社内SNSとグループウェアの違いとは?導入目的・機能面を比較
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社内SNSとグループウェアの違い
社内SNSとは、従業員同士の気軽なコミュニケーションや情報交換を目的としたコミュニケーションツールを指します。
一方のグループウェアは、スケジュール管理や勤怠管理を含めた業務全体の効率化を目的としたビジネスツールです。
社内SNSがコミュニケーションを重視しているのに対して、グループウェアは業務効率化を重視しています。
このように社内SNSとグループウェアは、「ツールが開発された背景や目的」が異なります。そのため、搭載されている機能やインターフェースにも違いが見られます。
ツールは目的に合わせて選ぶことが大切です。そこでまずは、社内SNSとグループウェアの主な導入目的と、目的達成のために搭載されている機能の違いについ解説します。
社内SNSの導入目的とは?
社内SNSは、従業員同士のコミュニケーション活性化を目的として導入されることが多いツールです。
従来使用されてきたメールは、複数人でのコミュニケーションが取りにくく、過去のやり取りを参照しにくい課題がありました。業務内容に関するディスカッションがスムーズにできないと感じたことがある方も少なくないでしょう。
社内SNSは、LINEやX(旧Twitter)ように円滑なコミュニケーションを目的としているため、一対一のコミュニケーションはもちろん、複数名でのディスカッションも容易に行えます。過去のやり取りも時系列順に追えるため、業務の状況を把握しやすいのも長所といえます。
そのほかにも、チャット内に絵文字が用意されていたり、拍手やリアクションボタンを押せたりと、気軽にコミュニケーションを行えます。
グループウェアの導入目的とは?
グループウェアは、業務の効率化に重点を置いているため、チャットの他に「スケジュール管理」や「オンラインストレージ」「ワークフロー」など業務に役立つ機能を多く搭載しています。
ほとんどのグループウェアでビジネスチャットを利用できますが、あくまで主目的は業務の効率化です。社内SNSと比べて、実装されている絵文字やリアクションが少なく、「作業促進を目的としたチャット」として実装されている傾向があります。
社内SNSの多くは気軽にグループや掲示板を開設できるのに対して、グループウェアでは情報システムに開設の意図や招待者のリストを提示して認可を得る必要がある点も、導入目的からくる違いといえるでしょう。
社内SNSとグループウェアの機能の違い
社内SNSとグループウェアには機能面での違いも存在します。まずは次の比較表をご覧ください。
社内SNS | グループウェア | |
---|---|---|
プライベートチャット | ◯ | ◯ |
グループチャット | ◯ | ◯ |
タスク管理 | ◯ | ◯ |
グループ作成 | ◯ | △(管理者の同意が必須) |
メッセージ投稿 | ◯ | ✕ |
ファイル共有 | △ | ◯ |
スケジュール管理 | ✕ | ◯ |
電子メール | ✕ | ◯ |
ワークフローシステム | ✕ | ◯ |
オンラインストレージ | ✕ | ◯ |
上記は一般的な社内SNSとグループウェアの機能面の違いについて表にまとめたものです。もちろんサービスによって備わっている機能は違うので、導入時は、自社にとって必要な機能が備わっているか確認する必要があります。
社内SNSの機能の特徴
- コミュニケーションに特化した機能が揃う
- 業務効率化に関する機能には制限がかかっている傾向
- グループ作成の自由度が高い
社内SNSには、グループウェアと同じように「タスク管理」や「ファイル共有」機能が搭載されているツールもありますが、あくまで目的は、コミュニケーションの円滑化です。
そのため、グループウェアに比べてタスク管理の柔軟性が低かったり、共有できるファイルに容量上限が設定されていたりと、業務効率化に関する機能に制限があるケースが多いです。
一方で、機能が「コミュニケーション」に特化していることからインターフェースは使いやすい傾向あります。次のようにグループも細分化できます。
- 全社向けの情報共有
- 部署向けの情報共有
- プロジェクト向けの情報共有
- 小チーム向けの情報共有
- 個人向けの情報共有
