人事制度とは?構成要素や課題・設計するポイント・事例から学ぶ対策

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人事制度とは
人事制度とは、企業が人材をマネジメントするための仕組みのことを指します。主に等級・評価・報酬から成り立っており、広い意味では働き方の仕組み、人材教育、福利厚生も含まれます。
人材に対する評価が社内でのポジションや報酬に直結するため、個人にとっても企業にとっても人事制度は重要なものです。
人事制度の目的
人事制度の目的は、人材が企業で能力を発揮しやすい環境を作り、適材適所で一人ひとりが働けるようにすることです。
経営資源であげられる「ヒト」「モノ」「カネ」「情報」の中でも、企業の目標を達成し、事業を拡大していくのは「ヒト」である人材であり、人事制度は業績向上へのカギとなる戦略になります。
そのため、企業理念や事業目的を達成するためには、公正な人事制度が必要不可欠であり、適切に人材を運用することがポイントです。
人事制度の構成要素
人事制度は次の要素から構成されています。
- 等級制度
- 評価判定制度
- 報酬制度
それぞれの要素について解説します。
等級制度
等級制度は、従業員の能力レベルや役割から設定された等級に基づいて、給与や社内での位置付けを決める制度です。
各等級に求められる役割や行動を明確にすることで、キャリアステップ指標になります。また、等級制度で定めた能力や役割を現状と比較することで、評価制度や報酬制度の設定が決めやすくなります。
しかし、近年ではランク付けをしない「ノーレイティング」という人事制度が注目されています。
>>ノーレイティングとは | 人事制度の新手法・導入方法はこちら
評価判定制度
評価判定制度は従業員の評価を判定する制度であり、人事評価制度ともいいます。これは日ごろの行動やそれに伴う成果から従業員を評価する制度で、この結果がポジションや給与などに反映されます。
人事評価制度の評価手法には、次のような数種類の評価方法があり、企業によって運用している評価手法は異なります。
人事評価制度やそれぞれの評価手法について詳しく知りたい方は次の記事をご覧ください。

報酬制度
3つ目は、役職やポジションによる給与や賞与などの報酬制度です。一般的には、役職によって給与の上限と下限が定められており、評価判定制度で定めた幅の中で賞与や昇給などを決定します。
従来型雇用の「メンバーシップ型雇用」では勤続年数をベースに昇給しますが、近年では業務内容やスキルで報酬が決定する「ジョブ型雇用」を採用する企業が増えています。

人事制度の課題
人事制度を新しく設計する際には、組織の現状の課題と今後のビジョンについて確認する必要があります。そのためにはまず、人事制度の抱える問題点を把握することが重要です。
人事制度の抱える課題には次のようなものがあります。
- 多様化した働き方への対応
- 評価の個別化
- 成果主義型の限界
それぞれの問題点について説明します。
多様化した働き方への対応
近年では次のような働き方の多様化が進んでいます。
働き方改革の影響もあり、今後の働き方は就業時間や場所に柔軟なスタイルになっていくと考えられます。
従来の人事制度では上記のような働き方の多様化に対応していない箇所も出てくるでしょう。働き方の多様化に伴い、人事制度の見直し、改定する必要があります。
評価の個別化
職務をベースに雇用する「ジョブ型雇用」を採用して従業員が個別にしかできない業務スキルを磨き、専門性や生産性の高い人材を育成する企業が増えています。
しかし、業務の個別化が進むことにより、「評価者や評価の基準をどうすればいいのか」という問題が発生するため、、業務の個別化と同時に評価の個別化も必要になります。
従業員が納得できる人事評価制度を行う
中には現状の人事制度に不満を持っている従業員もいると思います。そこで、社員のモチベーションをコントロールできるような人事評価制度を考える必要があります。
人材不足が深刻化する前に、従業員が納得できる人事評価制度を整え社員のモチベーション向上に目を向けましょう。
従業員の不満を解消する対処法は次の記事をご覧ください。

人事制度を設計・構築するポイント
人事制度を作成する際には、単純に役職や賃金を上げるだけでは意味がありません。きちんと現状の課題を発見し、今どんな人材が必要で、どこの制度に問題があるのかを明確にして運用する必要があります。
人事制度を設計し、構築するうえで大切なのは「公正であること」と「従業員が納得すること」がポイントです。2つのポイントを実現するために必要なことを紹介します。
コスト効果
1つ目は、コストです。当たり前ですが、従業員全員のためにコストをかけられないので、費用対効果の高いところがどこかを見極めて、メリハリのあるコストのかけ方をするべきです。
制度と現場運用のマネジメント
2つ目は、制度と現場運用のマネジメントです。経営層だけでは、実用的な制度を作れないため、現場判断をもとに制度を構築していくことで、経営と現場でのバランスを取れるでしょう。
時間と範囲の明確化
3つ目は、時間と範囲の明瞭化です。人材育成に関して、どれくらいの時間をかけて、誰が誰を教育するのかを明確にしましょう。また、限られた時間の中でどの状態を目標とするのかが明確になっていなければ、具体的な施策を作れません。
適切な人事制度構築に役立つ人事考課については以下の記事でも詳しく解説しています。

人事制度の構築・運用事例
人事制度を見直し、新たに構築・運用した企業の成功事例を紹介します。
ヤフー株式会社
ヤフーでは経営層の入れ替えを行い、組織が一新したヤフーでの新しい社会人研修を行い、これまでとは違う人事制度の構築を試みました。
その結果、4つのヤフーバリューの構築をし、強い意志を持って目標にコミットできる人材を育成することに成功しました。
株式会社リクルートマーケティングパートナーズ
リクルートマーケティングパートナーズでは、人口減少に伴い市場が拡少している業界の営業の新しいスタイルを構築しました。
中核のメンバーが先に研修を受けることによって、トップダウンでの意識改革を行い、レッドオーシャンの中でも結果を出すことに成功しました。
上記では人事制度についての事例を紹介しました。人事評価制度の成功事例について知りたい方は次の記事をご覧ください。

人事制度の構築に役立つシステム
人事制度を構築するためには、人事評価システムやタレントマネジメントシステムの導入がおすすめです。
人事制度の構築に役立つシステムを紹介します。
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経営戦略に役立つ人事制度の設計と構築を
どの会社でも人事制度に対する問題を抱えており、現在では働き方の多様化やジョブ型雇用による個別の業務スキルに対する評価など、企業によって課題はさまざまです。
事業の成長には、根本的な人事制度の設計や構築の仕方を見直す必要がある企業も多いでしょう。
新たに人事制度を運用していく際は、人事評価システムやタレントマネジメントシステムなどのクラウドサービスの利用がおすすめです。
人事制度に役立つシステムを導入して、効果的な人事評価や人事育成を行ってください。
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