不動産の契約業務にあたって「郵送の往復だけで数日かかる」「押印のためだけの来店で日程が合わない」と感じていませんか。繁忙期に件数が積み上がるほど、郵送と押印の待ち時間が契約日を押していきます。
2022年5月の法改正で、重要事項説明書や契約書面は電磁的方法で提供できるようになりました。ただし重要事項説明書や賃貸借契約書の様式が入っている特化型と、対象書類の広い汎用型では、選ぶときに見る項目も費用の形も違います。
この記事では不動産業界での利用に適した電子契約システムとその選び方を解説します。結論として、不動産特有の書類様式が必要なら「いえらぶサイン」、他部署でも使える汎用性・実印相当の効力を求めるなら「電子印鑑GMOサイン」がおすすめです。
【30秒でわかるこの記事のポイント】
・重要事項説明書や契約書面は、相手方の承諾と、改変の有無を確認できる措置などの要件を満たせば電子化できる
・特化型(いえらぶサインなど)は不動産の書類の様式を、汎用型(電子印鑑GMOサインなど)は署名方式と連携先を確認して選ぶ
・電子データだけでやり取りして紙の正本を交付しなければ、売買契約書の印紙は不要
次の記事では、どの業界でもおすすめの電子契約システムについて、機能やプランなどを比較しています。口コミや評判も取り上げているので、あわせて参考にしてください。
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各社の強みと評判を凝縮し、企業規模や課題との相性をプロの視点で要約しました。
- 各サービスのおすすめポイント(機能・導入実績・サポート品質)と自社との相性
- BOXILに寄せられたリアルな口コミ(良かった点・気になった点)
- 月額・初期費用の目安を一覧で比較
※掲載料金は税区分の記載を含め、各社公式サイトの表記に基づいています。
不動産業界におすすめの電子契約システムの機能・料金比較表
製品の向き不向きは、不動産の契約書が様式として用意されているか、売買で求められる実印相当の署名ができるか、改変されていないことを示せるかで分かれます。
| タイプ | 初期費用 | 月額(最安プラン) | 不動産の契約書テンプレート | 当事者型(実印相当) | タイムスタンプ | 強み | |
|---|---|---|---|---|---|---|---|
Release
|
不動産業界特化型 | ー | ー | ● | ー | ー | 売主・買主へのマイページ発行による書類の受け渡し |
いえらぶサイン
|
不動産業界特化型 | ー | ー | ● | ー | ● | 賃貸管理システムいえらぶCLOUDとの連携 |
不動産専用 電子契約
|
不動産業界特化型 | ー | ー | ● | ー | ー | 賃貸革命との連携と未導入時の単体利用 |
電子印鑑GMOサイン
|
汎用型 | ー | 8,800円(税抜) | ー | ● | ● | 実印タイプと契約印タイプの使い分け |
クラウドサイン
|
汎用型 | ー | 12,100円(税込) | ー | ● | ● | 紙の書類の取り込みによる一元保管 |
マネーフォワード クラウド契約
|
汎用型 | ー | 2,480円(税抜) | ー | × | ● | 会計・請求と同一シリーズでの契約管理 |
※●=対応/×=非対応/ー=要問い合わせ
不動産取引で電子契約できる書類と法改正の経緯
電子化できる書類は、宅地建物取引業法が交付を義務づけている3種類の書面と、当事者どうしが結ぶ契約書で扱いが分かれます。公正証書での作成が必要な契約は、電子契約に置き換えられません。
不動産業界でも書面の電子化は可能に
多くの業界で電子契約の導入が進められるなか、不動産業界は書面の交付・押印を義務づける法律によって電子化を進められない状況が続いていました。
しかし2021年5月12日にデジタル改革関連法案※1が成立しました。デジタル化に合わせて、関係する複数の法律をまとめて改正するための法律です。
宅地建物取引業法の関係規定の改正が施行されたのは2022年5月18日です※2。宅地建物取引士の押印が廃止され、重要事項説明書・契約締結時書面・媒介契約締結時書面を電磁的方法で提供できるようになりました。
法改正による主な変更点は次のとおりです。
- 宅地建物取引士の押印が不要になり、電子署名でも対応できるようになった
- 重要事項説明書を、書面の交付に代えて電磁的方法で提供できるようになった