グループや状況に合わせて情報の共有範囲を最適化しやすいメリットがあります。
グループウェアの機能の特徴
- 業務効率化に特化した機能が揃う
- オンラインストレージやファイル管理ができる
- グループ作成の自由度が低い
グループウェアは、業務効率化を目的としたツールのため、業務効率の改善につながる機能を幅広く搭載しています。たとえば、タスクやスケジュール管理、ワークフローといった機能です。
オンラインストレージ機能を搭載していることも多く、ファイル共有に関しても社内SNSよりも使いやすい傾向があります。
社内SNSの多くは、ファイルは共有できてもフォルダ管理までは対応していないことが多いため、最新版のファイルは共有後に別途管理が必要です。
一方で、Teamsのようにオンラインストレージ機能があるグループウェアには、ファイルの保管場所があります。プロジェクトで使用しているファイルを確認しやすい点は大きなメリットといえるでしょう。
ただし、グループ作成が「プロジェクトごと」「部署ごと」など仕事基準になるため、社内SNSと比べて情報の共有範囲における自由度は低いです。
機能が同じでも違いがある
社内SNSとグループウェアは導入目的が異なるので、同じ機能であっても違いが存在します。そのためツール導入時は、それぞれの違いを把握し、目的にあったサービスを選びましょう。
参考までに、各ツールのメリットとデメリットをまとめておきます。
メリット | デメリット | |
---|---|---|
社内SNS | ・コミュニケーションの活性化に特化 ・情報の公開範囲を柔軟に設定可能 ・絵文字による感情表現に対応 ・機能特化による控えめな費用感 |
・ファイル管理やスケジュール管理は不得意 |
グループウェア | ・業務効率の改善に役立つ豊富な機能 ・ファイル管理やスケジュール管理も可能 |
・絵文字は少なめ ・機能が豊富な分、費用は高め ・情報の公開範囲の自由度は限定的 |
もっとも大きな違いは、ツールの導入によって得られる効果です。
- 「コミュニケーションをスムーズにしたい」
- 「社員の関係性を良くしたい」
- 「コミュニケーションを促進したい」
といった方は、社内SNSが向いています。
一方、次のような方はグループウェアを検討しましょう。
- 「包括的に業務効率を改善できるツールが欲しい」
- 「コミュニケーションの促進は必要ない」
また最近では、社内SNSやグループウェアと似たツールとして「社内ポータル」も注目されています。掲示板のようなサービスやYahooのような情報の玄関口となるサービスを探している方は、社内ポータルを検討してみてもよいでしょう。
社内SNS・グループウェアと社内ポータルの違い
社内SNS・グループウェアと近いシステムに社内ポータルも存在します。「ポータル」とは玄関、入り口のことを指し、GoogleやYahoo!のように検索の起点となるWebサイトのことです。
社内ポータルとは「ポータルサイト」のように社内の情報やシステムにアクセスする際の起点となるシステムのことを指し、社内SNSもグループウェアを使用するのも社内ポータルが起点になると考えられます。
よって、社内ポータルと社内SNS・グループウェアと異なった概念です。
次の記事ではより詳しく両者を比較しています。導入に関するメリット・デメリットも紹介しているので合わせてご参照ください。
また社内SNSとグループウェアのそれぞれについて、より詳しく知りたい方は次の記事も参考にしてください。
おすすめ社内SNSシステム
おすすめの社内SNSシステムを紹介します。
Microsoft 365 (旧称 Office 365) - 日本マイクロソフト株式会社
- OfficeをはじめMicrosoftのサービスと連携可能
- 社内SNSサービス「Viva Engage」を完備
- 社内交流と同時に業務効率化も図れる
Microsoft 365(旧Office 365)はマイクロソフト社が提供しているクラウドサービスです。Windows OSからOfficeツール、Teamsなどさまざまなサービスをパッケージ利用できます。
パッケージの中に「Viva Engage」という社内SNSサービスが含まれており、従業員コミュニケーションの促進、業務効率化が可能です。Viva Engageの「コミュニティ」から会話やファイル、イベント管理などを行えます。テキストでの会話だけでなく、ボタンをクリックするだけで称賛や投票も可能です。
