見込み顧客育成(ナーチャリング)はなぜ必要?CRM導入でリード育成を実現する方法
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見込み顧客育成とは
見込み顧客育成とは、集客活動を通じて獲得した潜在層に向けてさまざまなアプローチを行うことにより、将来的に顧客へとつなげていく中長期に渡る戦略・活動です。見込み顧客をリード、育成をナーチャリングと呼ぶことからリードナーチャリングとも呼ばれます。
従来の営業スタイルでも集客戦略を立案・実行し、営業活動を通じて顧客化へとつなげる手法は行われてはいました。しかし、顧客それぞれの興味段階に応じてきめ細かなアプローチを行うことにより、より効果的に購買意欲を高めていくリードナーチャリングの重要性が注目されています。
リードとリテンション
獲得した見込み顧客、もしくは購買までいたらなかった潜在顧客を誘導(Lead)することからリードと呼びます。それに対し、「既存顧客を維持すること」をリテンションといい、一般的に顧客管理のうえで重視されるのはリテンションの方になります。
それではなぜリードナーチャリングが注目されているのでしょうか。
それは、企業に利益をもたらす、ロイヤリティ顧客を新規獲得するためにほかなりません。
ロイヤリティ顧客獲得の重要性
ロイヤリティ顧客はリピーターとして商品やサービスを継続的に購買してくれます。さらに、エバンジェリストとしてブランドイメージを高めるクチコミの情報拡散も期待でき、さらに利益の大部分を支えている事実があります。
しかし、リテンションによってロイヤリティ顧客の維持に注力したとしても、このままでは将来的にボリュームが小さくなるのは明白です。
つまり、企業が安定的に利益を確保して存続していくためには、ロイヤリティ顧客のボリュームを増やすことが必要であり、そのためのリードナーチャリングが重要です。
ロイヤリティ顧客化への流れ
それでは、マーケティング・営業活動を通じてロイヤリティ顧客を増やしていくにはどのようにすればよいでしょう。ロイヤリティ顧客化の過程は、次のような流れで行われるのが一般的です。
集客
見込み顧客となりそうなユーザーを集客します。具体的にはWeb、SNS、紙媒体やTV・ラジオなどの各種広告、展示会などで商品・サービスの露出を行います。
リードジェネレーション
集客したユーザーの興味を引き、見込み顧客として獲得するための取り組みです。
具体的には特典付きのセミナー開催や無償トライアル期間設定、廉価のお試しセット販売、カタログダウンロードや会員登録などがあり、オファーによって顧客情報を取得できるような仕組みの構築をしていきます。
リードナーチャリング
獲得した見込み顧客を顧客へとつなげる、継続的なアプローチを行う活動です。
具体的にはメールマガジンやテレコール、商品やサービスへの理解を深めるセミナー開催などがあり、SNSが活用される場合も多くなりました。
さらに、これらの活動を通して取得した情報をもとにスコアリングを行い、顧客の興味段階に応じて最適な戦略を実行していきます。
顧客化
十分なリードナーチャリングを通して準備が整ったら、顧客化へのステップに進みます。
具体的には営業スタッフによる活動やテレコールなどのアプローチが主になりますが、ランディングページ内に本会員になる仕組みや、購買への道筋を付けておく必要もあるでしょう。
ロイヤリティ顧客化
リテンション活動を行い、顧客となったユーザーを維持していき、継続的なサポート、情報提供などを通じてロイヤリティ顧客化を目指します。
ロイヤリティ顧客化に必要なのは顧客満足度の向上だけでなく、特別な体験であるカスタマーエクスペリエンスが重要となり、近年ではコールセンターの存在が見直されています。
リードナーチャリングが注目される時代背景
ロイヤリティ顧客獲得のためリードナーチャリングが重要なことは上述しました。また、このプロセスが注目されるもうひとつの理由に、顧客の購買活動が複雑化しているといった時代背景があります。
情報化社会における顧客化へのステップ
ネットワーク環境が整い、情報化社会が進展した現代では、ユーザーが商品やサービスに関する情報が入手しやすくなり、むしろ能動的にインターネットを活用しています。
このため、顧客化へいたるプロセスが多岐にわたる複雑化の様相を呈しています。
- Attention:商品やサービスに注目する
- Interest:興味をもつ
- Search:情報収集する
- Comparison:比較する
- Examination:検討する
- Action:導入
- Share:情報共有、拡散