なお、宅地建物取引業法が定めているのは、宅建業者が媒介契約書(第34条の2)・重要事項説明書(第35条)・契約書面(第37条)を交付する義務です※3。一方、貸主・借主が結ぶ賃貸借契約書そのものは、宅地建物取引業法が様式を定めた書面ではありません。
社内で「契約書」と呼んでいる書類が条文上のどれに当たるかで、電子化の根拠になる条文も変わります。
法改正で不動産取引がどこまでオンラインで完結できるようになったのかは、次の記事で詳しく解説しています。
※1出典:デジタル庁「平井大臣記者会見(令和3年5月12日)」(2026年8月24日閲覧)
※2出典:国土交通省「不動産取引時の書面が電子書面で提供できるようになります。~宅地建物取引業法施行規則の一部改正等を行いました~」(2026年8月24日閲覧)
※3出典:e-Gov法令検索「宅地建物取引業法」(2026年8月24日閲覧)
電子化できる不動産取引の契約書類
不動産取引で扱う次の書類は、電子データでのやり取りが認められています。宅地建物取引業法が交付を義務づけている書面は相手方の承諾が前提で、当事者どうしが結ぶ契約書は書面によるべきという定めがないか、電磁的記録での締結が認められているためです※1。
- 媒介契約書
- 重要事項説明書
- 賃貸借契約書
- 不動産売買契約書
- 定期借地権設定契約書(事業用を除く)
- 定期建物賃貸借契約書
ただし次の契約は、公正証書での作成が義務づけられているため、電子契約では対応できません。
- 事業用定期借地権の設定契約※2
- 企業担保権の設定または変更を目的とする契約※3
- 任意後見契約書※4
電子契約に対応できない書類との違いは、次の記事で解説しています。
※1出典:e-Gov法令検索「借地借家法」第22条・第38条(2026年8月24日閲覧)
※2出典:e-Gov法令検索「借地借家法」第23条(2026年8月24日閲覧)
※3出典:e-Gov法令検索「企業担保法」第3条(2026年8月24日閲覧)
※4出典:e-Gov法令検索「任意後見契約に関する法律」第3条(2026年8月24日閲覧)
不動産業界における契約業務の課題
不動産の契約業務では、書類を作る手間よりも、送って戻るのを待つ時間のほうが長くかかります。紙で進めるか電子で進めるか、書類をどこに置くか、宅建業法の要件をどう満たすかは、案件ごとに担当者が決めています。
郵送の往復で契約締結までに日数がかかる
郵送で進めるかぎり、締結日は自社では決められません。書類が相手方に届いてから、記入と押印を済ませて投函してもらうまでの時間が、締結までの日数を決めます。
返送が1日遅れれば、入居日や決済日から引いた段取りが崩れます。相手方が遠方にいる取引では、郵送の往復にかかる日数が加算されるでしょう。繁忙期は同じ待ちが案件ごとに並行して起きるため、督促の連絡先も増えます。
押印のための来店・立ち会いと、押印漏れによる差し戻し
押印は、日程を押さえる理由にも、やり直しの理由にもなります。
- 署名と押印のためだけに来店してもらい、双方の予定を合わせる
- 決裁者の押印が必要で、出社日に合わせて契約日をずらす
- 来店した相手方が実印を持ってきておらず、あらためて来てもらう
- 郵送で受け取った書類に押印漏れや訂正印の不足があり、封をし直して送り返す
差し戻しの1回で、契約日そのものを動かさなければならない場合があります。日程を先に押さえてある取引では、貸主・管理会社・保証会社との調整までやり直しになります。
取引相手の合意が前提で、紙に戻ることがある
電子契約に切り替えても、手続きは自社だけで完結しません。相手方が書面を希望すれば、紙で対応することになります。
貸主が書面での取り交わしを望む場合や、電子で締結したあとに相手方から印刷と押印、郵送を求められる場合もあります。法人が相手なら、社内規程で書面を求められることも珍しくないでしょう。
契約書類の保管と、紙と電子が混在したときの探しにくさ
紙の契約書は結ぶたびに増え、保存期間のあいだは手元に残ります。契約類型の一部だけを電子に切り替えると、紙と電子の二重管理になります。
更新契約のように過去の書類と突き合わせる場面では、この確認に時間・手間がかかり、ミスも増えます。
不動産業界向け電子契約システムの機能・メリット
電子契約システムは、契約書の作成から送付、署名、保管までを同じ画面で扱います。契約ステータスの管理やタイムスタンプ、本人確認、期限のアラートを備えた製品もあり、郵送と押印に費やしていた時間を減らせます。
