不動産業界向けMAツール3選!現状と課題・活用事例

近年、さまざまな業界・業種において、マーケティングオートメーション(MA)への関心が高まっています。経営環境がめまぐるしく変化する時代において、これまでのやり方が通用しないと感じる経営者は多く、古くから続く商慣習の影響を強く受けている不動産業界であっても影響が出始めています。
そこで、不動産業界の現状についての説明とともに、MAツールを市場の変化に対応するためにどのように活用していくべきかを解説していきます。
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不動産業界の現状
インターネットが定着し、スマートフォンやタブレットなどのモバイル端末が当たり前となっている昨今、自社のホームページを流行に合わせて作り変え、さらにスマートフォン対応のページを作成するなど、デジタル化への対応に追われている不動産業者は少なくありません。
その背景として、従来どおりの営業アプローチでは、なかなか効果的な営業活動ができなくなってきていることがあります。
なぜなら、顧客がいつでも自分の好きなタイミングで不動産や住宅情報を集められるようになったことが挙げられます。
そういった情報インフラの存在に加えて、以下のような動向の変化が起こっています。
人口の減少
国内全体の傾向として、急激な少子高齢化によって、今後将来にわたって不動産を購入する主体となる若年層の母数がどんどん縮小しています。
これによって、現在「家余り」の状態が顕在化しており、新しく不動産を購入したり、長期にわたって借り受けたりする人が減少傾向にあります。
これは不動産業界にとっては顧客数の減少を意味するので、今後ますます市場競争が激しくなることが予想されます。
テクノロジーの発展
上述のように、インターネットやその関連技術は日進月歩で発展しており、顧客が自ら必要な情報を収集し、自由に比較検討できる度合いがますます強まっています。
これによって不動産を購入するまでの情報収集や検討する期間が長くなる傾向にあり、従来のマス広告などを利用したプロモーションの効果が低下し続けています。特に紙媒体を用いた宣伝の訴求効果はどんどん小さくなっているといえます。
競合との差別化が困難に
インターネット上には非常に多くの不動産紹介サイトやポータルサイトが存在しており、自社サイトを作成しただけでは、顧客に対して競合との差別化要素を認識してもらうことが難しくなっています。
そのため、古くからの営業手法を続けている不動産業界でもリード(見込み顧客)を効率的に管理する体制を構築し、顧客一人ひとりの購買プロセスに応じたタイミングでアプローチするための施策を考える必要があります。
不動産業界におけるMAの活用
このように、全体の市場規模が縮小し始めていることに加え、情報インフラの整備などによって顧客に対して効果的なアプローチをするための戦略が必要となっているのが、昨今の不動産業界であるといえます。
そういった変化に対応するために、現在マーケティングオートメーション(MA)を利用する不動産企業が増えており、MAを実践するためのツールの導入を進めています。
MA(MAツール)とは
マーケティングオートメーション(MA)とは、企業がマーケティング活動をするうえで必要となる定型的な作業や、膨大なマンパワー・コストがかかる複雑な作業を自動化することで、より効率的な事業運営を実現するための運用システムのことです。
ただし近年は、その仕組みを実現してくれるソフトウェアを指すことが多く、そういったツールのことをMAと呼ぶケースがほとんどです。付け焼刃では難しいMAの実践も、専用のツールを導入することでマーケティングの自動化を実現できるのです。
また、以下の記事ではMAツールについてより詳しく解説しています。ぜひご覧ください。

MAツール活用の3つのメリット
MAツールを導入するメリットとしては、以下の3点が挙げられます。
業務負担の軽減
MAツールには、マーケティング業務を支援する多くの機能が存在します。その機能を活用することで日ごろの業務負担が軽減し、スタッフの時間を売り上げに直結する活動に振り分けられます。
たとえば、顧客にメルマガを発行している場合は、そのテンプレートが用意されていたり、配信のターゲットリストを自動で更新してくれたりなど、多くの人が面倒と感じる手作業を簡略化するため、作業がシンプルになります。
営業とマーケティングの連携の強化
MAの導入によって得られるメリットとして、営業部門とマーケティング部門の連携強化で売り上げが上がることや予算の適切な配分が実現できることが挙げられます。
顧客行動のトラッキング機能やスコアリング機能によって、顧客となる確率の高い良質なリードを抽出し、営業部門に引き渡すことで高い制約率を得ることが可能になり、営業活動の効率が大幅に改善します。

効率的なリードナーチャリングが可能
一人ひとりのリードに対してきめ細やかな対応ができるようになります。一時的に成約に至らなかった顧客に対しても、定期的にアプローチをかけることでリードとして育成でき、売り上げにつなげられます。
従来の一方的な営業手法では、リード一人ひとりに効果的なアプローチを取ることは難しく、さまざまな要因から成約に至らないケースも少なくありませんでした。
MAを活用すれば、リードに対して定期的にフォローアップのメールを自動で送ることで、これまで購買に至らなかった人々がコンバージョンする可能性を高められます。
また、以下の記事ではリードナーチャリングについてより詳しく解説しています。ぜひご覧ください。

MAツールの機能
不動産業界で有用と思われるMAツールの機能について簡単に説明しておきます。
フォーム作成
顧客からの問い合わせや質問用のフォームを簡単に作成できます。キャンペーンサイトなどを作成する際に重宝します。
スコアリング
(リード)スコアリングとは、すでにリストにある見込み客のなかから、提案や営業を受け入れやすいと考えられる人を絞り込むことです。
MAツールでは顧客を属性や嗜好、行動パターンなど、さまざまな要素からスコアリング可能です。

