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人材育成とは?目的や方法、人的資本で成長するポイント

最終更新日:(記事の情報は現在から754日前のものです)
人材育成は、従業員のパフォーマンスが向上するほか、離職率の低下や企業の持続的な成長に貢献します。企業の人材育成の目的や方法、押さえるべき重要なポイントについてわかりやすく解説します。人材育成に役立つサービスも参考にしてください。

人材育成とは

人材育成とは、社員を企業のビジョンやミッションの実現と持続的成長に貢献できる人材に育てることです。

現在の人材育成は、利益を上げるための能力やスキルの習得だけでなく、企業文化や社会的パーパスを深く理解して行動できる人材を育むことが求められています。

人材開発・能力開発との違い

人材開発・能力開発とは、研修や人材教育により従業員の能力を引き出したり、スキルアップさせたりする、人材育成のための具体的な施策を意味します。

人材育成には、企業が実施する人材教育のほか、従業員個人の自己啓発や職場での経験、目標管理といったことも含まれています。

人材育成の目的

人材育成は、企業が長期的かつ戦略的に取り組むべきです。人材育成の取り組みは、企業に次のような成果をもたらします。

  • 従業員のパフォーマンスの向上
  • 離職率の低下
  • 企業の持続的な成長
  • 企業ビジョンの実現
  • コンプライアンスの強化

従業員のパフォーマンスの向上

従業員のパフォーマンス向上は、人材育成の大きな目的の1つです。

人材育成により現状の仕事内容が改善され、生産性が向上すれば業績アップへ直結します。個人が自律的に学ぶようになれば、成長するための企業文化が形作られていくでしょう。

離職率の低下

人材育成を進めると、離職率の低下の効果も期待できます。

企業が人材育成を積極的に促進してくれることは、従業員のエンゲージメントを高めます。そのため、成長意欲をもったモチベーションの高い社員は、企業ビジョンの実現のために貢献しようと考えるようになり、離職率の低下につながるでしょう。

企業の持続的な成長

人材育成は、企業の持続的な成長に貢献します。

消耗品費や広告費のように一度投資したら効果がなくなるものと比べ、人的資本である社員は、離職するまでバリューを発揮してくれる存在です。人材育成によって、危機の際に的確な判断でビジネスをサポートできたり、今までになかった発想で新規事業を立ち上げたりなど、企業の持続的な成長に貢献する人材を育めます。

企業ビジョンの実現

人材育成によって、各社員が企業のミッションやパーパスを深く理解しながら、パフォーマンスを発揮することで、ビジネスが利益を上げるとともに目標となる企業ビジョンの実現につながっていきます。

コンプライアンスの強化

人材教育に、コンプライアンスや情報セキュリティに関する教育を含めることで、企業は大きなダメージにつながる危機的状況を予防できます。

コンプライアンスを重視する人材が育つことは、幹部やリーダー候補の育成といった意味でも、企業にとって大きな価値があります。

人材育成における課題

近年、人材不足やグローバル化などにより人材育成の重要性が高まっています。しかし、現場では次のような課題を抱えがちです。

  • 人材育成が後回しになる
  • 自律型の人材がなかなか育たない
  • 評価につながらない

人材育成が後回しになる

人材育成自体が後回しにされてしまいがちなことが課題として挙げられます。

人材育成の担当者には本来別の業務を抱えているケースが多く、この場合、担当者は通常業務と人材育成を並行して行わなければなりません。そのため、担当者は日々の業務に追われて時間をとりにくく、日常業務が優先してしまい育成は後回しになる、といった状況になりがちです。それにより、指導される社員の学習意欲を低下させてしまうこともあるでしょう。

しかし、人材育成は、企業の発展・成長のために不可欠な業務です。そのため、担当者に重要性を理解してもらう、また担当者が育成のための時間を作れるよう、業務量を調整するなどの対応が必要となります。