郵送の往復がなくなり最短即日で締結できる
相手方が署名した時点で締結が完了するため、返送を待つ日数がなくなります。印刷・封入・発送・返送待ちという4つの工程が、送信と署名の2つの操作に置き換わります。
書類はデータのまま残るので、受領チェックのために封を開ける手順も要りません。相手方がその日のうちに署名すれば、申込から締結までを1日で終えられる取引もあります。
押印漏れ・記入漏れを仕組みで防げる
記入が必要な欄を必須に設定しておけば、空欄のままでは署名の操作が先に進みません。押印位置を探す作業も、あらかじめ指定した署名欄に置き換わります。
宛先と書類の組み合わせは送信前に画面で確認できるため、送り先違いを防げます。締結の状況は一覧で追えるため、どの案件が相手方の署名待ちかも画面で分かります。差し戻しが減れば、繁忙期の督促も少なくできるはずです。
来店・立ち会いの調整が不要になる
署名は相手方の端末で完結するため、押印のために日程を合わせずに済みます。決裁者が別の拠点にいる場合も、担当者が署名の順番を設定しておけば順に依頼が届きます。
IT重説と組み合わせれば、遠方の相手方や平日に来店しにくい相手方とも、申込から契約まで一度も来店せずに進められます(重要事項の説明そのものは宅地建物取引士が行います)。
保管・検索が一元化でき、印紙代がかからない
締結した書類はシステム内に残るため、物件名や締結日で検索して取り出せます。保管場所ごとに最新かどうかを確かめる手順も要りません。
保管とあわせて、印紙代がかからなくなります。不動産の譲渡に関する契約書は課税文書にあたり、「1,000万円を超え5,000万円以下」の場合の印紙税額は2万円※1、軽減税率が適用される場合は1万円です※2。
一方、電子データだけでやり取りして紙の正本を交付しなければ、印紙の貼付は不要です※3。印刷費や郵送費も同時に減るため、売買の件数が多い会社では紙のときとの差が大きくなります。
※1出典:国税庁「No.7140 印紙税額の一覧表(その1)第1号文書から第4号文書まで」(2026年8月24日閲覧)
※2出典:国税庁「No.7108 不動産の譲渡、建設工事の請負に関する契約書に係る印紙税の軽減措置」(2026年8月24日閲覧)
※3出典:国税庁「請負契約に係る注文請書を電磁的記録に変換して電子メールで送信した場合の印紙税の課税関係について(別紙)」(2026年8月24日閲覧)
不動産業界向け電子契約システムにかかる費用・価格相場
不動産業界向けの電子契約システムは、月額2,000円台から3万円台と幅があります。最安水準で始めたい場合は月額2,480円からのマネーフォワード クラウド契約が適していますが、実印相当の署名が必要な売買契約を扱う場合は、月額8,800円からの電子印鑑GMOサインがコストパフォーマンスに優れています。
多くの製品は月額の基本料に送信1件ごとの費用を加算し、初期費用やオプションの有無でさらに金額が上がります。
送信のたびに1件あたりの費用がかかる製品と、送信件数に上限や追加費用を設けない製品があるため、月に何件送るかで、総額が最も安くなる製品が変わります。不動産に特化した製品は料金を公開していないものが多く、初期費用や最低利用期間の有無も見積もりで確かめることになります。
不動産の契約業務では、次の4つが基本料のほかにかかりやすい費用です。見積もりの段階で確認しておけば、運用が始まってから想定外の請求が出るのを防げます。
- 送信1件ごとの費用(100〜300円台):繁忙期は締結する件数が増えるため、基本料に加えてこの費用が積み上がる
- 実印相当(当事者型)の署名の単価:契約印タイプより1件あたりの単価が高く設定されている製品がある
- 外部システムとつなぐAPI連携:上位プランでしか使えない製品があり、賃貸管理システムなどと連携させる場合はプランの条件を確認する
- 紙の契約書の取り込みと保管:紙と電子が混在する移行期に使う機能で、上位プランや有償オプションになることがある
電子契約システム全体の費用相場と、送信件数別の料金の考え方は次の記事で解説しています。
不動産業界向け電子契約システムの選び方
不動産の契約業務では、まず不動産の書類に合わせて作られた特化型と、対象書類や連携先が広い汎用型のどちらが合うかを決めます。そのうえで、宅建業法の要件を満たせるか、実印相当の署名が必要か、既存システムと連携できるかで絞り込みます。
自社に合うタイプを見極める(不動産業界特化型か汎用型か)
