AI搭載型CRMおすすめ比較!導入メリットや機能
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AI搭載型CRMとは?従来型との違いを解説
CRM(顧客関係管理)とは、顧客情報を一元管理できるツールです。最近では、このCRMにAI技術を組み合わせた「AI搭載型CRM」が数多く登場しています。
そもそもAIは、膨大な量のデータをみずから学習(機械学習)し、データ同士の関連性や法則性を見出せるため、集計や分析、予測に強みを持ちます。
そのため、AI搭載型CRMでは、顧客情報にもとづいた集計作業の自動化や、より高精度な分析が可能です。結果、人の手で集計や分析を行っていた従来型CRMと比べて業務効率化を図れるほか、質の高い分析結果を経営の意思決定に活かせます。
CRMについてはこちらの記事でも詳しく解説しています。
AI搭載型CRMに含まれるAIの種類
AI搭載型CRMには、「識別系AI」と「生成AI」の2種類の技術が活用されています。
識別系AIとは、前述したデータの集計や分析、予測に強みを持つ従来型のAI技術です。適度な学習を積み、適切なプログラムを入力すれば、人間と同等、もしくはそれ以上のスピードと質で作業を実施できます。生成AIのようなアイデアの創出はできないものの、指示された作業を効率良く実行するのが得意です。
一方の生成AIは、プロンプトと呼ばれる指示を与えることで、新たなテキストや画像、動画などの創造物を生み出せるAI技術です。顧客一人ひとりの属性にもとづいたメールの文面を作成したり、資料に掲載するオリジナルイラストを生成したりと、さまざまな活用方法があります。
サービスによって搭載されているAIの種類が異なるため、目的と用途を明確にすることが大切です。
従来型にはないAI搭載型CRM独自の機能
本来、CRMは顧客情報管理に特化したサービスです。そのCRMにAI技術が搭載されることで、売上予測や優先度管理、レポートの自動生成などが可能になります。AI搭載型CRMならではの機能を詳しく解説します。
【識別系AI】高精度な売上予測・需要予測
識別系AIが搭載されているCRMでは、高精度な売上予測や需要予測が可能です。
CRMには、顧客情報とともに売上実績や取引履歴のデータが蓄積されます。識別系AIは、複数のデータから関連性や法則性を見出せるため、売上実績や取引履歴にもとづいた将来的な売上や需要を予測してくれます。さらに、全社だけでなく、個人・チーム単位での予測も可能です。
AIによる高精度な売上予測や需要予測を参考にすれば、実態に即したより質の高い戦略やアクションプランを策定できます。
【識別系AI】各案件における優先度の可視化
識別系AIが搭載されたCRMは、営業案件の優先度設定にも活用できます。
本来、案件ごとの優先順位を決めるには、過去の成約率や受注金額などのデータをもとに、それぞれの見込み客の確度を見極めなければなりません。その点、識別系AIであれば過去のデータを自動的に集計・分析できるため、人間の手で優先順位を設定する手間を最小限に抑えられます。
確度の高い見込み客にアプローチすれば、より効率的に顧客への転換が可能です。結果、営業リソースを無駄にすることなく、営業活動の最適化へとつながります。
【生成AI】レポートの自動生成
生成AIは独自の創造物を生み出すのが得意なので、レポートの自動生成への活用も可能です。
CRMに搭載されているレポート機能は、取引先ごとの受注金額や、担当者別の営業成績などのデータを時系列で表示できます。ただし、レポートを作成するには、データの範囲や表示軸などを手作業で設定しなければなりません。
一方、生成AI搭載型のCRMであれば、より簡易的な設定のみで、ほとんど自動的にレポートを作成できます。レポート作成の時間を削減することで、意思決定やアクションプラン策定といったコア業務に注力できるでしょう。
【生成AI】メールのパーソナライズ化
生成AI搭載型のCRMは、ほかにもメールのパーソナライズ化に効果を発揮します。パーソナライズ化が可能なのは、生成AIがCRMに蓄積された顧客情報を学習し、独自のテキスト情報を生み出せるためです。
そのため、見込み顧客一人ひとりのニーズや嗜好に合わせて、個別最適化されたメールを送信できます。結果、メールの内容が見込み顧客の印象に残りやすくなり、ナーチャリング(購買意欲の醸成)やコンバージョンに発展する可能性が高まります。メールマガジンや営業メールの使用機会が多い場合は、生成AI搭載型のCRMがおすすめです。
【生成AI】顧客情報の自動収集
生成AI搭載型CRMのなかには、Web上から顧客の関連情報を自動収集できるサービスがあります。企業名や所在地、電話番号、売上情報などのデータが対象です。
本来であれば、顧客の関連情報は人間の手でリサーチしなければなりませんが、生成AIなら工数を大幅に削減できます。情報収集といったノンコア業務に割く時間を減らすことで、営業担当者やマーケティング担当者がコア業務に注力できるでしょう。