それぞれの頭文字をとって「AISCEAS」(アイシーズ)と呼ばれるプロセスは、従来使用されていたAISAS(アイサス)から「比較」「検討」が追加されており、この状況を表しています。
プロセスの長期化
導入までに複数の候補を比較し、検討することが当たり前になったことにより、必然的に顧客化までの期間が長期化しています。
さらにこの状況は購買行動の厳格化にもつながっており、稟議・決済の重要度が上がったことから、B2Bでより顕著な傾向となりました。
リード獲得の多様化
また、チャネルの多様化と顧客の動向によってリード獲得のチャネルが多様化している中、顧客側は一貫したサービスの提供を望んでおり、これに対応する必要が生じています。
休眠顧客増加
リードジェネレーションによって獲得した見込み顧客が放置され、休眠顧客が増加している状況も、中長期的なリードナーチャリングが注目される時代背景のひとつです。
マーケティングコンサルティングファームであるSirius Decisionの調査によると、2年間放置された休眠顧客の80%は、競合他社の商品やサービスを購入しているといったデータがあります。つまり、大きな機会損失を回避する必要が生じています。
リードナーチャリングで行うこと
これらのことから、長期化/複雑化している顧客化のプロセスを一元管理し、中長期的なリードナーチャリングでロイヤリティ顧客を増やす手法が注目されています。
リードナーチャリングのメリット
リードナーチャリングを実施することで、次のメリットがあります。
- 休眠顧客の発掘
- 中長期的な顧客対応が可能
- 営業活動の効率化
休眠顧客の掘り起こし
リードナーチャリングにより、休眠顧客の掘り起こしが可能になります。休眠顧客とは、以前商談や取引にいたったものの、一定期間取引がない顧客のことです。
高額なコストがかかり、新規顧客獲得が困難になりつつある近年では、休眠顧客の発掘は大きなメリットがあります。休眠顧客は、過去に製品やサービスに興味をもっていた経験があるため、新規顧客に比べ、少ないコストや労力で成約につながります。
休眠顧客は、現在では取引がないとはいえ、時間の経過により新たなニーズがでてくることもあるでしょう。そのため、顧客の求める情報を適切なタイミングで提供することで、掘り起こせる可能性があります。再びコミュニケーションをとることで、商品やサービスに興味をもってもらい、契約や購入の促進が可能です。
中長期的な顧客対応が可能
リードナーチャリングは、中長期的に顧客へアプローチする手法として有効です。
意思決定に複数の人が関わるBtoBのビジネスでは、意思決定までの期間が長くなる傾向にあります。さらに、近年ではインターネットの普及により、顧客がWebサイトやSNSなどで情報収集を行うようになり、意思決定のプロセスが複雑・長期化しています。
しかし、組織全体でシステム化して継続的にリードナーチャリングを行うことで、見込み顧客に継続的なアプローチが可能です。それにより、効率的な顧客対応が可能になり、売上を向上させられるでしょう。ナーチャリングを自動化し長期的に行えるよう仕組み化すれば、リソースを抑えながら、効率的に顧客対応が可能になります。
営業活動の効率化
リードナーチャリングをすることで、営業活動の効率化にもつながります。
リードナーチャリングでは、すでに商品やサービスを認知している顧客へメールやWebサイトを活用して多数の顧客にアプローチします。それにより顧客の購買意欲を高め、好感触の顧客にのみ対応を実施するため、効率化が実現可能です。
また、確度の低い顧客には、相手が求めている情報を適切なタイミングで提供し購買意欲を上げていけるため、中長期的に商談数の増加が期待できるようになるでしょう。
リードナーチャリングのデメリット
リードナーチャリングにはいくつものメリットがある一方で、次のようなデメリットも挙げられます。
- あらかじめ一定数のリストが必要
- すぐに効果を期待できない
あらかじめ一定数のリストが必要
リードナーチャリングを行うには一定数以上の顧客リストが必要なため、ある程度の集客ができていなければ機能しないのがデメリットです。
たとえば、メールマガジンの配信はメールアドレスを取得していなければできません。また、十分な量のリードがいなければ育成につなげにくいため、顧客リストが少ないとリードナーチャリングを効果的に活用できなくなります。
そのため、Web広告やセミナーなどで新たなリードを獲得し、既存の顧客情報とあわせてデータを一元管理することが必要です。
すぐに効果を期待できない
リードナーチャリングでは、成果を実感するまで数か月から1年以上かかることもあり、短期的な効果を期待できないこともデメリットです。
