不動産業界向けMAツール6選!解決できる課題と活用事例
近年、さまざまな業界・業種において、マーケティングオートメーション(MA)への関心が高まっています。経営環境がめまぐるしく変化する時代において、これまでのやり方が通用しないと感じる経営者は多く、古くから続く商慣習の影響を強く受けている不動産業界であっても影響が出始めているのです。
そこで、不動産業界の現状と課題についての説明するとともに、MAツールを導入するメリットやおすすめのソフト・ツールについて解説していきます。
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目次を閉じる
- 不動産業界におけるMAツールの活用
- MA(MAツール)とは
- 不動産業界で使えるMAツールの機能
- 不動産業界の現状と課題
- 人口の減少
- 不動産業界がMAツールを導入するメリット
- 業務負担の軽減
- 営業とマーケティングの連携の強化
- 効率的なリードナーチャリングが可能
- 不動産業界でのMAツールの選び方
- 顧客の特徴を整理し把握する
- 自社の戦略に合ったツールを選択する
- メリットだけでなくデメリットも確認する
- 不動産業界におすすめのMAツール6選
- Marketing Cloud Account Engagement (旧 Pardot)
- Adobe Marketo Engage
- SATORI
- Kairos3
- PropoCloud
- KASIKA
- MAツール導入のポイント
- リスト化すべきリードを選別しておく
- MAツールが使いこなせる人材を確保する
- 厳しい市場環境で生き残るためにMAツールの活用を考える
- BOXILとは
不動産業界におけるMAツールの活用
全体の市場規模が縮小し始めていることに加え、情報インフラの整備によって、顧客に対して効果的なアプローチをするための戦略が必要なのが、昨今の不動産業界です。
そういった変化に対応するために、現在マーケティングオートメーション(MA)を利用する不動産企業が増えており、MAを実践するためのソフト・ツールの導入を進めています。
MA(MAツール)とは
マーケティングオートメーション(MA)とは、わかりやすく言えばマーケティング業務を自動化できるシステムのことです。企業がマーケティング活動をするうえで必要となる定型的な作業や、手間やコストがかかる複雑な作業を自動化し、より効率的な事業運営を実現できます。
ただし近年は、これらの仕組みを実現するソフトウェアを指すことが多く、そういったツールのことをMAと呼ぶケースがほとんどです。付け焼刃では難しいMAの実践も、専用のツールを導入することでマーケティングの自動化を実現できるのです。
次の記事でMAツールについてより詳しく解説しています。ぜひご覧ください。
不動産業界で使えるMAツールの機能
不動産業界で有用と思われる、MAツールの機能について簡単に説明します。
フォーム作成
顧客からの問い合わせや質問用のフォームを簡単に作成できます。キャンペーンサイトを作成する際に重宝します。
スコアリング
スコアリングとは、すでにリストにある見込み客のなかから、提案や営業を受け入れやすいと考えられる人を絞り込むことです。
MAツールでは顧客を属性や嗜好、行動パターンなど、さまざまな要素からスコアリングが可能です。
リスト管理
顧客リストも管理しやすいように工夫されています。アプローチする顧客を抽出したり、複数のリストを合成したりといった作業が簡略化できます。
トラッキング
リードの行動履歴をトラッキングすることで、一人ひとりの興味や関心をデータとして取得できます。これをマーケティング活動に活かすことで、成約率を高められます。
文章管理
契約関連書類といった業務で必要となる文章(データ)を適切に管理します。必要なタイミングですぐにデータにアクセスでき、資料検索にかかる無駄な時間を削減します。
メール配信
メール配信機能は、ほぼすべてのMAツールに標準装備されているものです。
管理機能によって蓄積されたリードに関する情報を分類し、一人ひとりのニーズに沿った情報をメール配信することで、顧客ロイヤルティを高められます。
