミングをカスタマイズして送付します。そのため、見込み客や常連顧客など特定の顧客に合わせた宣伝が可能になり、双方向のやり取りを実現できることが特徴です。
BtoBマーケティングにおいては、企業の住所や決裁者名を入手できれば、直接決裁権のある責任者へ宛てて発送できるメリットがあります。視覚的に訴えやすい送付物を活用することでよりターゲットへと情報を届けやすくなるでしょう。到着後に電話営業を行う場合も、あらかじめ担当者の手元に紙媒体が届いていればスムーズに話が進むはずです。
ダイレクトメールは古い手法と思われがちですが、顧客を絞り込み直接アプローチして情報を届けられる点からも、効果的な手法と言えるでしょう。
なお、ダイレクトメール以外にも、ダイレクトマーケティングの代表的な手法には電話やEメール、SNSを活用したものもあります。
One to Oneマーケティング
企業を個人顧客に見立てLTVを向上させていくOne to Oneマーケティング、およびOne to Oneマーケティングのベースとなるダイレクトマーケティングが注目されています。
これまでのBtoB営業では、築かれた人間関係をもとにした活動が行われ、市場シェアを重視した戦略が取られていました。しかし、市場環境や価値観の変化が顕著となるなか、対企業の営業においてもキーマンを押えておけばいいという従来型のスタイルが通用しなくなっており、One to Oneマーケティングを適用する企業が増えています。

ABM戦略
実際には、BtoB営業にOne to Oneの手法を取り入れる試みは、これまでも行われていた一方で、顧客情報の一元化が進まなかったため、マーケティングと営業の思惑が一致しないなどの課題がありました。これを解決し、LTVを最大化するのがABM(Account Based Marketing)という概念です。
ABM戦略とは、優良なアカウント=企業を絞り込み、その企業個別の状況に応じて最適なマーケティング施策を行っていく戦略です。企業収益の8割を占めているのは、上位2割に過ぎない優良顧客である点に着目し、効率的な営業活動のため、優良企業にリソースを集中させるのです。

MA・CRMによるデータ活用
従来、BtoB企業にとって困難であったOne to Oneマーケティング、ABM戦略が現実的なものとなった背景には、MAツールやCRMによる効果的なデータ活用が可能となった、ということが挙げられます。
複数の部署や担当者が存在する企業の名寄せを行って情報を一本化し、行動履歴やアクションを一元管理できるようになったことで、アカウントごとの適切な施策実行が可能となったのです。
ダイレクトマーケティングの事例
時代の要求に応じて進化を続けるダイレクトマーケティングは、現代では欠かすことのできないマーケティング手法として定着したといえるでしょう。では、実際にどのような業界で、どのような形でダイレクトマーケティングが活用されているのでしょうか。
ベネッセコーポレーション
ダイレクトマーケティングによって事業を成功させている代表的な事例が、ベネッセコーポレーションの「進研ゼミ」や「こどもちゃれんじ」です。
ベネッセホールディングスでは年間約200億円(※1)をかけてダイレクトメールを幼稚園児や小学生に配布しています。サブスクリプションモデルの進研ゼミやこどもちゃれんじは、月々数千円~数万円程度の単価ながら現在では249万人(※2)の顧客によって、ベネッセの収益を担っています。
ITの浸透・個人情報保護の強化によって、紙の通信教育やダイレクトメールによる販促活動は方向転換を迫られつつあります。ベネッセコーポレーションはこれに対応すべく、従来の紙教材だけでなくタブレットやスマートフォンを組み合わせたハイブリット型教材にサービスをリニューアルしています。
※1 出典:ベネッセホールディングス「DATA BOOK 2021 - databook2021.pdf」(2022年6月24日閲覧)
※2出典:ベネッセホールディングス「はじめてのベネッセグループ | 個人投資家の皆様へ | 株式会社ベネッセホールディングス」(2022年6月24日閲覧)
ネスレ
コーヒーや菓子の製造・販売にて有名なメーカー「ネスレ」もダイレクトマーケティングを活用している一企業です。
コーヒーの販売経路として一般的なのは、コンビニやスーパーといった小売事業者より消費者にアプローチする手法です。ネスレは上記の方法のほかに、2012年から「ネスカフェアンバサダー」制度をスタートし消費者へ直接アプローチする手段も生み出しました。本格的なコーヒーの提供できるマシンを無料にて貸し出した結果、コーヒーを作るための材料を販売でき収益を上げています。