リードナーチャリングでは、さまざまな施策を行い、段階的に顧客との関係構築を行います。そのため、中長期的に関係構築をするための継続的な取り組みが必要です。
ただし、即効性は期待できなくても、長期的な視点ではロイヤルティの向上や機会損失の防止など、さまざまな効果が期待できます。
リードナーチャリングの手法
リードナーチャリングを行うための具体的な手法として、次の6つがあります。
- メールマガジン・ステップメール
- セミナー・ウェビナー
- SNS
- Webトラッキング
- DM(ダイレクトメール)
- リターゲティング広告
メールマガジン・ステップメール
メールマガジンやステップメールを使って情報提供を行う手法は、リードナーチャリングでよく行われる施策の一つです。見込み顧客に応じてパーソナライズして作成したコンテンツを適切なタイミングで送信することで、顧客の興味関心を維持する効果が期待できます。
送信後は、開封率・クリック率などの効果測定を行ったり、メールの件名や配信の時間帯などを分析したりして改善することで、より購買意欲を高めていけるでしょう。
セミナー・ウェビナー
すでに商品やサービスに興味をもっているリードに対しては、セミナーの開催が有効です。
多くの人が関心を寄せる題材や、商品・サービスに関するセミナーを開催して見込み顧客を集客し、情報提供を行うことで、顧客との信頼関係を構築できます。
セミナーは時間を確保して参加してもらう必要があるため、契約に対して前向きな見込み顧客を獲得できる可能性が高いです。顧客のニーズに合わせた有益な情報を提供したり、直接疑問に回答したりすることで、質の高いリードの獲得につながるでしょう。
SNS
X(旧Twitter)やFacebook、LINEなどのSNSを活用したマーケティングも、リードナーチャリングにおける手法の一つです。BtoC向けのビジネスだけでなく、BtoBビジネスでも活用されています。
SNSで多くのユーザーへ商品やサービスの情報を発信したり、ブランディングを行ったりすることで、ユーザーの興味関心を高められます。また、ユーザーと直接コミュニケーションをとることで、信頼関係の構築が可能です。
拡散力が高いため、投稿をシェアしてもらうことで潜在層の認知拡大にもつながります。
Webトラッキング
Webトラッキングは、解析ツールを活用してWeb上でのユーザー行動を把握する手法です。
Webサイトを閲覧する前、もしくは閲覧した後にどのようなサイトを訪問したのかといった、インターネット上の行動追跡を行います。また、どのようなデバイスでどこから流入したのか、どのくらいの時間コンテンツを閲覧したかなども把握が可能です。
そのため、Webトラッキングの情報をもとに、ユーザーニーズをメールマガジンの内容に反映すれば、有益な情報提供が可能になります。
DM(ダイレクトメール)
DMは、郵送のチラシやハガキなどを通じて行われる古典的な手法ですが、現在もBtoCにおいてはよく用いられています。
DMは物理的に手にとってもらい、視覚的に強い印象を与えられるため、具体的な情報提供に有効です。ニーズに合わせて内容のパーソナライズもできるため、商品カタログや商品案内などを送ることで、開封してもらえる可能性が高くなります。
ただし、DMの送付には郵送費や資料作成費などのコストが発生するため、ターゲットを絞りカスタマイズしたメッセージの送信により、効果を最大化させることが大切です。
リターゲティング広告
リターゲティング広告は、過去にWebサイトを訪問した顧客に配信するWeb広告のことです。過去にサイトへの訪問を行ったことがある見込み顧客に対し、Webトラッキングにより行動を追跡して広告配信を行い、再びアプローチします。
この手法には広告費がかかるものの、過去に商品やサービスに興味をもった見込み顧客に存在を思い出してもらい、サイトに再訪問するきっかけを与えられます。
ただし、何度も広告を表示すると相手を不快にしてしまう恐れがあるため、広告表示の上限を決めて適切な配信回数を設定することが必要です。
リードナーチャリングを実践するステップ
リードナーチャリングを実践する際には、次のステップで進めましょう。
- 見込み顧客の情報を整理
- セグメントの作成
- コンテンツの作成
- 施策の実施
見込み顧客の情報を整理
リードナーチャリングをはじめる際には、具体的に誰をリードナーチャリングの対象とするか、まずターゲットを明確化することが重要です。