不動産業界の現状と課題
インターネットが定着し、昨今はスマートフォンやタブレットなど、モバイル端末の利用が当たり前となっています。自社のホームページを流行に合わせて作り変え、さらにスマートフォン対応のページを作成するといった、デジタル化への対応に追われている不動産業者も少なくありません。
背景として、従来どおりの営業アプローチでは、なかなか効果的な営業活動ができなくなっていることが挙げられます。
なぜなら、顧客がいつでも好きなタイミングでマッチングサイトといったサービスから、不動産や住宅情報を集められるようになっているからです。
そういった情報インフラの存在に加えて、次のような動向の変化が起こっています。
人口の減少
国内全体の傾向として、急激な少子高齢化によって、今後将来にわたって不動産を購入する主体となる若年層の母数がどんどん縮小しています。
現在「家余り」の状態が顕在化しており、新しく不動産を購入したり、長期にわたって借り受けたりする人が減少傾向にあります。不動産業界にとっては顧客数の減少を意味するため、今後ますます市場競争が激しくなると予想されるでしょう。
テクノロジーの発展
上述のように、インターネット技術は日進月歩で発展しており、顧客が自ら必要な情報を収集し、自由に比較検討できる度合いが強まっています。
不動産を購入するまでの情報収集や検討する期間が長くなる傾向にあり、従来のマス広告を利用したプロモーションの効果が低下し続けています。とくに紙媒体を用いた宣伝の訴求効果は小さくなっているといえるでしょう。
競合との差別化が困難に
インターネット上には非常に多くの不動産マッチングサイトやポータルサイトが存在しています。そのため自社サイトを作成しただけで、顧客に対して競合との差別化要素を認識してもらうのは難しいでしょう。
古くからの営業手法を続けている不動産業界でもリード(見込み顧客)を効率的に管理する体制を構築し、顧客一人ひとりの購買プロセスに応じたタイミングでアプローチするための施策が必要です。
不動産業界がMAツールを導入するメリット
MAツールを導入するメリットとしては、次の3点が挙げられます。
- 業務負担の軽減
- 営業とマーケティングの連携の強化
- 効率的なリードナーチャリングが可能
業務負担の軽減
MAツールには、マーケティング業務を支援する多くの機能が存在します。これらの機能を活用することで日ごろの業務負担が軽減し、スタッフの時間を売り上げに直結する活動に振り分けられます。
たとえばメルマガであれば、テンプレートの用意やターゲットリストの自動更新といった多くの人が面倒と感じる手作業を簡略化するため、作業をシンプルにできるでしょう。
営業とマーケティングの連携の強化
MAツールの導入によって得られるメリットとして、営業部門とマーケティング部門の連携強化で売り上げが上がることや、予算の適切な配分が挙げられます。
MAツールは顧客行動のトラッキング機能やスコアリング機能があり、顧客となる確率の高い良質なリードの抽出が可能です。これを営業部門に引き渡すことで高い成約率が得られるため、営業活動の効率が大幅に改善します。
またMAソフト・ツールはSFA(営業支援システム)といった、営業ツールと連携できることも多く、すでにこれらのツールを導入している企業はシステム連携で高い相乗効果も期待できます。
効率的なリードナーチャリングが可能
一人ひとりのリードに対してきめ細やかな対応ができるようになります。一時的に成約に至らなかった顧客に対しても、定期的にアプローチをかけることでリードとして育成でき、売り上げにつなげられます。
従来の一方的な営業手法では、リード一人ひとりに効果的なアプローチを取ることは難しく、さまざまな要因から成約に至らないケースも少なくありませんでした。
しかしMAツールを活用すれば、リードに対して定期的にフォローアップのメールを自動で送り、これまで購買に至らなかった人々がコンバージョンする可能性を高められます。
次の記事では、リードナーチャリングについてより詳しく解説しています。ぜひご覧ください。
不動産業界でのMAツールの選び方
