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エンゲージメント・マーケティングとは?顧客価値向上手法の基本解説

最終更新日:(記事の情報は現在から309日前のものです)
エンゲージメント・マーケティングとは、企業と顧客とのつながりや関与を強化し、ブランドを育むマーケティング手法です。顧客への提供価値を高めることは非常に重要であり、そこにはマーケティングオートメーション(MA)の活用が欠かせません。今回はエンゲージメント・マーケィングという用語をMAツールも含めて詳しく解説します。

エンゲージメント・マーケティングとは

エンゲージメントは一般的に約束や結婚を表す言葉ですが「理解しようとする意思を持ってだれかにかかわること」という意味を持っており、これをマーケティングに応用することで顧客との「つながり」や「関与」を強めていくことを重視した手法をエンゲージメント・マーケティングといいます。

マーケティングにおけるエンゲージメントという言葉の歴史は意外と古く、2004年頃にはアメリカで定義されたのが最初といわれています。Facebookが普及した2009年頃から広く定着し、現在では多くのマーケターにとって重要な意味を持つまでになっています。

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エンゲージメント・マーケティングが必要な理由

顧客との「つながり」や「関与」を重視するエンゲージメント・マーケティングが必要となってきた理由は、高度に進化したネットワーク社会がもたらす、顧客の購入プロセスであるカスタマージャーニーの変化が関係しています。

カスタマージャーニーについての知識に不安がある方は先に以下の記事を読むことをおすすめします。

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従来のカスタマージャーニー

ネットワークが進化し、だれもが簡単に情報を入手したり発信したりできるようになる以前、マーケティングの持つ役割は、次のような企業側から顧客への一方通行ともいえる手法でした。

  • 市場の顧客ニーズを把握
  • ニーズに合わせた広告戦略で認知度向上
  • 顧客接点の創出

これらの手法が成り立っていたのは、テレビCMや雑誌広告などの媒体を多くの顧客が共有していたからであり、企業からのメッセージが十分に行き渡っていた時代だといえます。

従来型のカスタマージャーニーは、このようにして企業が生み出した顧客接点を元に「情報収集」「評価検討」を行い、「意思決定」から購入にいたる流れになっていました。

現代のカスタマージャーニー

スマートデバイスやSNSが普及し情報発信を自在に行えるようになった現在では、カスタマージャーニーにおいて購入の直前までの過程をオンラインで済ませる顧客が多くなってきました。

つまり、さまざまな広告媒体が存在する中で、顧客は自らが必要な情報を選択して収集・評価検討を行ったうえで意思決定をオンラインで行うようになり、従来型のマーケティング手法では企業からのメッセージが伝わらなくなっているのです。

こうした状況で効果的なマーケティングを行うには、適切なタイミングで最適な情報を顧客に届け、意思決定までのスムーズな導線を用意することが求められており、リードナーチャリングおよび、顧客との長期的な関係性強化が重要視されます。

そのためには顧客エンゲージメントの強化が必要であり、多くのマーケターにエンゲージメント・マーケティングが必要とされているのです。

マーケティングの変遷

上述したカスタマージャーニーの変化を踏まえ、顧客との長期的な関係性強化を実現するために「ブランドの進化や発展プロセスに顧客を招き、継続的に参加してもらうことでつながりを築いていく戦略」ということができるでしょう。

次でエンゲージメント・マーケティングが主流になるまでの企業と顧客の関係性の変遷を振り返ることで重要なポイントを明確にしていきます。

マスメディアの時代

マスメディアを活用した従来のマーケティングでは、製品やサービスの販売・提供が企業の主な目的であり、ニーズの存在する不特定多数の市場に向けて機能性を追求した製品開発を価値として提供していました。

このため、企業と顧客との関わりはOne to Many(ワントゥメニー)という一方通行のものとなります。

One to Oneの時代

マスメディアによるマーケティングが力を失い、新規顧客開拓に多くのコストがかかるようになると、顧客満足度の向上と継続的な利用を促すことを目的とし、個別の顧客それぞれに向けて差別化されたポジショニングを行い、機能性とともにつながりという情緒性を提供するようになります。