リスト管理
顧客リストも管理しやすいように工夫されています。アプローチする顧客を抽出したり、複数のリストを合成したりといった作業がしやすくなっています。
トラッキング
リードの行動履歴をトラッキングすることで、一人ひとりの興味や関心をデータとして取得できます。これをマーケティング活動に活かすことで、成約率を高めることが可能になります。
文章管理
契約関連書類など業務で必要となる文章(データ)を適切に管理します。必要なタイミングですぐに必要なデータにアクセス可能になり、資料検索にかかる無駄な時間を削減します。
メール配信
メール配信機能は、ほぼすべてのMAツールに標準装備されているものです。
管理機能によって蓄積されたリードに関する情報を分類し、一人ひとりのニーズに沿った情報をメール配信することで、顧客ロイヤルティを高められます。
MAツール導入のポイント
次に、実際にMAツールを導入する際のポイントや注意点について解説します。
顧客の特徴を理解しておく
MAを導入する際には、まず自社の顧客となりうる人々や、すでに顧客となっている人の特徴を理解する必要があります。
自社がアプローチすべきリード層が明確になっていなければ、いくらツールによってマーケティングプロセスを最適化しても、的外れなアプローチになる可能性が高くなります。
狙うべきリード層は、アプローチを繰り返すうちに変更になる可能性もありますが、スタートの段階である程度は明らかにしておくことが重要です。
自社の戦略に合ったツールを選択する
MAツールは顧客に対するアプローチ方法を選択するサポートをするもので、誰にどういうサービスを提供するかを決めるものではありません。
したがって、ツールの導入前に、まず自社の営業やマーケティングに関わる戦略をしっかりと構築しておく必要があり、それにしたがってアプローチを模索することが重要です。
確固とした戦略がなければ、収集した顧客情報を活かせず、改善の方向性がわからなくなります。ツールによって業務の自動化をする前に、まず全体として何を目指すのかを明らかにしておきましょう。
リスト化すべきリードを選別しておく
MAツールは最適な顧客に対して、最適なアプローチができるような機能が強みです。しかし、何も考えずに顧客リストばかりを増やすと、肝心の成約率の高いリードがわからなくなります。
そのため、まずどういった見込み客をリードとしてリスト化すべきなのかを確認しておき、定期的に見直す必要があります。優れたMAツールであっても、リストの数が増えればそれだけ分析に時間がかかるので、どういった層を分析してアプローチにつなげるのかを見極めることが重要です。
また、以下の記事ではMAツールの導入を成功させるための秘訣を事例を交えて解説しています。ぜひご覧ください。

代表的MAツール3選
不動産業界におすすめの代表的なMAツールを紹介します。
本記事で紹介しているBtoC向けMAツールのさらなる詳細や、紹介しきれなかったサービスについては以下からご覧になれます。
Marketing Cloud Account Engagement (旧 Pardot) - 株式会社セールスフォース・ジャパン
- スコアリング・ナーチャリングを強力にサポート
- Sales Cloudとの連携
- マーケティングのROIも測定可能
Account Engagement (旧 Pardot)は、セールスフォース・ジャパンが提供するSalesforceと一体型のMAツールです。リード創出のために必要な機能が揃っており、顧客のアクセス分析から配信メールのシナリオ設定、ランディングページの作成など、自社の営業・マーケティング活動の強力な後押しをしてくれます。また、ABテストなどを通じてマーケティング活動の投資対効果(ROI)の最大化にも寄与します。
Adobe Marketo Engage - アドビ株式会社
- 属性に合わせたマーケティング施策の効果検証や改善が可能
- 顧客エンゲージメント獲得への仕組み作りを実現
- 導入から運用までを支援してくれるコンサルティングサービス
Adobe Marketo Engageは、既存顧客に対して問い合わせ件数や決定件数、売上総額といったKPIを設定し、集客やクロージング力、成約単価のどこに課題があるのかを計測し改善するMAツールです。
福屋ホールディングスの事例では、メルマガの問い合わせ数が170%増加、導入から2年で初年度の3倍の問い合わせ数を獲得しています。潜在顧客へのアプローチや、既存顧客との関係継続ができておらず、デジタルマーケティングを効率的に行いたい企業におすすめです。
参考:Adobe Marketo Engageの導入事例「福屋ホールディングス」
SATORI - SATORI株式会社
- 的確なリードジェネレーション
- 顧客育成に強み
- LTV(顧客生涯価値)の最大化に貢献
SATORIは、企業のリードジェネレーションを自動化してくれるMAツールの代表的製品です。Webサイト上でリードにコンバージョンを促したり、購買意欲を高めたりする機能に定評があり、リード育成の要ともいえるメール以外だけでなく、さまざまな顧客接点を確保することで、より確実な顧客育成を可能にしてくれます。
- 追客の自動化
- 顧客アクションを一覧で可視化
- 物件情報への入力不要で、顧客への提案に時間を割ける
プロポクラウドは、不動産仲介に特化した自動追客ツールです。特徴としては、顧客の物件閲覧状況などの動きが分かる機能があります。この機能により、見込み客発掘の手間を大幅削減に繋がります。「追客できずに他決ばかりだな…」という仲介会社の悩みを解決に導いてくれます。
厳しい市場環境で生き残るためにMAツールの活用を考える
不動産業界で導入が進んでいるMAツールについて、基本的なMAの解説から、実際に導入する際の注意点まで説明してきました。
日本ではMAの概念自体がそこまで浸透していないので、しっかりとした戦略のもとで適切なMAを実現できれば、厳しさを増し続ける市場環境のなかでも確実に生き残っていけるでしょう。解説したポイントに注意しながら、自社に適したMAツールの選定を行うようにしてください。
また、以下の記事では本記事で取り上げたMAツール以外のツールについての解説や価格・機能比較をしています。ぜひご覧ください。

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