不動産の書類を前提に作られた特化型と、対象書類や連携先が広い汎用型は、導入後に手を入れる範囲が変わります。
特化型は、重要事項説明書や賃貸借契約書、媒介契約書といった不動産の書類を前提に設計されています。いえらぶサインや不動産専用 電子契約は、同じ会社の賃貸管理システムと組み合わせて使えます。
一方の汎用型は、不動産以外の契約も同じ仕組みで扱えるのが強みです。電子印鑑GMOサインとクラウドサインは実印相当の当事者型に対応し、マネーフォワード クラウド契約は会計や請求と同じシリーズで契約を扱えます。
電子化したい書類が不動産の契約書だけに収まらないなら、社内の他部署でも同じ仕組みを使える汎用型のほうが後から広げやすいでしょう。
宅建業法の電磁的提供の要件を満たせるか
重要事項説明書や契約書面を電子で提供するには、相手方の承諾・出力して書面を作成できること・改変の有無を確認できる措置が必要です※1。このうち重要事項説明書と契約書面では、記名する宅地建物取引士がわかる形にすることも求められます。
改変の有無を確認できる措置に使われるのが、電子署名やタイムスタンプです。いえらぶサインや電子印鑑GMOサイン、クラウドサインに加え、マネーフォワード クラウド契約もタイムスタンプに対応しています。
Releaseと不動産専用 電子契約については、どの方法で改変の有無を確認できるようにしているかを問い合わせの段階で確かめましょう。
個別の取引が要件を満たすかは事案ごとに判断が必要なため、運用を決める段階で所轄の行政庁や専門家に確認してください※2。
※1出典:e-Gov法令検索「宅地建物取引業法施行規則」(2026年8月24日閲覧)
※2出典:e-Gov法令検索「宅地建物取引業法施行令」(2026年8月24日閲覧)
本人性をどこまで担保するか(当事者型と立会人型)
売買のように金額が大きい取引では、実印相当の当事者型に対応していない製品は候補から外れます。
当事者型は本人の電子証明書を使う方式で、立会人型はサービス提供事業者が署名する方式です。当事者型に当たるのが電子印鑑GMOサインの実印タイプと、クラウドサインのマイナンバーカードに搭載された証明書を使う署名です。GMOサインは書面ごとに実印タイプと契約印タイプを選べます。
一方でマネーフォワード クラウド契約は立会人型のみです。当事者型は相手方にも電子証明書を用意してもらう必要があるため、賃貸借契約のように相手方が個人の場面では立会人型が向いています。2つの方式の違いは次の記事で解説しています。
既存の業務システムと連携できるか
同じ契約データを二度入力せずに済ませるなら、賃貸管理・入居申込・顧客管理のシステムと連携できるかを先に確かめておきます。
特化型には、同じ会社の業務システムとつなぐ前提で作られた製品があります。いえらぶサインはいえらぶCLOUD、不動産専用 電子契約は賃貸革命と連携します。
汎用型システムはAPIを用いて外部システムと連携できるケースが多いです。電子印鑑GMOサインはスタンダードプラン以上、マネーフォワード クラウド契約はSalesforceやSlackとの連携に対応しています。必要な機能がどのプランに含まれるかまで確認しましょう。
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全サービスを一から比較するのは時間がかかります。下記の診断では、回答内容に応じたおすすめサービスをピックアップ。絞り込んでから資料を確認すると、比較の手間を大きく減らせます。
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不動産業界向け電子契約システムおすすめ比較3選【不動産業界特化型】
不動産の書類や業務フローに合わせて作られた3製品です。重要事項説明書や賃貸借契約書を標準で扱えるのが共通点で、同じ会社の賃貸管理システムと組み合わせて使える製品もあります。
| 初期費用 | 月額(最安プラン) | 強み | |
|---|---|---|---|
Release | ー | ー | 売主・買主へのマイページ発行による書類の受け渡し |
いえらぶサイン | ー | ー | 賃貸管理システムいえらぶCLOUDとの連携 |
不動産専用 電子契約 | ー | ー | 賃貸革命との連携と未導入時の単体利用 |
※ー=要問い合わせ
Release
- 不動産売買に特化した電子契約サービス