これがOne to Oneマーケティングであるといえます。

One to Oneマーケティングをさらに詳しく知りたい方は以下の記事をご覧ください。

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エンゲージメントの時代

エンゲージメント・マーケティングはOne to Oneを一歩進め、個別の顧客とのつながりを保ったまま、企業ブランドの構築コミュニティに参加してもらうという、企業のミッションや理念という、より精神的な面をあわせて提供することによって顧客エンゲージメントを強化します。

これは、Many to Many(メニートゥメニー)マーケティングともいえる手法です。

エンゲージメント・マーケティングの戦略設計

精神的な面の提供とともに、顧客エンゲージメントを強化していくためには、次のような戦略が有効です

エンゲージメントの向上戦略

エンゲージメント・マーケティング戦略に求められる要素としては「透明性」「双方向性」「即時性」「円滑化」「エンゲージメント」「共同制作」「コラボレーション」「経験」「信頼」というものを挙げることができ、できるだけ多くの要素をマーケティングに持ち込む必要があります。

次でこれらの要素を満たすマーケティング例を説明していきます。

質の高いコンテンツ

さまざまな選択肢を持つ顧客は、同様のコンセプトを持つWebサイトを比較しながら閲覧する傾向があります。

ライバルより質の高いコンテンツを用意することによって、顧客が離脱しても他との比較後に戻ってくる可能性が大きくなり、エンゲージメントや信頼を獲得できるようになります。

動画とオーディオ

獲得したエンゲージメントや信頼をより深くするため、動画やオーディオなどのメディアコンテンツの充実は非常に重要です。

メディアコンテンツが充実していれば、顧客がよりWebサイトに没頭する可能性が高まるばかりか、リアルタイムでのイベント配信をおこなうことによって、「双方向性」や「即時性」を獲得することも可能です。

ユーザーの参加

エンゲージメントが高まったユーザーは、発言や情報発信をする傾向にあります。

コメント欄を充実させたり、フォーラムを開設したりすることによって、こうした顧客のニーズを満たすことができ、「共同制作」や「コラボレーション」という要素を満たすことが可能です。

メーリングリストの活用

こうして顧客として獲得したユーザーをより高価なものを買ってもらうアップセルや関連させて他の商品も買ってもらうクロスセルへ導くため、メーリングリストを活用することが必要になります。

エンゲージメントが強化された顧客は、対象企業のサービスに自ら関心を持つ傾向があるため、適切なタイミングで最適な情報を提供する手法を模索する必要があります。

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ブランディング

エンゲージメント・マーケティングにおいて、もっとも重要になるのがブランディングです。

ブランドを確立するには長い時間を要しますが、それに顧客が参加することによって「経験」という価値をもたらすことが可能となり、コミュニティの一部として参加できているという感覚を与えることができるのです。

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エンゲージメント最適化戦略

それぞれが漠然としがちな個々の要素を構成するエンゲージメントを最適化し、エンゲージメント・マーケティングを効果的に実行していくために、次の内容を理解しましょう。

成功の定義

エンゲージメント・マーケティングを行った結果、どのような状態になれば成功したといえるのか、定量的な基準をもって定義する必要があります。

さまざまな要因によって基準が変わってしまう可能性が大きいため、常に判断基準を評価する必要もあるでしょう。

選択肢の限定化

顧客エンゲージメントを高め、自ら参加する意思を促すためには、選択肢を減らしていくことが重要です。

「目的のコンテンツまで数多くのクリックが必要」「資料ダウンロードに多くの記入項目が必要」など、顧客がめんどくさいと感じるものは顧客の離脱率を大きくする要因ともいえます。

言葉の選定

Webサイトを訪れた顧客が何をすべきかを明確に示す必要があり、その際の言葉選びは、顧客の行動喚起に大きな影響を与えます。

A/Bテストなどで充分な検討を行い、ノウハウを蓄積していくことが重要です。

すぐに始めて改善し続ける

顧客エンゲージメントを強化するためには試行錯誤が必要ですが、考えているだけではなく迅速に実行し、その結果によって試行錯誤して改善していくことが重要です。

マーケティングオートメーション(MA)を活用

さまざまな戦略を元にエンゲージメント・マーケティングを行う過程で、設定した指標に沿って効果的な施策を実行するためには、マーケティングオートメーション(MA)ツールを活用が欠かせません。