育成を行う人材の不足

「人材育成の方法がわからない」「育成の知識やスキルが不足している」など、人材育成を行える人材が不足しているために、人材育成を進められないケースもあります。

たとえば、教える側にスキルがないと「人材育成のやり方がわからずに闇雲に指導してしまう」「習熟度を客観的に分析できずレベル以上の業務を振ってしまう」「育成を計画的に進められない」などが問題になります。

たとえプレーヤーとして優秀な人材でも、育成のスキルがあるとは限りません。適切な人材育成を行うには、育成する側のスキルや知識、「人材を育てよう」とする意識が必要です。そのため、まずは研修やマニュアルを活用して、十分なスキルを身につけてもらうようにしましょう。

評価につながらない

成果がわかりやすい数字に反映されにくく、人材育成が評価されにくいことも、人材育成における課題の1つです。

人材育成はすぐに結果につながる業務ではなく、長期的な取り組みが必要です。しかし、担当者が熱心に取り組んでも正当な評価につながらなければ、担当者はやりがいを感じられないだけでなく会社への不信感を募らせることにつながり、人材育成への意欲を失ってしまうでしょう。

そのため、担当者が正しく評価されるよう人事評価制度を見直す必要があるでしょう。

人材育成の代表的な方法

人材育成の代表的な手法について紹介します。

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OJT

OJTとは、On the Job Trainingの略称で、実際に職場で業務を行いながら、仕事に必要なスキルや知識を習得していく人材育成の方法です。一般的には、入社時や新しい部署に配属されたときに行われることが多く、配属先の先輩社員や上司が指導を行います。

指導方法は、OJT担当者のスキルに依存しますが、実践的な人材教育を行えるのがメリットです。また、後輩社員を育成することで、OJT担当になった社員自身の成長につながる組織的な人材育成効果もあります。

Off-JT

Off-JTとは、Off the Job Trainingの略称で、社内の集合研修や外部講師を招いてのセミナーや講座などで、知識や技術を習得していく人材育成方法です。Off-JTの期間や回数は人材育成の目的によってさまざまで、専門的なスキル習得からビジネスマナー研修、マネージメント研修、管理職研修などがあります。

Off-JTは職場から離れて行うので、日々の業務を見直せる機会にもつながります。また、普段顔を合わせる機会の少ない他部署や支社同士が合同で行うことで、交流を図れるのもメリットです。現場社員と管理職が合同でOff-JTを行うことで、職場でのギャップを埋め、課題解決をしていくケースもあります。

SD(自己啓発)

SDは、Self Developmentの略称で、自己啓発の一環としてみずからセミナーに参加したり、書籍で学びの機会を得たりすることです。企業は、業務に関係ある資格取得やスキル習得の費用を援助することで、自律的な人材育成を促進できます。

eラーニング

eラーニングは、インターネットを利用した学習方法です。時間や場所の拘束がないため、従業員が都合のよい時間に受講できるのが大きなメリットです。企業側も対面研修よりもコストが少なく済み、学習の進捗やスキルのレベルが把握できます。

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ただし、eラーニングのみでは、従業員の学びのモチベーションをどのように維持させていくかといった課題があります。このため、eラーニングを集合研修と組み合わせるハイブリッド研修や、オンラインとオフラインの複数の教育方法による「ブレンディッドラーニング」を人材育成に取り入れている企業もあります。

ジョブローテーション

ジョブローテーションとは、社員の能力開発のために定期的に配置転換を実施する人事制度のことです。単なる人事異動とは異なり、戦略的な人材育成計画にもとづいて行われます。

