電子帳簿保存法に対応した経費精算システム5選!主な機能や導入メリット、選び方
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電子帳簿保存法とは
電子帳簿保存法とは、税務関係の帳簿書類を電子データにて保存することを認める法律です。従来は紙の原本での保存が原則だったところ、電子帳簿保存法により一定の要件を満たせば電子データでの保存できるようになりました。
電子帳簿保存法には、業務効率化やコスト削減を促進し、ペーパーレス化を推進する目的があります。近年では、電子取引の増加にともない電子帳簿保存法の重要性が増し、2022年1月の改正では電子取引データの保存要件が緩和されました。
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電子帳簿保存法の要件
電子帳簿保存法では、電子データの信頼性を確保するために、真実性の確保と可視性の確保という2つの大きな要件が定められています。これらの要件を満たすことで、電子データが改ざんされたり、消失したりすることなく、いつでも必要なときに参照できる状態を維持できます。
真実性の確保
真実性の確保とは、電子データが正確かつ完全に記録され、改ざんや紛失が防止されることを意味します。具体的には、次の要件を満たす必要があります。
要件 | 説明 |
---|---|
タイムスタンプの付与 | 電子データの作成日時や受領日時を証明するためのタイムスタンプ付与。データの作成・受領時期を明確化し、改ざんを防止する。 |
データの削除または改ざんへの対策 | 電子データの削除や訂正ができないシステムを利用する、またはこれらの記録が残るシステムを利用することで、改ざんを防止する。 |
可視性の確保
可視性の確保とは、電子データが必要なときにいつでも参照・出力できる状態であることを意味します。具体的には、次の要件を満たす必要があります。
要件 | 説明 |
---|---|
見読性の確保 | 電子データの内容を、画面または書面に見やすく表示・出力できること。 |
検索機能の確保 | 電子データの内容を、取引の年月日やその他の日付、金額、書類の種類などの項目で検索できる機能を有すること。 |
システム関係書類の備え付け | 電子データの管理に関するシステムの概要を記載した書類を備え付けること。 |
これらの要件を満たすことで、電子データの信頼性を確保し、税務調査においてもスムーズに対応できます。
※参考:国税庁「電子帳簿保存法が改正されました」2021年12月改訂
電子帳簿保存法に対応した経費精算システムの主な機能
電子帳簿保存法に対応した経費精算システムには、法令遵守を支援し、業務効率化を促進するさまざまな機能が搭載されています。
タイムスタンプ
タイムスタンプは、電子データの作成日時や受領日時を証明する機能です。改ざん防止の観点から、真実性を確保するための措置としてタイムスタンプは欠かせません。電子帳簿保存法に対応した経費精算システムであれば、おおむねどのソフトにも搭載されています。
データの検索
検索機能は、膨大な電子データから必要な情報を素早く見つけ出す機能です。キーワードや日付、金額などの条件を指定することで、目的のデータへ簡単にアクセスできます。取引をはじめとした日時、取引先、取引金額がわかれば要件としては問題ないものの、その他の条件でも検索できると普段遣いとして便利です。
領収書のスキャンおよびOCR
領収書のスキャンは、紙の領収書を電子データに変換しシステムに登録する機能です。またOCR機能があれば、スキャナやスマートフォンで撮影した領収書の文字情報を読み取ってデータ化できます。ただし解像度が200dpi以上、階調が256階調以上など制限があるため、これらの要件をクリアしたスキャンができるかはチェックしておきましょう。
クレジットカードやICカードとの連携
クレジットカードやICカードとの連携があれば、利用明細をシステムに取り込むことで手入力する手間を省きます。また、利用明細と領収書を自動で紐付けられれば、さらなる効率化を目指せます。電子帳簿保存法の直接的な要件ではないものの、効率化の観点ではあわせて搭載されているのが好ましいでしょう。
電子帳簿保存法に対応した経費精算システムのメリット
電子帳簿保存法に対応した経費精算システムを導入して得られるメリットは次のとおりです。
業務の効率化
電子帳簿保存法に対応した経費精算システムを導入することで、領収書の収集や申請書の記入、承認、経理処理などにかかるプロセスを効率化できます。領収書のスキャンやOCR機能、ワークフローの自動化が、申請者と承認者、経理担当者の負担を軽減してくれます。
コストの削減
電子帳簿保存法に対応した経費精算システムなら、印刷費や郵送費、保管スペースを削減できます。効率化による人件費削減も見込めるため、導入に費用がかかったとしてもトータルでむしろコストを削減できる可能性もあるでしょう。
多様な働き方への対応
電子帳簿保存法に対応した経費精算システムは、クラウドで稼働するサービスが多いため、場所を選ばずに経費精算が可能です。紙の領収書が不要なら、出勤して原本を提出せずに済むので、リモートワークの促進につながります。