ターゲットを明確化するには、まず営業担当者が所有している見込み顧客のデータや名刺情報などを収集し、一つにまとめて管理しましょう。情報を一元管理しなければ整合性が保てず、重複アプローチにつながる恐れがあります。そのため、CRMシステムに見込み顧客の情報を入力して一元管理するとよいでしょう。
セグメントの作成
次に、見込み顧客をセグメント化します。セグメントとは、見込み顧客を性別や年齢・職業・過去の取引履歴、興味関心などで分類することです。ただし、細かく分類し過ぎず、10種類程度のセグメントを作成して管理します。
適切にセグメント化することで、商品やサービスへの関心が高い顧客グループを特定し、セグメントに合わせてパーソナライズしたコンテンツを送信できるようになるため、リードの関心を高められます。
コンテンツの作成
セグメントを作成したら、見込み顧客のニーズに沿ったコンテンツを作成します。リードナーチャリングには、見込み顧客の興味を引けるよう、見込み度合いに合わせたコンテンツの作成が重要です。
たとえば、展示会で名刺交換をした顧客は、見込み度合いが低いため悩み解決につながるノウハウコンテンツやセミナー案内などが有効です。一方で、Webサイトで資料請求を行ったリードのような興味関心が高い顧客には、導入事例やキャンペーン情報などを提供するとよいでしょう。
施策の実施
コンテンツを作成したら、実際に施策の実行へ移ります。適切なチャネルを選択してコンテンツを配信しましょう。
施策を実行したら、定期的に効果の分析を行い改善していくためのPDCAサイクルを回すことも大切です。たとえば、メール開封率やクリック率、コンバージョン数などを測定し、これらのデータをもとにコンテンツの調整や改善を行います。
PDCAサイクルを迅速に回し、顧客ニーズに合った情報を継続して提供することで、購入意欲を高められるでしょう。
リードナーチャリングを効率化するツール
リードナーチャリングで見込み顧客の情報管理や分析を行うためには、ツールの導入が役立ちます。活用されている代表的なツールとして、次の2つが挙げられます。
- CRM
- MA
CRM
CRMとは「Customer Relationship Management」の略で、「顧客管理システム」とも呼ばれるツールです。
CRMでは担当者の氏名や部署名、連絡先などの基本的な情報から、商談履歴や購入商品、アプローチ結果などの管理が可能です。また、収集した情報を組織全体で共有したり、蓄積した情報を分析したりできるため、それぞれの顧客に合った適切なアプローチやフォローがしやすくなります。
詳細な顧客情報をリアルタイムで共有できるため、業務の属人化を防ぐ効果もあります。
MA
MAとは「Marketing Automation」の略で、マーケティングを自動化・効率化するツールのことです。見込み度合いに合わせ、適切なタイミングで有益な情報を自動で発信できるため、ナーチャリングには活用不可欠なツールといえるでしょう。
MAには、Webサイトの閲覧履歴などをもとにした顧客のスコアリング機能やメールマガジンの自動配信機能、Webサイトのアクセス分析機能などが搭載されています。
リードナーチャリングに必要な機能がほとんど網羅されているため、配信やスコアリングなどの業務を自動化して業務を効率化できます。
リードナーチャリングを成功させる方法
リードナーチャリングを実行し、ロイヤリティ顧客を獲得するにはCRMツールの導入が早道ではありますが、ツールを充分に活用しなければ成功は望めません。リードナーチャリングを成功させるためのポイントを解説します。
ターゲットの明確化
リードナーチャリングを行うためのターゲットを明確にしておきます。
集客活動がうまくいって大量のリードが獲得できたとしても、ターゲットが明確でないと効果的な施策を行うことが困難となります。より多くの顧客化を実現するためにも、リードジェネレーションの時点で
- ユーザーの属性
- どのような課題/価値観をもっているか
などを明確にしておく必要があります。
顧客管理にCRMを活用
顧客化への一連のプロセスを一元管理し、効率的にリードナーチャリングを行っていくうえでCRMが有効とされているのはこのためであり、近年活用の重要性がますます高まっているといえるでしょう。
リード獲得のチャネル多様化や購買プロセスの複雑化が進む現代では、顧客情報を一元管理し、適切な分析と個々のニーズに合わせた施策実行が必須となります。
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顧客管理にSFAを活用
MAツールと並んでCRMとセットで活用されるのがSFA(営業管理ツール)です。