ジョブローテーションの期間はさまざまで、1つの部署・職種で働く期間は半年から数年と、人材育成計画によって異なります。

ジョブローテーションでは、従業員がさまざまな配置転換先の部署を経験することで、ゼネラリストを育成できるのがメリットです。

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社内公募制度

社内公募制度とは、人材を必要としている部署に社員が自発的に応募する制度です。人手不足の解消が目的ではなく、社員の人材育成の支援を目的としています。

社内公募制度を導入すると、社内の人材が流動的になり、従業員の仕事に対するモチベーションとエンゲージメントの向上につながります。

1on1ミーティングとコーチング

上司と部下の間で定期的に1on1ミーティングコーチングを実施するのも、人材育成に有効です。

コーチングでは、上司は部下に命令するのではなく、部下がみずから課題や解決策に気づけるよう促す役目を担います。

1on1ミーティングとコーチングを積極的に実施することで、個人のパフォーマンスが高まり、離職率の低下と人材育成につながります。

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バリュー評価

バリューとは、企業のミッションやビジョンを実現するための、大切している価値観や行動指針を示す企業理念です。

人事評価の際に「バリュー評価」を実施することで、従業員がどの程度自社のバリューや行動規範に沿って活動を行っているかを評価できます。バリュー評価を継続していけば、企業理念やコンプライアンスを重視する人材の育成につながります。

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MBO(目標管理)

MBOとは、「Management by Objectives and Self Control」の略称で、従業員個人が目標を設定して、達成度で評価を決める人事評価方法のことです。従業員が自身で立てた目標に向かって努力するため、自律的な人材の育成が可能です。

MBOでは、個人が設定した目標に向けて行動し、定期的に達成度合いを確認します。MBOで目標達成のためのPDCAサイクルを継続することで、従業員のパフォーマンスと生産性の向上効果がもたらされます。

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OKR

OKRとは、「Objectives and Key Results」の略で、「目標と成果指標」を意味する目標管理のためのフレームワークです。OKRを導入することで、個人と企業の目標を連動させて、人材の能力を最大限に引き出せるため、経営効率を高める効果的な人材育成が実現できます。

OKRは、企業が定めた目標に対して、部署やチーム、個人単位へと目標を細分化します。このため各従業員は、企業の目標に外れることなく果たすべき目標の設定が可能です。

また、1つの目標に対していくつかの定量的な指標を定めるので、進捗状況を測ることも可能です。OKRは、MBOよりもスピード感があり、個人のパフォーマンス評価は短期間で実施されます。

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階層別の人材育成方法

人材育成は、どの階層の社員に対しても一律に行えばよいわけではありません。新入社員、中堅社員、リーダー・管理職の各階層に求められる能力やスキルに合わせて、人材教育や能力開発を実施する必要があります。

新入社員

新入社員の人材育成には、働き方の基本やビジネスマナーといった業務一般で役立つ内容を、OJTやOff-JTで教育するとよいでしょう。

新入社員が今後どのような職種で働いても問題がないよう、ベースとなるスキルを学んでもらい、この後に個別のスキルを習得するよう、人材育成を進めます。

中堅社員

中堅社員は、部下をマネジメントするのに必要なスキルが要求されます。自身が成果を上げるためにといった考え方から、部下が効果を最大限発揮するためにといった考え方へスイッチできるよう促しましょう。

中堅社員の人材育成には、Off-JTの研修やセミナーによる能力開発、目標管理のためのMBOやOKRの活用、1on1ミーティングとコーチングによるサポートが有効です。

リーダー・管理職

リーダーや管理職の方が学ぶべきことには、幅広い部門の知識やマネジメント、経営知識などが挙げられます。

リーダー・管理職の人材育成には、ジョブローテーションによる幅広い部門の知識、Off-JTのマネジメント研修やセミナーによる経営知識の修得、MBOやOKRによる目標管理などが有効です。

スキルマップの作成方法

スキルマップとは、従業員のキャリアやスキルを時系列でまとめた表のことです。

スキルマップを作成することで、身につけてほしいスキルを役職ごとに時系列でまとめて可視化し全体像を把握できるため、求められるスキルの抜け漏れを防ぎ、人材育成の計画を立てやすくなります。それにより、人材育成のスピードアップにつながる効果も期待できます。