コンプライアンスの順守
電子帳簿保存法に対応した経費精算システムを導入することで、法令で定められた要件を満たした形で電子データを保存できます。また承認フローの明確化、不正検知、証憑の自動照合などで不正を防止し、内部統制を強化しましょう。
電子帳簿保存法に対応した経費精算システムの選定ポイント
電子帳簿保存法に対応した経費精算システムを選定する際は、いくつかのポイントがあります。代表的なポイントについて解説します。
OCRの精度
OCRの精度はシステムによってまちまちなため、無料トライアルやデモにて比較しましょう。OCRの精度が低いと手入力での修正が入り、かえって手間が増えてしまいます。公式サイトで紹介されている数値は各社が定める方式に則ったケースでの測定値なため、自社で想定される領収書にて読み取りの精度を確かめましょう。
JIIMA認証の取得
電子帳簿保存法への対応有無は各公式サイトに記載があるものの、まとめてチェックしたいならJIIMAの電帳法スキャナ保存ソフト法的要件認証製品一覧がおすすめです。対応しているすべてのサービスが載っているわけではないものの、JIIMAによる認証を取得しているシステムは一覧としてまとまっているので、参考にするとよいでしょう。
法改正に対する対応やサポート
経費精算システムを選ぶ際には、法改正へ迅速に対応してもらえるか確認しましょう。対応方法が不明な場合にすぐに回答してもらえるようなサポート体制か調査できるとなおよいです。電話やメールでのサポートはもちろん、チャットサポートやFAQなど、さまざまなサポート手段が用意されていると安心です。
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電子帳簿保存法に対応した経費精算システム5選
マネーフォワード クラウド経費 - 株式会社マネーフォワード
マネーフォワード クラウド経費は、スマホアプリで領収書を電子化できる経費精算システムです。電子マネーやクレジットカードの明細を取得する機能にて、科目を自動で分類してそのまま経費に登録できます。マネーフォワード クラウド経費には次のような特徴があります。
- 2,500以上※のサービスと連携して経費申請をサポート
- 領収書画像と明細データを一つの画面でチェック
- JIIMAの電帳法スキャナ保存ソフト法的要件認証と電子取引ソフト法的要件認証を取得
※出典:マネーフォワード「マネーフォワード クラウド経費 公式サイト」2024年10月4日閲覧
ジョブカン経費精算は、経費精算にかかる時間を約10分の1※にできる経費精算システムです。乗換案内連携やICカードの読み取り機能が搭載されており、経費申請のミスや手間を減らします。ジョブカン経費精算には次のような特徴があります。
- 検索機能により過去の申請の確認がスムーズにできる
- 仕訳・振込データを自動生成して工数を削減
- 初期費用無料で、1ユーザーあたり月額400円と低価格
※出典:DONUTS「ジョブカン経費精算 公式サイト」2024年10月4日閲覧
BIZUTTO経費 - アルプスシステムインテグレーション株式会社
BIZUTTO経費は、業務効率化機能が充実した、無駄のない価格体系の経費精算システムです。交通系電子マネー決済や「駅すぱあと」経路検索との連携にて、経費精算の工数を削減します。BIZUTTO経費には次のような特徴があります。
- 交通系電子マネーやETCカードの履歴を取り込み
- ファームバンキングと電子マネー送金から選べる送金方法
- 2年目以降は月額費用が半額になり続けやすい
バクラク経費精算は、領収書の重複を検知して不正を防止する経費精算システムです。申請時や承認時にスキャナ保存要件に適合しているかを判定して、電子帳簿保存法とインボイス制度へスムーズに対応します。バクラク経費精算には次のような特徴があります。
- 最大100枚の領収書を数秒でデータ化する高精度AI
- 軽減税率やインボイス制度の登録番号を判定し、不正やミスを防止
- 経理業務の作業量を75%※削減
※出典:LayerX「バクラク経費精算 公式サイト」2024年10月4日閲覧
楽楽精算は、さまざまな形式で受領する領収書や請求書を一元管理できる経費精算システムです。規定違反チェック機能にて自動でブロック・伝達されるので差し戻しのやり取りを減らせます。楽楽精算には次のような特徴があります。
- 英語対応のため日本語が不慣れな従業員も使いやすい
- 設定の自由度が高く、業務や成長に合わせて柔軟にカスタマイズ
- 満足度94%※のカスタマーサポート
※出典:ラクス「楽楽精算 公式サイト」2024年10月4日閲覧
経費精算システムを活用し電子帳簿保存法へ対応しよう
電子帳簿保存法への対応は、企業にとって避けては通れない課題です。適切な経費精算システムを導入することで、法令遵守はもちろん、業務効率化やコスト削減、内部統制強化など多くのメリットを享受できます。
経費精算システムの導入を検討する際には、スキャンの精度、法改正への対応、サポート体制などを押さえて慎重に選ぶことが大切です。今回紹介した選定ポイントやシステムを参考に、ニーズに合ったシステムを選び、電子帳簿保存法へ確実に対応しましょう。