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AI搭載型CRMのメリット
AI搭載型CRMを導入すると、次のようなメリットが生まれます。
- 営業やマーケティングの業務効率化につながる
- 意思決定やアプローチの精度が高まる
- 効率良くPDCAサイクルを回せる
営業やマーケティングの業務効率化につながる
AI搭載型CRM導入の一つ目のメリットは、営業やマーケティングの業務効率化につながる点です。
識別系AIや生成AIの種類にかかわらず、AI技術を活用すれば単純な作業を自動化できます。本来であれば時間がかかっていた売上予測やレポート作成などの作業を、より短時間で処理できるのがメリットです。
作業時間の削減に成功すると、余った時間をより重要な業務に振り分けられます。営業やマーケティングであれば、商談や訪問、顧客サポートが非常に重要な業務です。コア業務に注力することで売上への貢献度が高まるため、AIは単なる業務効率化だけでなく、生産性向上にも効果を発揮します。
意思決定やアプローチの精度が高まる
意思決定やアプローチの精度が高まるのもAI搭載型CRMのメリットです。
CRMには膨大な量のデータが蓄積されており、横断的・複合的に分析を行うのは、手作業だけでは限界があります。処理能力に制限がある分、重要な課題を見落とすケースも珍しくありません。
一方、24時間365日稼働できるAIであれば、膨大な量のデータでも効率良く処理できます。見落としやすい課題をいち早く発見し、迅速に解決策を模索できるのがポイントです。結果として、意思決定の質やスピードを高めたり、より精度の高いアプローチ方法を検討したりといった形で効果を発揮します。
効率良くPDCAサイクルを回せる
データ収集から分析までの流れを迅速に実行できるということは、PDCAサイクルの流れも速くなるということです。
たとえば、既存顧客の属性や行動傾向をもとにマーケティングプランを練り直すなど、分析結果から素早く最適解を見つけ、それを施策へと反映させることで売上安定化やキャッシュフロー改善などの効果が見込めます。
PDCAのスピードが向上すると、企業競争力の強化につながるのもメリットです。
AI搭載型CRMの注意点
AI搭載型CRMにはさまざまなメリットがあるものの、注意すべきポイントもいくつか存在します。運用時の注意点を踏まえて適切な対策を講じましょう。
AIの情報がすべて正しいとは限らない
分析データや生成したレポートなど、AIの出力結果は必ずしも正しいとは限りません。
識別系AIの場合は、プログラムどおりに処理を実行するため、基本的に機械は間違いを起こしません。しかし、入力済みの元データやプログラムの指示に誤りがあれば、出力結果にも誤差や誤謬などの問題が生じます。
また、生成AIにいたっては、学習した複数のデータを組み合わせ、独自の解釈でテキストや画像などを生成するため、誤った情報を出力する可能性が高くなります。
AI搭載型CRMを活用する際は、出力された情報を鵜呑みにしないことが重要です。情報を一般公開したり、データを活用したりする前に、必ずファクトチェックを実施しましょう。
権利侵害のリスクが生じる可能性がある
生成AI搭載型のCRMを使用する場合、学習方法によっては権利侵害のトラブルに発展するおそれがあります。Web上から学習データを収集する場合は、とくに注意が必要です。
Web上の情報は、テキストや画像、動画などの形式にかかわらず、原則として著作権によって守られています。そのため、一般公開されている文章と似通った内容でメールを生成するようなことがあれば、著作権侵害にあたる可能性も出てきます。
権利侵害のトラブルを避けるには、開発者側で学習するデータを絞り込むことが重要です。また、生成した情報を一般公開する場合は、必ず人間の目で内容を精査しましょう。
AI搭載型CRMを導入する際のポイント
AI搭載型CRMの導入時に注意すべきポイントは次のとおりです。
- 導入前に十分な学習データを貯めておく
- セキュリティレベルの高いツールを選ぶ
- 事前に操作性や機能性を検証する
- AIのガイドラインや活用ルールを把握しておく
導入前に十分な学習データを貯めておく
AI搭載型CRMを導入する際は、あらかじめ十分な学習データを貯めておく必要があります。AIの分析や予測は過去のデータに紐づくので、サンプル数が少ないと精度が低くなってしまうためです。
そのため、ハウスリストの項目数が少ない企業では、AIの機能を最大限に活かせない可能性があります。学習データが不足する場合、まずは従来型のCRMを導入し、段階的にAI搭載型のサービスへと切り替えるのも方法の一つです。
セキュリティレベルの高いツールを選ぶ
セキュリティレベルの高いツールを選ぶことも重要です。
CRMには膨大な量の顧客情報を格納するため、万が一外部に情報が流出すると、信用失墜につながる大きなトラブルに発展しかねません。また、生成AI搭載型のCRMは、インターネットを介して学習することもあるため、常にサイバー攻撃のリスクにさらされます。