また、時系列で役職ごとに必要なスキルを計画化するため、人事評価の参考としての活用も可能です。

ワークショップの準備

スキルマップ作成のワークショップを行う際には、あらかじめ次のような準備を行いましょう。

参加者・所要時間

ワークショップに参加してもらうメンバーを招待します。 参加するメンバーには、業務内容や流れを把握している人、必要となるスキルについて知識をもっている人など、役職者以上の人を招待するとよいでしょう。また、さまざまな意見が集まるよう、課長・係長など階層の異なる複数人の管理者に参加してもらうのが理想的です。4~5名を1チームとして、3~5チームで実施するとよいでしょう。

ワークショップの所要時間は3〜6時間程度を予定し、実施する際の会議室の確保も行いましょう。

準備するもの

ワークショップでは、各グループで意見を出し合いながらスキルマップをまとめます。

そのため、次のものを準備しましょう。

  • スキル洗い出しシート(人数分)
  • スキルマップ(各グループで1枚)
  • 大型の模造紙(全体で1枚、ホワイトボードで代用も可)

各グループごとに意見を書き込めるよう、大きな模造紙やホワイトボードなどを用意すると実施しやすくなります。もしくは、付箋にそれぞれ意見を書き込み、貼りつけていく方法もあります。

ワークショップのステップ

スキルマップ作成のワークショップは、次の流れで行います。

1. 必要なスキルを洗い出す

まず、業務プロセスを整理し、各部署で業務や役割に必要なスキルの洗い出しを行います。

必要なスキル・知識など、思いつくものを書き出して挙げていきましょう。ただし、「マネジメントスキル」「コミュニケーションスキル」などの漠然とした書き方は避けます。たとえば、「マニュアルを作成できる」「クレーム対応ができる」のようにスキルを具体的に書き出しましょう。集合研修やOJTなど、どのような方法で、いつまでに身につけるかも記入します。複数の担当者で行うことで、網羅的に抽出できるでしょう。

スキルの洗い出しは、参加者それぞれ最低20件ずつ、20分程度で実施します。

2. スキルを分野・階層別に振り分ける

次に、個人で洗い出したスキルを種類や関連性・分野別に振り分け、分類する作業を行います。たとえば、汎用的なスキルなら「ビジネススキル」部門特有のスキルであれば「専門的スキル」などの項目で分類しましょう。

また、従業員のキャリアを時系列にして、どのような段階でどのスキルが必要かを、整理します。たとえば、「コールセンター業務で3年以内に身につけたいのはどのようなスキルか」といったように、参加者で意見を出し合って整理しましょう。

3. 人事・研修部門で見直し仕上げを行う

ワークショップを通じて作成したスキルマップや、人事部門で整理・修正して完成させます。

見直しの際に、ワークショップで出ていない知識やスキルを別途追加します。組織全体の目標達成や、企業として育成したい人物像、業務改善などの観点から追加や修正を行ったりしましょう。労務管理のような組織運用のために必要な知識も、現場から出ていなければ追加します。

また、スキルは具体的な表現にするのが理想的です。「1日に40件の問い合わせに対応できる」のように、スキルはより達成度がわかりやすいように具体的な表現にしましょう。

人事・研修部門が見直し・修正したら、スキルマップが完成です。

人材育成の基本的なフレームワーク

人材育成でよく使われている基本的なワークフレームとして、次の3つがあります。

  • ギャップ分析
  • コルブの経験学習モデル
  • 7:2:1モデル

ギャップ分析

ギャップ分析とは、「あるべき理想の状態と現状のギャップ」を認識し、現状の課題やギャップ埋めるための解決策を洗い出すフレームワークです。

ギャップ分析では、まず現状の分析を行ったうえで、今後目指すべき理想の状態を明確にします。そして、現状と理想を比較して、どのようなギャップがあるかを洗い出し、ギャップを埋めるために最適な解決策を検討します。