ナーチャリングにMAツールを活用するケースも多いですが、BtoBで継続取引が前提になる業種や客単価が大きいので、営業コストをかけられる業種では営業担当がナーチャリング段階から関わることもあります。
SFAは営業の進行状況や対応履歴を管理するツールで、CRMとセットで導入することにより、将来の営業案件数や受注数などを想定した、先行管理可能な営業体制を構築できます。
具体的なナーチャリング手法
リードナーチャリングの方法と、顧客がAISCEASと呼ばれるプロセスで購買にいたることは解説しました。ただし、それぞれの段階で適切な手法を選択する必要があります。
たとえば、興味段階では展示会の開催とそれのフォローメール/メールマガジン送信が有効です。調査比較段階では商品・サービスの理解を深めるWebサイト構築、カタログダウンロード、検討段階ではテレコールや営業からのコンタクトなどが挙げられるでしょう。
リードの行動管理・分析・スコアリング
適切なリードナーチャリングを行ううえで、購買プロセスのどの段階に見込み顧客が位置しているのか行動管理を行い、分析・スコアリングを行うことによって状況を見極めていくことが重要になります。
この状況での最適なツールにマーケティングオートメーション(MA)を挙げることがでるでしょう。
マーケティングオートメーション(MA)を活用
マーケティングオートメーションとは、リードナーチャリングに特化したともいえるツールです。一元管理された顧客情報を分析・スコアリングすることによって可視化を行い、メールマガジン・Webサイト・SNSなどでのマーケティングを自動化します。
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SATORIは、LTV(顧客生涯価値)の最大化を目指し、集客・クロスチャネル・データ分析の面で優れるDMP内蔵のマーケティングオートメーションです。
リードジェネレーションに強く、メールアドレスなしの匿名訪問者も正確に把握可能なほか、外部のデータも活用することで、新たなリード創出の手段を提供しています。
メールマガジンのほかディスプレイ広告、Webサイトのパーソナライズやチャットを通した顧客接点確保はもちろん、商談化・成約・アップセルなどの売上・粗利指標までマーケティング活動の効果測定が可能です。
その他のMAツールの詳細は下記からご覧になれます。
リテンションにおけるナーチャリング
CRMではリテンションが重視されることは解説しました。既存顧客に対するナーチャリングも簡単に解説しておきましょう。
コールセンターの充実
既存顧客のロイヤリティ顧客化には、顧客満足度だけでなく、特別な体験をもたらすカスタマーエクスペリエンスが重要です。
そこから近年重要視されているのがコールセンターです。CTIシステムに連動したCRMシステムの導入、顧客情報の一元管理によって役割を最大限活用できます。
次の記事では、コールセンターについてより詳しく解説しています。
会員システム・DM送付
顧客の維持・リピート購買の促進には、会員システムやポイント制度・DM送付などが有効であり、とくにECサイトなどではCRMと連動して、管理・分析・マーケティングを一元化する方向に進んでいるといえます。
Nice!Members - ウェッジソフトウェア株式会社
会員管理システムNice!Membersは、ユーザーのご意見をもとに、使いやすいシステムとして開発されたパッケージソフトウェア+クラウドベースの会員管理システムです。
ID/パスワードによるアクセスに加え、クラウド版ではワンタイムパスワードの採用で不正アクセスを防止しているほか、データへのアクセス履歴の記録やユーザーに応じた権限の設定も可能です。
年会費といった会費の請求・入金の管理はもちろん、会費の金額や支払パターンなどを会員種別ごとに変更可能、オンラインバンキングでの会費の自動引落とし、引落とし結果のシステム反映も行えます。
その他会員管理システムについては下記から詳細をご覧になれます。
カスタマージャーニーをカバーするには
CRMを基本とした顧客管理を一元的に行う意味は、集客からロイヤリティ顧客までのカスタマージャーニーをすべてカバーすることにあるといえます。
しかし、ツールによってはプロセスのある段階で活用するのに向いていないものも存在し、顧客情報の一元管理を維持しながら、なんらかの補間ツール導入を強いられる場合もあるでしょう。
つまりシステム選定には充分な検討が必要であり、場合によってはコンサルティングの助けを得る方法もあります。
TRYFUNDS TECHNOLOGY - 株式会社Tryfunds