不動産業界がMAツールを選ぶ際は、次のポイントを確認しましょう。
- 顧客の特徴を整理し把握する
- 自社の戦略に合ったツールを選択する
- メリットだけでなくデメリットも確認する
顧客の特徴を整理し把握する
MAを導入する際には、まず見込み顧客や既存顧客あらためて整理し、特徴を把握する必要があります。
アプローチすべきリード層が明確でなければ、優れたツールを導入し、マーケティングプロセスを最適化しても、的外れなアプローチになる可能性が高くなるからです。
もちろん狙うべきリード層は、アプローチを繰り返すうちに変更になる可能性もあります。しかし、そもそも導入の時点でずれていてはMAツールの効果を発揮できません。そのため一度MAツールを選び始める前に顧客を整理し、特徴を明らかにしましょう。
自社の戦略に合ったツールを選択する
MAツールは顧客に対するアプローチをサポートをするもので、誰にどういったサービスを提供するか、を決めるものではありません。
したがって、ツールの導入前に、まず営業やマーケティングに関わる戦略をしっかりと構築する必要があり、この戦略にのっとってアプローチを模索してください。
確固とした戦略がなければ、収集した顧客情報を活かせず、改善の方向性がわからなくなります。ツールによって業務の自動化をする前に、まず全体として何を目指すのか明らかにしましょう。
メリットだけでなくデメリットも確認する
導入するMAツールの選定を行う際には、メリットはもちろんデメリットを把握することも重要です。それぞれMAツールの資料や公式サイトには、多くのメリットが並べられています。
しかしもちろんそれぞれのMAツールには、デメリットや注意点も存在します。そのためメリットだけにとらわれず、マイナスポイントもあわせて探ってみましょう。このとき、複数のソフト・ツールで情報を比較するとデメリットも探しやすくなります。
不動産業界におすすめのMAツール6選
不動産業界におすすめの代表的なMAツールを紹介します。
本記事で紹介しているBtoC向けMAツールのさらなる詳細や、紹介しきれなかったサービスについてはこちらからご確認ください。
Marketing Cloud Account Engagement (旧 Pardot) - 株式会社セールスフォース・ジャパン
- スコアリング・ナーチャリングを強力にサポート
- Sales Cloudとの連携
- マーケティングのROIも測定可能
Account Engagement (旧 Pardot)は、セールスフォース・ジャパンが提供するSalesforceと一体型のMAツールです。リード創出のために必要な機能がそろっており、顧客のアクセス分析から配信メールのシナリオ設定やランディングページの作成など、営業・マーケティング活動の強力な後押しをしてくれます。また、ABテストを通じてマーケティング活動の投資対効果(ROI)の最大化にも寄与します。
Adobe Marketo Engage - アドビ株式会社
- 属性に合わせたマーケティング施策の効果検証や改善が可能
- 顧客エンゲージメント獲得への仕組み作りを実現
- 導入から運用までを支援してくれるコンサルティングサービス
Adobe Marketo Engageは課題がどこにあるかを計測し、改善するMAツールです。既存顧客に対して問い合わせ件数や決定件数、売上総額といったKPIを設定し、集客やクロージング力、成約単価のどこに課題があるかを分析してくれます。
福屋ホールディングスの事例では、メルマガの問い合わせ数が170%増加、導入から2年で初年度の3倍の問い合わせ数を獲得しています。潜在顧客へのアプローチや、既存顧客との関係継続ができておらず、デジタルマーケティングを効率的に行いたい企業におすすめです。
参考:Adobe Marketo Engageの導入事例「福屋ホールディングス」
- 的確なリードジェネレーション
- 顧客育成に強み
- LTV(顧客生涯価値)の最大化に貢献
SATORIは、リードジェネレーションを自動化してくれるMAツールの代表的ソフトです。Webサイト上でリードにコンバージョンを促したり、購買意欲を高めたりする機能に定評があります。リード育成の要ともいえるメール以外だけでなく、さまざまな顧客接点を確保することで、より確実な顧客育成が可能です。