ユーザーに直接販売するので卸売や小売を活用するより収益性が高いのはもちろん、ユーザーの商品に対する反応を直接分析できるのも強みです。2019年3月時点で約45万人※の会員を集めている人気の制度になります。
※1 出典:ネスレ日本「PowerPoint プレゼンテーション - 2019-press-conference.pdf」(2022年6月24日閲覧)
アスクル
事務用品の通販最大手のアスクルが一般消費者向けに日用品・食品などを販売するために運営している「LOHACO」というショッピングサービスがあります。LOHACOで特徴的なのがHappy On Timeと呼ばれるサービスで、東京都20区・大阪府の一部エリアを対象に6時から10時、21時から24時までの間は1時間刻みで配達時間を選べるほか、スマートフォンにて到着時間を通知してくれる配達サービスです。
一般的に通販事業者は配送業者を通じて商品を届けますが、いつ配達されるかわからない、指定時間に幅がありすぎて時間を拘束されるという問題点がありました。LOHACOは物流を自前で構築することにより、このような問題を解消、顧客との接点強化を図っています。
顧客へのダイレクトマーケティングによって得られた課題を、解決したサービスといえるのではないでしょうか。
ダイレクトマーケティングを加速させるMAツール2選
ダイレクトマーケティング、特にBtoB領域における成功のカギは、効果的な顧客データの活用です。それを実現させるために有効な、最新のMAツールを厳選して紹介しておきましょう。
本記事で紹介しているMAツールのさらなる詳細や、紹介しきれなかったサービスのさらなる詳細はこちらからご覧ください。
Marketing Cloud Account Engagement (旧 Pardot) - 株式会社セールスフォース・ジャパン
- リードスコアリング/ナーチャリングを高度に実現
- Sales Cloudとの連携で営業活動を可視化
- 投資対効果の測定が可能
Account Engagement(旧 Pardot)は、Salesforceが提供するBtoBビジネス向けクラウドMAツールです。ランディングページ作成機能、メルマガ作成・配信機能、Web上の行動データの追跡機能などを通じてマーケティング活動の投資対効果の最大化を実現し、CRM/SFAソリューションであるSales Cloudと連携し、スピーディな営業活動も支援します。また、マーケティング活動の一つひとつをキャンペーンとして管理することで、ランディングページやメルマガの効果を測定、簡易かつ高度なレポーティング機能によって可視化し、マーケティング活動の投資対効果の最大化を実現します。
- すべてを統合して使えるデータセットを取得
- クロスチャネルでのデータ活用
- シンプルで簡単な操作
b→dashは、Webサイトやアプリ、広告、店舗、自社ビジネスデータなどをすべて統合し、マーケティング特化型DWHへ取得することで、マーケティングに活用できるデータセットを作成します。収集されたビッグデータは、AIを活用することでクロスチャネル対応One to Oneコミュニケーションへの最適化が行われ、施策やオペレーションの自動化、収益予測までが可能となります。
ダイレクトマーケティングを加速させるABMツール
本文でも解説したように、BtoBにおけるダイレクトマーケティングで注目されているのがABM戦略です。これを容易にするためのABMツールも紹介します。
- 成約確度の高いターゲットリストを作成
- 膨大な顧客データを簡単に統合
- 顧客の傾向を瞬時に判断
FORCASは、データ分析にもとづいてアプローチすべきアカウント = 企業を予測し、マーケティングと営業のリソースをターゲットアカウントに集中させる、BtoBマーケティングを実現するクラウドABMツールです。
名寄せによるリードクレンジングで顧客データを簡単に統合するのはもちろん、独自の業界区分や企業シナリオにより、アカウントの分析を自動的に実行、可視化することで顧客の傾向を瞬時に判断できます。
ABMを戦略的に実行するだけでなく、MAツールやSFAとの連携も可能です。
データ活用とターゲティングアプローチを実現したいなら
ABM戦略を含めたダイレクトマーケティングのBtoB活用は、まだまだノウハウや方法論が確立されていないともいえます。
そうした場合は、インサイドセールスのノウハウを持つ、アウトソーサーを有効活用するのが成功への早道だといえるでしょう。
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