ギャップ分析における理想の状態は、組織の人材育成では「組織の求める人物像」として検討するとよいでしょう。組織の目標達成に必要となる理想の人物像に対して、現状ではどのようなスキルをもつ人がいるのかを検討します。また、将来的な目標達成のためにどのように育成してギャップを埋めていくかを考えることで、人材育成の指針を見つけられるでしょう。

コルブの経験学習モデル

コルブの経験学習モデルは、経験したことを振り返って改善策を学び、次に活かすプロセスをモデル化したフレームワークです。アメリカの経営学者であるコルブ氏が提唱したフレームワークで、人材育成における考え方として知られています。

コルブの経験学習モデルでは、「経験」→「内省」→「抽象化・概念化」→「実践」の4つのステップをサイクルとして順に繰り返します。それにより、経験したことを振り返り、「なぜ失敗したのか」もしくは「なぜ成功したのか」と原因を考え、成功につなげるにはどうすればよいのかを分析することで学びを得られるのが特徴です。

人材育成においては、集合研修で業務経験の振り返りを行う、OJTに経験学習を組み込むといった方法で取り入れられます。

7:2:1モデル

7:2:1モデルは、アメリカの人事コンサルタント会社である、ロミンガー社が行った調査をもとに導き出された人材育成の法則で、「ロミンガーの法則」とも呼ばれます。

ロミンガー社が「リーダーシップを発揮するために有効だった要素」を調査したところ、「7割が業務経験」「2割が上司や先輩からの指導やフィードバック」「1割が研修」であるとわかりました。つまり、「リーダーシップの発揮には、業務経験がもっとも重要で、さらに人間関係や研修が必要な要素となる」といった法則が7:2:1モデルです。

これを踏まえて、人材育成では、 「7:2:1」の比率で業務経験を重視しながら、メンタリングや研修をバランスよく組み合わせた施策の実施により、効果的な人材育成が可能になります。

人材育成の計画方法

人材育成を計画する際に、計画を進めるステップは次のとおりです。

  • 課題の明確化
  • 目標や方向性を明確にする
  • 課題の解決方法を検討する

課題の明確化

人材育成を行う際には、まず人材育成でアプローチする課題を明確化する必要があります。

解決すべき課題がない状態で、人材育成の施策を行っても効果にはつながりにくいです。まずは課題を明確化したうえで、理想の人物像を具体化し、課題解決につながる人材育成計画を検討することで、将来的に組織に貢献できる可能性が高まります。

そのためには、仕事内容、役割分担を把握して現状分析を行うことが必要です。現場へヒアリングを行い、どのようなスキルをもつ人材がいて、どのような人材が不足しているのかといった課題を洗い出しましょう。

目標や方向性を明確にする

課題を明確にしたら、組織のゴールや目標達成にどのようなスキルや能力が必要かを明確にします。

この段階では、定量的に測定できる具体的な目標設定を行い、戦略や目指すべき方向性を明確化することが大切です。「5年後のグローバル展開のために、外国語で交渉できる語学力をもつ人材が3人必要」といったように、「いつまでに」「どのようなスキルをもつ人材」が「何人必要」なのか具体的に目標を設定します。これにより、人材育成の方向性を明確化できます。

目標や方向性が明確になったら、優先順位を決めて整理しましょう。

課題の解決方法を検討する

方向性を明確にしたら、人材育成にどのような教育手段を採用するのか、課題に適した解決方法を検討します。

たとえば、リーダーの育成には、OJTと集合研修・オンライン研修・eラーニングなどの組み合わせが有効です。人材育成の目標達成ができるよう、必要なスキルや学習内容に応じて、適切な手段を選択しましょう。

作成した育成計画は、全体で共有し実行します。運用後は効果を測定し、成果を可視化します。運用しながらフィードバックを収集し、それをもとに研修内容や方法の改善を行うことが大切です。継続的に効果測定と改善を行うことで、学習効果や成果の向上につなげられるでしょう。