TRYFUNDS TECHNOLOGYは、事前調査設計を社内PMOとして派遣させるスタイルを主流としたコンサルティングファームです。外部ベンダーとしてではなく、社内パートナーとしてシステム構築体制作り、業務マイルストーン策定などを行います。
戦略コンサルティング、組織開発コンサルティングのノウハウを活かし、経営層と対話を行いながら、経営戦略と組織開発をベースとしたITソリューションプロジェクトの推進サポートが可能です。
CRMを活用したナーチャリングの成功事例
業種・業界問わずさまざまな企業がCRMを活用したナーチャリングに挑戦しています。中でもとくに注目するべき企業として「NEC」「ナノ・ユニバース」「シンフィールド」の3社の取り組み事例について紹介します。
NEC
NECでは製造業の顧客を対象にリードナーチャリングを実施、1年程度で最終的に30件以上の商談を獲得しました。
NECのビジネス情報サイトWisdomには50万人以上の会員が存在します。顧客データベースより、これら会員から製造業関連の会員を抽出し、製造業向けBI情報といった特別のメールを送信しました。
まず、メールを送信してユーザーがメール内のリンクをクリックしたか、Webサイト内でどのように行動したかをすべてデータベースに記録します。そして、過去の接点履歴データベースと組み合わせ商品に興味関心の高そうなユーザーを抽出します。
それらのユーザーに対してアウトバウンドコールを実施、ヒアリングしアポイントメントを取得し、営業チームに情報を共有し、営業担当が案件化を図るといった取り組みです。
製造業向けの業務システムといった商品のため案件化には時間がかかるものの、メール配信全4回の取り組みで最終的に30件以上の商談獲得が見込まれるとのことです。
ナノ・ユニバース
もともとナノ・ユニバースではECサイトと店舗POSに別々のシステムを導入、それぞれで会員システム・ポイント制度を運用していました。しかし、O2O施策やオムニチャネル戦略など、今後の事業展開を見据えて実店舗とECサイトの顧客データベースを一元化する必要が発生、ポイント統合CRMシステムを導入します。
会員情報を店舗・ECで統合的に管理することにより、顧客の買い回りを正確に分析できるようになり、ポイント施策、クーポン配布を効率的に実施できるようになりました。さらにアプリとBeaconを組み合わせた来店スタンプ制度も開始、リアルとネットを横断した顧客サポートにより、顧客との強固な関係構築、離反防止を効率的に行えるようになりました。
シンフィールド
Webサイト制作、システム構築事業などを行っているシンフィールドでは、展示会や日々の営業活動での名刺獲得から案件を創出するための、リードナーチャリング活動に取り組んでいます。
展示会や営業活動で名刺を収集、毎週1回まとめて顧客リストに入力します。送信するメールは定期的に配信する「お役立ち系」と不定期かつ営業色の強い「引き上げ目的」の2種類です。引き上げ目的のメールにあるURLをクリックした顧客には当日か次の日にはフォローコールを実施します。
フォローコールからのアポイント率は10から15%と高く、案件創出の費用対効果も高いとのことです。
ナーチャリングに活用できるCRMシステム7選
CRMと一口にいっても、カスタマイズ性の高い高機能CRMから希望を絞った安価なCRMまで、さまざまなサービスが存在します。ナーチャリングを実施するためには、これらのシステムの中からマーケティング体制と合致したシステムを選択しなければなりません。代表的なシステムを7種類紹介します。
Salesforce Sales Cloud - 株式会社セールスフォース・ジャパン
- 世界No1のシェアを誇るCRM/SFAシステム
- カスタマイズの自由度が高く各社の事情に合わせて帳票を作成しやすい
- モバイルからも情報確認・更新しやすいインターフェースである
Sales Cloudは高機能型のCRM/SFAシステムで、日本でも大手企業を中心に多くの導入実績があります。リードナーチャリングのためのMAとして、B to C向けのMarketing Cloudと、B to B向けのAccount Engagement(旧 Pardot)の、2種類がリリースされています。使い分けによって最適なリードナーチャリング環境を構築が可能です。カスタマイズ性の高いシステムなので、管理したい項目に応じて自由に帳票を作成、レポーティングできる項目も豊富です。
- 月額1,680円(税抜)からと安価な価格設定
- 低価格でも大手ツールと同等の高機能
- 自動化機能で営業活動をアシストしてくれる