- 低価格で導入が可能
- 初心者でもわかりやすい操作画面
- 専任の担当者がサポート
Kairos3は、初めての方でも導入しやすいMAツールです。初期費用が比較的安く、月額費用も低価格かつ従量課金制であるため、高い費用対効果が期待できます。
また使いたい機能にすぐたどり着ける、わかりやすい画面のデザインも魅力です。MAツールが初めてでも操作に迷いにくく、現場にも定着しやすいでしょう。さらに専任の担当者がシステムの導入から活用方法までサポートしてくれるため、ITスキルを持つ人材の少ない不動産業界でも安心して導入できます。
PropoCloud
- 追客の自動化
- 顧客アクションを一覧で可視化
- 物件情報への入力不要で、顧客への提案に時間を割ける
プロポクラウドは、不動産仲介に特化した自動追客ツールです。特徴としては、顧客の物件閲覧状況といった動きがわかる機能があります。この機能により、見込み客発掘の手間を大幅に削減可能です。「追客できずに他決ばかりだな…」と感じる不動産仲介会社の悩みを、解決に導いてくれます。
KASIKA
- 住宅・不動産業界に特化
- 導入社数800社以上※
- 追客活動を強化できる
KASIKAは、住宅・不動産業界に特化したMAツールです。大手の不動産会社にも多く導入されてきた実績があり、累計は800社以上にのぼります。
また業務効率の向上や、顧客管理の強化はもちろん、追客活動を強化できることもポイントです。KASIKAには自動追客機能がついているため、担当者が手間をかけることなく抜け、もれのない営業活動ができます。
※出典:KASIKA公式サイト(2023年3月27日閲覧)
MAツール導入のポイント
実際にMAツールを導入する際のポイントや注意点について解説します。
リスト化すべきリードを選別しておく
MAツールは最適な顧客に対して、最適なアプローチができるようサポートする機能が強みです。しかし、何も考えずに顧客リストばかりを増やすと、肝心の成約率の高いリードがわからなくなります。
そのため、まずどういった見込み客をリードとしてリスト化すべきなのかを確認し、定期的に見直しましょう。優れたMAツールであっても、リストの数が増えればそれだけ分析に時間がかかるため、どういった層を分析してアプローチにつなげるのかを見極めることが重要です。
次の記事では、MAツールの導入を成功させるための秘訣を、事例を交えて解説しています。ぜひご覧ください。
MAツールが使いこなせる人材を確保する
MAツールは業務システムであるため、担当者や利用者はある程度IT知識を有している必要があります。もちろん、基本的にMAツールは誰でも使いやすいようにつくられています。
しかし従業員のほとんどが営業である不動産業界においては、ITやマーケティングの知識を持つ人材が少ない、あるいはいないケースも少なくありません。とくに導入担当者はシステム開発会社とも頻繁にやり取りするため、確かなスキルを持った人材を確保しておくと安心です。
厳しい市場環境で生き残るためにMAツールの活用を考える
不動産業界で導入が進んでいるMAツールについて、基本的な解説から、実際に導入する際の注意点まで説明しました。
日本ではMAの概念自体があまり浸透していないため、しっかりとした戦略のもとで適切なMAを実現できれば、厳しさを増し続ける市場環境のなかでも確実に生き残れるでしょう。解説したポイントに注意しながら、MAツールを選定してください。
次の記事では本記事で取り上げたもの以外のMAツールを紹介し、価格・機能比較をしています。ぜひご覧ください。
BOXILとは
BOXIL(ボクシル)は企業のDXを支援する法人向けプラットフォームです。SaaS比較サイト「BOXIL SaaS」、ビジネスメディア「BOXIL Magazine」、YouTubeチャンネル「BOXIL CHANNEL」を通じて、ビジネスに役立つ情報を発信しています。
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