- 売主・買主にマイページを発行し、売買契約書や重要事項説明書を渡せる
- ユーザー数と支店数に上限がなく、拠点や担当者が増えても使い続けられる
GOGENが提供する不動産売買向けのサービスで、契約書類をマイページ上でやり取りする形をとります。書類作成から重要事項説明書の交付、契約書面の交付までを1つの流れで扱えます。
書類のやり取りだけでなく、外部システムとの連携にも対応しています。売買は関係者が多く書類も分かれるため、既存の顧客管理とつないでおくと入力の手間を減らせます。
Releaseのプラン・料金
料金は個別見積もりです。拠点数と年間の取引件数を伝えて見積もりを取ります。
いえらぶサイン
いえらぶサインは、不動産業界に特化した電子契約システムです。賃貸借契約や更新契約など、不動産契約にまつわる業務をWeb上で完結できるように設計されています。
対応する書類には、賃貸借契約書や重要事項説明書のほか、定期借地・定期建物賃貸借の契約書、売買契約書も含まれます。タイムスタンプに対応しており、改変の有無を確認できる措置を求められる書面にも使えるでしょう。
提供元のいえらぶGROUPは、不動産業務を幅広く支援する「いえらぶCLOUD」も手がけており、いえらぶサインはその機能の1つとして利用できます。
いえらぶサインのプラン・料金
料金は個別見積もりです。利用する機能の範囲と拠点数に応じて金額が決まります。
不動産専用 電子契約
日本情報クリエイトが提供する電子契約システムは、重要事項説明書(35条書面)や契約書面(37条書面)などをオンラインで交付し、契約の締結までを電子で行える不動産業界特化型サービスです。秘密保持契約書や雇用契約書といった、不動産取引以外の契約書も扱えます。
「家主」「管理会社」「仲介会社」「契約者」といった関係者の属性ごとに、契約フローを設定できるのも特徴です。
同社の賃貸管理システム「賃貸革命」と連携しますが、賃貸革命を導入していなくても単体で利用できます。重要事項の説明までオンラインで行いたい場合は、同社が別に提供するIT重説のサービスと組み合わせます。
不動産専用 電子契約のプラン・料金
料金は個別見積もりです。導入する範囲を確認したうえで金額が決まります。
不動産業界向け電子契約システムおすすめ比較3選【汎用型】
不動産以外の契約も同じ仕組みで扱える汎用型の3製品を紹介します。実印相当の当事者型に対応する製品や、会計・請求と同じシリーズで使える製品があります。
| 初期費用 | 月額(最安プラン) | 強み | |
|---|---|---|---|
電子印鑑GMOサイン | ー | 8,800円(税抜) | 実印タイプと契約印タイプの使い分け |
クラウドサイン | ー | 12,100円(税込) | 紙の書類の取り込みによる一元保管 |
マネーフォワード クラウド契約 | ー | 2,480円(税抜) | 会計・請求と同一シリーズでの契約管理 |
※ー=要問い合わせ
電子印鑑GMOサイン
- 実印タイプ(当事者型)と契約印タイプ(立会人型)を使い分けられる
- 認証局による本人確認を経た電子証明書を使える
- タイムスタンプに対応し、スタンダードプラン以上で紙文書の電子化も扱える
電子印鑑GMOサインは、当事者型と立会人型の両方を利用できる電子契約システムです。契約印・会社実印・個人実印を押していた書類を、いずれも電子で取り交わせます。
実印タイプでは認証局が発行した電子証明書を使うため、本人確認を経た署名になります。IPアドレス制限やシングルサインオンを使う場合は、ビジネスプラン以上を選びます。
売買契約のように本人性を厚く担保したい書面では実印タイプ、件数の多い賃貸借契約では単価の低い契約印タイプと、書面ごとに使い分けられます。
電子印鑑GMOサインのプラン・料金
| プラン | 初期費用 | 月額費用 |
|---|---|---|
| お試しフリー | 0円 | 0円 |
| ライト | 要問い合わせ | 8,800円(税抜・年間契約) |
ライトを単月契約にする場合は9,500円(税抜)です。ほかにスタンダード・ビジネス・エンタープライズの3プランがあります。送信ごとに契約印タイプ100円(税抜)、実印タイプ300円(税抜)が別途かかります。お試しフリーは1ユーザーのみで、署名依頼は契約印タイプの月5件までです。
クラウドサイン
- マイナンバーカードに搭載された証明書を使った署名に対応
- 紙の契約書を取り込んで電子データと同じ場所で保管できる