特に成功を定義するための定量化、メーリングリストの活用には絶大な効果があるといっていいでしょう。

ペルソナ設定とシナリオ設計

従来型のマーケティングから脱却して顧客エンゲージメントを高めるには、不特定多数であった顧客を、個々のニーズや人物像を元にしたペルソナ(架空の個人)として設定し、どのようなカスタマージャーニーをたどるのか、シナリオとして設計する必要があります。

シナリオに沿ったメール配信で顧客動向を把握

MAツールは、こうして設定されたペルソナ個々のシナリオに沿って、自動的にメール配信を行います。

それによって得られた顧客のアクションを記録し、分析することによって顧客動向が把握可能となり、次に取るべき施策を自然と明らかになります。

One to Oneコミュニケーション

MAツールがシナリオに沿ったナーチャリングを行うことにより、スコアという定量的な基準を設定することができ、それぞれのペルソナに最適なOne to Oneコミュニケーションが実現します。

改善点をエンゲージメントに活用

こうした過程で得られた改善点を元に上述したような要素を盛り込むことで、顧客エンゲージメントを高めていくことが可能になります。

エンゲージメント・マーケティングの事例

エンゲージメント・マーケティングを実施した企業の事例を紹介します。

Apple

Mac OSという、強烈な個性を持ったオペレーティングシステムを持つAppleは、かつてWindowsのようにそれを互換機メーカーに搭載することを許していました。

しかし顧客エンゲージメントを強化するためにそれを一切廃止、販売網も一新し、統一されたイメージの顧客体験をもたらす、Apple Storeのみで取り扱うことを基本としたのです。

この英断は、Appleがテクノロジーだけでない、ファッション・品質・個性というブランド価値を生み出すことにつながり、iPhoneによって全世界にコミュニティを作り上げることに貢献しているのです。

Starbucks

サイレンのシンボルが象徴するように、実店舗のイメージを最大限ブランディングに活かしているのがStarbucksです。

居心地の良さを追求した高級感あふれる店舗づくりや、徹底した従業員教育は、顧客が何度も訪れたいというエンゲージメントを高める工夫が施されているといえるでしょう。

また、顧客の帰属意識をくすぐるように、アイディアを投稿できるWebサイトを構築するところなどは、前文で紹介したユーザーの参加を促す典型的な取り組みといえます。

Zappos.com

現在はAmazonの傘下となっていますが、靴やアパレル関連の通販小売店Zappos.comは、徹底したカスタマーサポートを行うことで顧客満足度とエンゲージメントを向上させ、かつては、現在の親会社であるAmazonを脅かすまでの存在となっていました。

その手法は、通販業界では珍しいといえる巨大コールセンターを活用したもので、一人の顧客に何時間も電話応対するという、採算を度外視したものでした。

これはまさにOne to Oneを実践し、追求したものといえます。

おすすめのMAツール

エンゲージメント・マーケティングを実現するために必須となるMAツールを厳選して紹介します。この機会に導入を検討されてはいかがでしょうか。BtoC向け、BtoB向けそれぞれの資料を、次のボタンからまとめてダウンロードしていただけます。

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One to Oneマーケティングの先にあるエンゲージメント

エンゲージメント・マーケティングとは、企業のブランディングに個々の顧客を巻き込み、理念やミッションという精神的な価値を提供することによって、コミュニティを形成していくことだといえます。

それによって長期的に継続した顧客との関係性を構築できるだけでなく、顧客自らが広告としてサービス価値の拡散や向上にも寄与することになるのです。

One to Oneマーケティングのさらにその先にあるといえる、こうした顧客価値の創造は、MAツールを活用した地道な試行錯誤が必要だといえるでしょう。

まずはそのきっかけとなるべき、MAツールの導入と活用が重要となります。
この機会にMAツールを導入してエンゲージメント・マーケティングを強化しませんか。

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