文書作成や表計算、ビデオ会議、タスク管理、カレンダー、メールなどMicrosoftの既存サービスも統合的な利用できます。社内の交流を図れるうえに、チームの生産性向上にもつながる便利なツールといえるでしょう。
- ビジネスシーン向けのチャットサービス
- シンプルで誰でも操作しやすい設計
- 社外の従業員やフリーランスも招待できる
Chatwork(チャットワーク)はビジネスシーン向けのチャットサービスです。社内SNSとしても広く利用されており、チャットをはじめファイル共有やタスク管理、ビデオ通話の4機能を搭載しています。
チャット機能ではメッセージ検索やグループチャット、ピン機能(チャットをピン留めできる)などが揃っています。他社の従業員や外注先のフリーランスなど社外の人も招待可能です。社内ファイル管理では共有からアップロード、プレビューまで対応しており、ビデオ通話では画面共有しながらの会議ができます。
Chatworkは管理画面が見やすいです。チャット先が一覧で表示され、タスクやブックマークなどもトップページで確認できます。社内SNSや日報報告として優れたツールといえるでしょう。ブラウザだけでなくアプリ利用も可能です。強固なセキュリティ対策が行われているうえ、国産アプリケーションのため安心して利用できるでしょう。
- アクティブユーザーが1,200万人を超えるビジネスチャット
- 目的に応じて3つの会話チャネルを選択可能
- 外部アプリの通知もSlackに一元化できる
SlackはDAU(日間アクティブユーザー数)が世界で1,000万人※1を超えるビジネスチャットツールです。チームやプロジェクトごとに専用のチャンネルを作成し、チャット形式で情報を共有できます。
チャンネルは、メンバー全員に会話を公開する「パブリックチャンネル」、招待されたメンバーのみが見られる「プライベートチャンネル」、他社のワークスペースとつながれる「共有チャンネル」の3種類です。目的に応じてチャンネルを選択できます。
チャットではテキストを送るだけでなく、絵文字によるリアクション機能やファイルのアップロード、音声・動画クリップの録音といった機能も利用できます。Slackのアプリディレクトリには2,500以上※2のアプリが公開されており、ZoomやGoogle Calendar、Outlookなど有名ツールも多いです。既存ツールを連携させることで、通知もSlackに一元化できます。
※1 出典:Slack「Slack ユーザー数全世界で1,200万人到達!」(2024年3月25日閲覧)
※2 出典:Slack「時間を自分で管理するためのシンプルな Slack 活用法」(2024年3月25日閲覧)
- エンゲージメント向上や社内ポータルなど目的に応じて利用可能
- ピアボーナス®との親和性が高い機能も充実している
- サポートでは担当者が設計から運用までを伴走してくれる
TUNAGは、株式会社スタメンが運営しているプラットフォームです。エンゲージメント向上や社内報、社内ポータル、理念浸透など目的に応じてさまざまな機能を利用できます。ダッシュボード上で組織の状態を一元管理できるため使いやすいのも魅力です。
エンゲージメント向上では、チャットやタイムラインをはじめ、互いに感謝の気持ちを送り合える「サンクスメッセージ」、称賛や成果に対する「社内ポイント」の付与など、ピアボーナス®との親和性がある機能も搭載しています。ほかにも、「社員プロフィール」によって社内コミュニケーションのきっかけを作り出す、「分析ダッシュボード」によるPDCAサイクルの向上も実現可能です。
サポート体制が充実しているのもTUNAGの特長です。同社のカスタマーサクセス担当者がツール利用の設計から運用までを伴走し、機能や活用方法を学べるコンテンツを閲覧できたり、ユーザーコミュニティにも参加できたりと充実しています。
おすすめグループウェア
おすすめのグループウェアを紹介します。
おすすめグループウェアの資料を厳選。各サービスの料金プランや機能、特徴がまとまった資料を無料で資料請求可能です。資料請求特典の比較表では、価格や細かい機能、連携サービスなど、代表的なグループウェアを含むサービスを徹底比較しています。ぜひグループウェアを比較する際や稟議を作成する際にご利用ください。