- 100以上の外部サービスと連携できる
クラウドサインは、スマートフォンやパソコンから、簡単に契約書を作成・送付・署名・保管できる電子契約システムです。
電子署名と契約書のテンプレート機能を備えており、契約書の作成から締結までが同じ画面で完結します。重要事項説明書のように書式が決まった書類は、テンプレートを登録しておけば送信の手順が毎回同じになります。
紙で結んだ過去の契約書を取り込めるため、紙と電子が混在する移行期でも保管先を1か所にまとめられます。
クラウドサインのプラン・料金
| プラン | 初期費用 | 月額費用 |
|---|---|---|
| フリー | 0円 | 0円 |
| Light | 要問い合わせ | 12,100円(税込) |
| Corporate | 要問い合わせ | 30,800円(税込) |
| Business | 要問い合わせ | 要問い合わせ |
| Enterprise | 要問い合わせ | 要問い合わせ |
送信1件あたり242円(税込)が別途かかります。フリープランはユーザー1名・月2件までの送信に限られます。
不動産業界ユーザーの口コミ・評判
マネーフォワード クラウド契約
- 会計・請求と同じマネーフォワード クラウドのシリーズで契約を扱える
- 署名方式は立会人型で、すべての契約に10年間の長期署名が付く
- 紙の契約書もアップロードして、電子契約と同じ台帳で管理できる
マネーフォワード クラウドのシリーズの1つで、会計や請求書の画面と同じ操作感で契約書を送付・保管できます。バックオフィスの業務を1つのシリーズにまとめたい場合に向きます。
紙の契約書をアップロードすれば、電子で締結したものと同じ台帳で管理できます。SalesforceやSlackとの連携、APIによる既存システムとの接続にも対応します。
なお、不動産向けの契約書テンプレートはマネーフォワードがWebで配布しているひな形で、この製品に標準で入っているものではありません。
マネーフォワード クラウド契約のプラン・料金
マネーフォワード クラウドの法人向けプランの基本料金に含まれる形で、契約書の送信と締結が使えます。ひとり法人プランは年払いで月2,480円(税抜)、月払いなら3,980円(税抜)です。社内申請のワークフローまで含むフル機能プランは個別見積もりで、初月のみ初期費用がかかります。
不動産業界向け電子契約システムを活用するポイント
導入したあとに現場で定着するかどうかは、どこから切り替えるか、承諾をいつ取るか、保管場所をどこにするかを先に決めてあるかで変わります。
件数の多い書類から段階的に切り替える
すべての契約を一度に電子へ移すのではなく、件数の多い賃貸借契約や更新契約から切り替えます。
契約フローを一度に変えると現場の負担が増え、定着までに時間がかかってしまいます。まず1種類の書類で送付から保管までを回し、手順が固まってから売買契約や管理委託契約へ広げると、問い合わせ対応も分散します。
最初の1種類を回すときは、デジタルの操作に慣れていない相手方向けに、操作手順を1枚にまとめた案内を用意しておくとよいでしょう。電話で説明する回数を減らせます。
承諾を得るタイミングを業務フローに組み込む
書面を電子で提供するには相手方の承諾が必要なため、申込から契約までのどの時点で承諾を得るかを決めておきます。
入居申込のタイミングで承諾を得ておけば、契約書の送付前に確認を取り直す手間がなくなります。承諾を得る際は、メールで送るのかダウンロードしてもらうのか、ファイルの形式は何かを先に伝えます。
提供を受けない旨の申出があった相手方には電子で提供できないため、紙で取り交わす手順も残しておきましょう。
保管を一本化して電子取引データの保存要件に合わせる
電子で受け取った契約書は電子取引データにあたるため、紙に印刷して保管するだけでは要件を満たさない場合があります※。
検索できる状態でデータを保存し、改ざんを防ぐ措置を取る必要があります。契約書の置き場所が部署ごとに分かれていると、要件を満たしているかを確認しづらくなるため、保管先はシステム内の1か所に決めておきましょう。
電子契約の保管方法は次の記事で詳しく解説しています。
※出典:国税庁「電子帳簿保存法一問一答【電子取引関係】」(2026年8月24日閲覧)
不動産業界向け電子契約システムに関するよくある質問(FAQ)
不動産の契約業務で電子契約を検討する際によくある質問に回答します。
賃貸借契約は電子契約にできますか?