また、育成担当者が本来の業務と人材育成を両立できるよう、業務量の調整も必要です。

人材育成で重要なポイント

人材育成において重要なポイントとして、次の5つが挙げられます。

ビジョンやミッションの共有

企業文化を理解して、企業成長に貢献できる人材を育成するためには、ビジョンやミッションの共有が前提として必要です。

企業の中長期的な目標であるビジョンは、環境やビジネスモデルの変化により変更されることがあります。しかし、新たなビジョンの策定に社員の声を反映させるのもよい取り組みです。

人事評価の際にバリュー評価を実施して、従業員のビジョンやミッションを実現させるための行動規範について、定期的に評価を行うのもよいでしょう。

社員の自発性を高める

社員の自発性を高めることも、人材育成において重要なポイントです。

社員の自発性を高めるためには、自己啓発の研修も必要ですが、さらに重要なのは社員が自発的に学びやすい環境と、それを公平に評価する制度を整備することです。

社員の資格取得やセミナー参加を会社として補助したり、人事評価の中に自主的な学びが評価される項目を設けたりして、自発的に行動する人材が評価される環境を構築しましょう。

育成目標を立てる

人材開発や能力開発によって達成したい目標を明確にして、社員と共有することも重要です。各個人の強味を引き出す場合も、弱みを克服する場合も、目指す目標の形を明確にすることが重要です。

これにより、人材育成の到達地点が明らかになり、企業が必要とする戦略的な人材育成計画が可能になります。

効果測定を行う

人材開発や能力開発を行ったら、必ず効果を把握しましょう。実施した研修や教育プログラムは、「社員の意識をどのように変化させられたか」、「どのような行動変容をもたらしたのか」など、人材教育後の変化についてさまざまな手法を使って評価します。

人材教育の効果測定を行うことで、PDCAによる人材育成計画が構築でき、人的資本経営につながっていきます。

コンプライアンス教育を含める

人材育成には、必ずコンプライアンス教育を含めることが重要です。

近年は、企業のコンプライアンスが重視されるようになり、株主や投資家も厳しくチェックするようになりました。従業員のコンプライアンスへの意識が低いと、企業の信用を大きく損ないかねないコンプライアンス違反の発生につながるリスクがあります。

また、情報漏えいやサイバー攻撃が増加している中、コンプライアンス教育とともに情報セキュリティ教育の必要性も高まっています。

コンプライアンスや情報セキュリティに関する人材教育は、企業が大きな代償を払うことになる危機的状況を避けるために、定期的に実施することが必要です。

人材育成に役立つサービス

現代のビジネスシーンに役立つ、人材育成サービスを紹介します。

バヅクリ - バヅクリ株式会社

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※1,2 出典:バヅクリ「バヅクリ | エンゲージメントサーベイと研修・イベントで組織改善」(2024年5月15日閲覧)

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  • 書籍「7つの習慣®️︎」をベースにした研修プログラム
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7つの習慣®️︎SIGNATURE EDITION 4.0は、現代のライフスタイルやビジネスシーンをイメージしやすい内容が盛り込まれた研修プログラムです。課題や日々の生活を通して応用できる内容です。知識やスキルだけでなく、受講者の人格を磨くことが重視されたプログラムなので、受講者の高い満足度も期待できます。

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人材育成によって企業を持続的に成長させよう

企業は人材育成を戦略的に行うことで、ビジョンやミッションの実現と持続的成長に貢献できる人材を得られます。

企業に求められる行動規範や、コンプライアンスを重視した人材の育成は、人的資本経営のベースとなり、長期的な競争力の強化につながるでしょう。

人材育成に役立つサービスとして、社員一人ひとりの能力やスキル、成果を確認できるツールがあります。次の記事ではこのような社員の特性を把握する考え方やシステムを紹介します。

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