そのため、サービス選定時は価格や機能だけでなく、セキュリティレベルの高さにも着目しましょう。多要素認証やログ監視などのセキュリティ機能以外に、データセンターの堅牢度やセキュリティポリシーも確認するのがおすすめです。
事前に操作性や機能性を検証する
AI搭載型CRMを導入する際は、事前に必ず操作性や機能性を確認しましょう。
本来、CRMは顧客情報管理に特化したサービスですが、AI技術が加わったことで、データ分析や予測、レポートの自動出力など、できることが増えています。サービスごとの機能にも違いが現れやすくなっているため、事前に入念な要件定義を行うことが大切です。
CRMのなかにはトライアルやデモが用意されているサービスもあります。期間中は無料でサービスを利用できるため、現場担当者を踏まえて操作性や機能性を検証すると良いでしょう。
AIのガイドラインや活用ルールを把握しておく
AIは使い方を間違えば、権利やプライバシーの侵害、信頼性の低下など、さまざまなリスクが発生します。そのため、サービスの導入前にAIのガイドラインや活用ルールを把握しておきましょう。
資料の一つとして、経済産業省が公表している「AI事業者ガイドライン」があります。開発者・サービス提供者・サービス利用者の3者の観点から、注意点やリスクが紹介されているので、社内のルールを整備する際に役立ちます。
AI搭載型CRMのおすすめ比較
Salesforce Sales Cloud - 株式会社セールスフォース・ジャパン
Salesforce Sales Cloudは、世界15万社以上の導入実績があるCRMです。顧客情報管理以外に、案件管理や商談管理、パイプライン管理といったSFA(営業支援システム)の機能も備わっています。
Salesforce Sales Cloudでは、識別系AIと生成AIの両方の機能を利用できます。CRMに蓄積された顧客情報にもとづく売上予測や営業プロセスの自動化、パーソナライズメールの自動生成など、豊富な機能を活用できるのがメリットです。
Sales Force Assistant - 株式会社NIコンサルティング
Sales Force Assistantは、「AI秘書」と呼ばれる独自のAIが搭載されているCRMです。システム内に蓄積された顧客情報と担当者のスケジュールをもとに、有効商談客を自動的に抽出できます。提案された商談をスケジュールに自動で紐づけられるのもポイントです。
Sales Force Assistantは、案件型営業やルート型営業などの営業スタイル別に、複数のサービスが用意されています。課題に合わせて適切なサービスを選び分けられるので、ツール選びに慣れない方でも安心です。
Mazrica Sales - 株式会社マツリカ
Mazrica Salesは、CRMとSFAの機能が統合されたサービスです。直感的な操作で各担当者の進捗状況を共有できる「案件ボード」の機能が特徴的で、タスク管理やスケジュール管理、プロジェクト管理に活用できます。
また、リスク分析や類似案件の提案が可能なAI技術も組み込まれています。CRMの登録情報から名寄せ候補を自動的に抽出したり、スキャンした情報をデータ化したりと、AIによるサポート範囲が広いのも特徴です。
ホットプロファイルは、名刺のデータ化・情報管理に強みを持つサービスですが、顧客情報管理機能が搭載されているため、CRMとしても活用できます。名刺はスキャナーで取り込むだけで瞬時にデータ化が可能で、さらに人脈の可視化やデータクレンジングなどの機能も利用できます。
ホットプロファイルのAIは、Web上から必要な情報を抽出し、自動的に企業リストを作成してくれる仕組みです。単にアプローチ先の一覧を表示するだけでなく、「売上が伸びている企業」や「最近受注した企業の関連企業」など、細かく条件を指定できます。
Zoho CRMは、CRM・SFA・MA(マーケティングオートメーション)など、営業やマーケティングに役立つ幅広い機能を搭載したサービスです。リード情報と顧客情報の両方を管理できるほか、確度ごとに見込み客を評価するスコアリングの機能も搭載されています。
Zoho CRMのAIは、顧客情報やログデータから見込み客の行動パターンを学習し、業務プロセスの改善や作業の自動化に関するアイデアを提案してくれます。また、「Zia」と呼ばれる独自のAIを活用すると、見込み顧客一人ひとりに合わせた提案商品を見つけてくれるため、アップセルやクロスセルに効果的です。
AI搭載型CRMを活用して営業やマーケティングの効率を高めよう
もともと顧客情報管理に強みを持つCRMにAI技術を組み合わせることで、顧客情報にもとづいた売上予測や需要予測、アプローチ先の提案などが可能になります。従来、人間の手で行っていた作業を自動化・効率化できるのが利点です。
ただし、情報が不正確な場合がある、権利侵害のリスクが発生し得るなど、AIならではの注意点も存在します。AI搭載型CRMを導入する際は、AIのガイドラインを参考に、適切な運用環境を整備することが大切です。そのうえで課題や目的に沿った最適なサービスを選んでみてください。