電子契約にできます。仲介会社が交付する重要事項説明書と契約書面は、相手方の承諾を得れば電磁的方法で提供できます。貸主と借主が結ぶ賃貸借契約書そのものは書面が義務ではなく、定期建物賃貸借についても電磁的記録で締結したものを書面による契約とみなす規定があります※。
ただし事業用定期借地権の設定契約は公正証書によることが必要なため、電子契約では対応できません。
※出典:e-Gov法令検索「借地借家法」(2026年8月24日閲覧)
相手方の承諾はどのように取ればよいですか?
提供に使う方法とファイルの形式をあらかじめ示したうえで、書面または電磁的方法で承諾を得ます※。あとから確認できるよう、承諾を得た記録は残しておきます。
※出典:e-Gov法令検索「宅地建物取引業法施行令」(2026年8月24日閲覧)
電子契約にすると印紙代はどうなりますか?
印紙税がかかるのは課税文書として作成された紙の文書で、電磁的記録は含まれません※1。電子データだけでやり取りし、紙の正本を交付しなければ印紙は不要です。
ただし、電子で締結したあとに紙の正本を作成して相手方に交付すると、その紙には印紙税がかかります。
なお、建物の賃貸借契約書は原則として印紙税の課税文書に該当しません。ただし、契約書内に敷金や保証金の受領事実(領収書としての記載)などが含まれている場合は、別個の課税文書(第17号文書等)とみなされ、印紙が必要になる場合があります※2。
個別の契約書が課税文書に当たるかどうかは、所轄の税務署や税理士に確認してください。
※1 出典:国税庁「取引先にメール送信した電磁的記録に関する印紙税の取扱い」(2026年8月24日閲覧)
※2 出典:国税庁「敷金の預り証」(2026年8月24日閲覧)
IT重説と電子契約は同じものですか?
別のものです。IT重説は宅地建物取引士がテレビ会議などで重要事項の説明を行う運用で、電子契約は書面を電磁的方法で提供する仕組みを指します。
IT重説の本格運用は、賃貸が2017年10月※1、売買が2021年3月※2に始まっています。電子契約システムを入れても重要事項の説明そのものは宅地建物取引士が行うため、重説をオンラインにするかどうかは別に決めることになります。
※1出典:国土交通省「平成29年10月1日より賃貸取引に係るIT重説の本格運用を開始」(2026年8月24日閲覧)
※2出典:国土交通省「不動産の売買取引に係る「オンラインによる重要事項説明」(IT重説)の本格運用について」(2026年8月24日閲覧)
取引先が紙を希望した場合はどうすればよいですか?
電子契約は双方の合意が前提のため、紙での取り交わしを希望する相手方には書面で対応します。承諾を得ていない相手方に電磁的方法で提供することはできません。
紙を希望された場合の進め方や、取引先との調整の仕方は次の記事で解説しています。
不動産業界向け電子契約システムを比較するならBOXIL
不動産取引の書面は、要件を満たせば電磁的方法で提供できます。検討の要点は次のとおりです。
- 電子化する書類を決めるときは、宅地建物取引業法が交付を義務づけている書面と、当事者どうしが結ぶ契約書を分けて考える
- 特化型は不動産の書類と業務フローに合わせて作られており、汎用型は対象書類と連携先の広さで選ぶ
- 売買のように金額が大きい取引を扱うなら、実印相当の当事者型に対応しているかを先に確認する
- 費用は月額の基本料に送信1件ごとの費用が加算されるため、繁忙期の件数で見積もる
- 相手方が紙を希望したときに書面で取り交わす手順も、あわせて残しておく
契約書の保管や郵送に時間がかかっている場合は、まず件数の多い書類から電子に切り替えると効果が見えやすくなります。自社の業務システムとの連携や必要な署名方式を整理したうえで、複数の製品を比較してください。
候補が多く、一社ずつ調べる時間がない方へ
「どのサービスを選ぶか」だけでなく、上長や現場への説明資料を整えるのも導入担当者の重要なタスクです。各社の料金・機能・サポート体制を一枚一枚調べる手間を省くために、資料をまとめてダウンロードしましょう。
【この資料で楽になる作業】
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