Microsoft Teams - 日本マイクロソフト株式会社
- Microsoft 365のパッケージに含まれている
- チャットから即座にビデオ通話に移行できる
- 30以上の言語翻訳に対応している
Microsoft Teamsは、Microsoftが提供するビジネスチャットツールです。先ほど紹介した「Microsoft 365」のパッケージに含まれており、チャットやファイル共有、ビデオ通話まで社内コミュニケーション・業務効率化を促す機能を搭載しています。Microsoft 365を契約していれば追加費用なしで利用可能です。
Teamsでは各機能をシームレスに連携できます。たとえば、チャットにある「ビデオ通話」をクリックするだけでビデオ会議を行えたり、Outlookに予定された会議日程をメンバー全員に通知できたり(Microsoft 365利用時)とスピーディーです。
Teamsのチャットでは30以上の言語翻訳に対応しています。「急遽海外メンバーと仕事を進めることになったけど日本語が通じない」といった場合にも役立つでしょう。ほかにも、フォントのサイズ変更やテキストの音声読み上げ機能など、あるとうれしい機能が充実しています。
Google Workspace - 株式会社サテライトオフィス
- Googleの業務効率化ツールをオールインワンで使える
- クラウドに強いためデバイスや場所に関係なく利用できる
- 強固なセキュリティ対策や第三者による監査も実施
Google Workspaceは、Googleが提供するクラウドのグループウェアです。Google Docs(文書作成・共有)、Google Drive(ファイル共有)、Gmail(メール)、Google Meet(ビデオ会議)など、業務効率化に役立つに必要なツールを一元管理できます。
Googleが運営しているためクラウドに強く、インターネット環境下での動作が速いうえ、デバイスや場所にかかわらず利用できます。オフライン環境でも利用可能です。
基本的にはクラウド管理ですが、データ暗号化やAIによる防御機能などセキュリティも強固です。第三者期間によるセキュリティやプライバシー、コンプライアンスに関する監査を定期的に受けているため、安心して利用できるでしょう。
J-MOTTOグループウェア - リスモン・ビジネス・ポータル株式会社
- 「もっと、安く、手軽に、簡単に」がモットーのグループウェア
- 累計4,000社※の導入実績と豊富なノウハウ
- MicrosoftやGoogleなど外部サービスとの連携も可能
J-MOTTOは、リスモン・ビジネス・ポータル株式会社が提供するグループウェアです。累計4,000社以上の導入実績があり、「もっと、安く、手軽に、簡単に」をモットーとし、月額3,300円(税込)から利用できます。
国産グループウェア「desknet’s NEO」をベースに独自の機能を付け加えることで、コストを抑えての利用が可能です。「予算を確保が難しい中小企業」や「敷居が低めのクラウドサービスを利用したい」といった企業から支持を集めています。
外部サービスとの連携も可能です。たとえば、Microsoft 365やGoogle Workspaceとのアカウント連携、GoogleカレンダーやMicrosoft Outlookとのスケジュール連携もできます。
※出典:リスモン・ビジネス・ポータル「サービスのコンセプトとメリット」(2024年3月25日閲覧)
目的に合わせて選ぼう
社内SNSとグループウェアの違いについて紹介しました。似たようなツールだと認識されがちですが、利用目的が異なるため用途によって活用シーンを分ける必要があります。
ただ単に導入しただけで、社内に浸透するとは限りません。サービスを選定する際には比較ポイントを押さえたり、段階的に導入したりするほか、ルールを決めておくことも大切です。それらの課題をクリアしたうえで、目的にあったサービスを選ぶようにしましょう。
こちらの記事では社内SNSのサービスについてまとめています。導入を検討されている方はぜひご参照ください。
次の記事は、グループウェアのサービスについてまとめています。合わせてご参照ください。
BOXILとは
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