Zoho CRMはCRMとSFAをセットにした顧客管理システムで、同シリーズのZoho MailやZoho SalesIQを組み合わせると、マーケティングによるナーチャリングも可能となります。世界25万社※以上の企業が導入しており、業種・業界問わず幅広い企業で導入可能です。CRM自体にもワークフロー機能による自動ナーチャリング、顧客の属性やスコアに応じた配信リストの作成機能などが搭載されているので、単体でのリードナーチャリングが可能です。
※出典:ゾーホージャパン「Zoho CRM」(2024年8月21日閲覧)
- ジェネレーションからナーチャリングまでをカバー可能
- 即日運用を開始できる
- セミナー動画、ユーザー会の開催などサポートが充実している
SATORIは国産のCRM/MAツールで、データベースの設計・導入作業をする必要がなく、Webサイトに計測タグを埋め込むことですぐに運用を開始できます。メール配信、シナリオなどリードナーチャリング機能はもちろん、ウェブページ制作といったジェネレーションのための機能も搭載されています。
eセールスマネージャーRemix - ソフトブレーン株式会社
- 各営業担当者の行動量をグラフ化してくれる
- あらかじめ設定した条件に当てはまる報告・商談が発生するとリスト化してくれる
- 導入・稼働・定着のステップごとにサポートが充実している
eセールスマネージャーRemixは顧客・営業管理を実現するシステムです。顧客分析や営業の行動分析の機能があるので、ナーチャリングすべき案件と実際の行動のミスマッチが把握できます。導入サポートとオンボーディングを高速で実施、導入後もきめ細かなアフターフォローを実施することにより、高い定着率を実現しています。
[fixed-sentence-jirei-eセールスマネージャーRemix-top]
Synergy! - シナジーマーケティング株式会社
- Excelの管理データや既存の外部データベースとも連携できる
- 蓄積したデータをWeb広告配信にも活用できる
- アプリプッシュ通知で高い開封率を実現できる
Synergy!はCRMとメール配信を組み合わせたシステムです。メールはもちろんLINEも連携可能で顧客にタイムリーに店舗の情報を伝えられます。顧客データベースには氏名・住所などの顧客属性のデータとメルマガのクリック、店舗でのクーポン利用などの顧客行動データも蓄積できて、これらのデータに基づいた根拠あるナーチャリングが可能です。個人情報を保護するためのセキュリティ機能も充実しています。
- 大手企業や急成長ベンチャーを含む幅広い業種・業界で導入
- ノンエンジニアでもデータマーケティングが可能になる
- 顧客情報を軸にメール、広告、LINEなど顧客コミュニケーションを一括管理できる
b→dashは顧客管理およびマーケティングオートメーションを実現するためのシステムです。大規模な顧客データを活用したデータマーケティングの実施には、一般的にSQLに関する知識を必要としますが、b→dashならばノーコーディングでデータの抽出・加工・活用が可能です。データ加工、統合、シナリオなどのテンプレートが豊富に用意されているので、業種・業態問わずにリードナーチャリングに活用できます。
HubSpot Marketing Hub
- CRM単体であれば無料で使用できる
- インバウンドマーケティングのための機能が充実
- シンプルなインターフェースで直感的に利用できる
HubSpotは、CRM機能自体は無料で、有料のSFA・MA・カスタマーサービスシステムと連携させることにより、フロントオフィス業務を一体的に管理できるツールです。無料のCRM機能だけでもメール一括配信機能、トラッキング機能があるので一定のナーチャリング効果が期待できます。また、Webサイト訪問者とチャット方式でコミュニケーションをとることも可能となるので、顧客とリアルタイムなコミュニケーションもできます。
CRMで効率的な顧客化プロセスを推進
多彩なコンタクトチャネルが存在し、顧客化へのプロセスが複雑化していることから、企業が新規顧客を獲得することがよりいっそう難しくなりつつあります。
この状況を打破し、企業が生き残っていくためには、継続して安定的な利益を確保していくためのマーケティングが必要であり、リードナーチャリングが非常に重要です。
そのための顧客化プロセスに、もはやCRMシステムは欠かせないものといえ、他との競争力を維持していくのに必須とさえいえるでしょう。
目的となる企業利益を達成するためのビジョンを明確にしたうえで、最適なCRMシステムの選定を行いましょう。
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